August 30, 2012

QUIET ROOM 2012 -晩夏の鐘-
@ ル テアトル銀座 by PARCO

 「袖から舞台まで歩いてくる時吐きそうになった」(堕落安部さん)
 「この空気、あれを思い出しますね。お通夜」(尾崎さん)

 ということで今回も出演者にとってやりづらそうな、客がQUIETなイベント。うまくレスポンス返せなくて申し訳ない。どうしたらいいんだ。
 多くのアーティスト(今回は6組!)の弾き語りを見られるのは貴重で、本当に面白い。誰もが音と居て誠実だった。あんな風に生きたい。
 テアトル銀座、初めて行った。来年5月末でなくなるとのこと。舞台見やすいし席は座りやすいし、何より響き方がまあるいところが好きだと思った。立地も良い。なくなっても、今日のことはずっと覚えていられるといい。


■EG
 初見。カフェオレに追加する粉砂糖みたいなあまい声。高音もよく出るんだけど、話すのと同じかやや低いくらいの声がびっくりするくらいあまくて、こちらを推してほしい、と勝手なことを考えた。
 (更に勝手な感想)記号みたいな名前が面白い。exempli gratiaであり、JAAであり、カタカナ読みならeasyと同音。気になって公式サイトに行ったら「本名でないのも意味は特になし」とあった。名前と曲の印象がうまく一致しないのも面白い。


■堕落モーションFOLK2
 出演順のせいか、前回より少し大人しい印象。でもやっぱり気のいい兄ちゃん達。MCの人柄そのまま馴染みやすい曲、と思いきや引っ掛かるところが幾つもあって面白い。中でも「不潔なメロディー」という曲が引っ掛かっている。不潔を気にする潔癖さが際立って聴こえた。
 物販で「堕落」の二文字が刻まれたピンク色のTシャツ売ってて震えた。某16gの変態Tを思い出す。


■波多野裕文 (People In The Box)
 いつもの飄々とした空気で登場。曲目を即興で決めているからか、持ち時間を気にしてiPhoneのアラームをセット。そういえば前回は、時間が判らなくてスタッフに時計持ってきてもらっていた。進歩!
 4曲、どれも今まで披露したもの。王道的な曲が選ばれたように思う。

1. タイトル不詳《中国に行ってみたい》
壱日の孤独vol.2の一曲目。アカペラ。悠々とした、まあるい豊かな声。混じり気のない水の粒のよう。

2. タイトル不詳《ドレスリハーサルの途中》
《夏の都会にバグが発生する》
◇詞が夏仕様に着せ替えられていた! MC「最近本当に暑いですね。いつもは雨が降ってちょっと涼しくなったりするのに、全然降らない」から、さらりと《夏の都会に~》の歌い出し。リアルな時空間と曲がリンクするのはふしぎな感覚。同じ季節を、地平を、過ごしていることを実感するのもふしぎだ。

3. タナトス3号(仮)
《空を黒く塗り潰せ いつまでも同じではないと知った》
◇聴けば聴くほど好きになる。ぜひ音源化を!
 「時間がどんどんなくなる! 次の曲はBPMを上げます」との宣言で始まるも、いつも通りBPM70くらいのゆったり演奏。と思いきや終盤の《とんてんたんとん》で200超えるくらい爆上げして笑った。最後はゆっくりに戻って終了。

 チューニング中、びーん!と弦が切れるハプニング。ハタノさん「は……!」と動きが止まる。会場とりあえず笑う。笑うしかない。
 予備ギターを差し出すスタッフに「こういう状況の方が燃えるんです。あの、お気持ちは本当にありがとうございます」と断った後、「あーこれ、一本ないと結構狂いますね、調子」と言い出したので、どっちやねん!がんばれ!と念じる。
 そのまま「アラームが鳴るまで頑張ります」とスタート。そうだった時間が限られているんだった。

4. タイトル不詳《あなたは誰にも愛されないから 自分で愛してあげなさい ばーか》
◇壱日の孤独vol.2本編最後の、詞が印象深い曲。↑このくだりも勿論だけど、《5月の空は海の色》が堪らなく好きだ。メロディーと併せて、世界がぐわっと広がって解放されたような感覚になる。ハタノさんが歌う青空はいつも手を伸ばしたくなる。
 最後の「ばーかばーか」が終わってアウトロに入ろうとする時、ジリリリリリ!!!とiPhoneアラームが鳴り響く。演奏止み「お時間です、ありがとうございました」。ええー!?
 びっくりしつつ、会場笑って拍手。最大級の拍手。

 秒針のSEで始まるピープル("And I'm Singing" Jim O'Rourke)と対になるような終わり方。夢から覚めるような、世界が切り替わるような。もっと聴いていたかったし、あちらの世界に居たかった。そんな風に自分を変えればいいんだろうと思う。最近よく考える。じわじわ効いてくる。
 次のソロはいつだろう。帰ってこられなくなるくらいどっぷり浸りたい。病気か。


■斎藤宏介 (UNISON SQUARE GARDEN)
 サポートにドラマー海老原諒さん(今日はパーカッションでジャンベ、ウィンドチャイム、スプラッシュシンバル)を迎えての演奏。斎藤さんが海老原さんを「すごく好きなドラマー」と紹介していたのは納得。バランスの良い人で、相性の良い組合せ。
 「オリオンをなぞる」は知っていた! バンド形式よりも夜空に似合いそうなアレンジ、好きだった。


■Laika Came Back
 初見。今日の面子で唯一立っての演奏。一人で5重くらいにギターをサンプリングして重ねて、弾いて歌っていた。ギターって色んな音が出るんだなあ、というところから興味を惹かれる。そしてどの曲も質感が違って、奥深い音の世界を持っている人だと感じる。すごく面白く聴いていた。調べてベテランさんと知り納得!


■尾崎世界観(クリープハイプ)
 初見。ふしぎな惹かれ方をした。ゴッホのひまわりみたいな声だと思った。枯れたように掠れているのに、生命力に満ち満ちている。聴いている人に訴えかける力の強さを、耳だけでなく全身で感じた。演奏と同じくらい詞が気になることが多いのに、どちらも吹っ飛んで圧倒されていた。すごい。どうしてだか解らない。
 詞だけに集中すると、感受性の強い青年の日常、と括ってしまうのは失礼かもしれないけれど、特別だとは感じないのに、音とあの声に乗ると特別になる。
 クリープハイプ聴いてみようと思う。楽しみ!

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Maira Gall