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December 27, 2012

DECEMBER'S CHILDREN @ 日本武道館

 武道館へは寒い時期に足を運ぶことが多い。今日も冬の青空の下、葉の落ちた枝々のアーチを見上げながら進む。そして写真を撮ってしまう。


 着込んで行ったお陰かそれほど寒くなく、コート脱いでおけるくらい。とはいえ着たままの人も多かった。やはり防寒を怠るべからず冬の武道館。
 14時開演、21時終演の長丁場。16時頃着いたら客入り7割くらい。各バンド30~40分くらい演奏して転換を繰り返す、ちょっとしたフェスの様相。
 どのバンドも容赦なくやりたい放題で、とても楽しかった。


■ドレスコーズ
 初見。舞台で演じる虚飾の空と華、その境を酩酊するようにふらふら千鳥足なボーカルが印象的。彼なりの美学に依っているんだろうと思った。取り憑かれているようでもあった。楽しそうなのが幸い。昨今、しかも男性では珍しい路線。
 凄まじい女のドラムに釘付けになっていて、今調べたら男だった。びっくり。動物が駆け回ってるみたいな勢いが面白かった。
 《テレビなんかより戦争がしたい》って叫んでいたボーカルは、最後客席に投げチュー振りまいて去って行った。最初から最後まで演技派。目の前で観られて良かった。


 転換中、緞帳の奥からリハ中のドラムがずっしり響いてくる。次、ピエールだ!

■ピエール中野
 やりたいことをやりたいだけやって帰って行った!
 セットリスト、ご本人のツイートより。

【ピエール中野武道館】攻殻機動隊OP→ドラムソロ→レーザービーム×即興ドラム→MUCCミヤさんセッション→MC「ライブハウス武道館へようこそ!ここは東京だぜ!」→DJ:Mステ→A・RA・SHI(歌入りに合わせて熱唱)→BABYMETALヘドバンギャー→Xジャンプ→エンドレスレイン

— ピエール中野 凛として時雨のドラム (@Pinakano) December 28, 2012

 ドラム久々に聴いたら圧巻。音が重たいのに回る回る回る。当たり前みたいに享受していたピエールの演奏、すごく贅沢だったんだなと思う。
 DJピエール初見。12/21初出演したMステテーマ曲に合わせて四方八方にお辞儀。既に会場爆笑! Perfumeのタオルで汗を拭う姿もブレない。そして武道館に響き渡るA・RA・SHI! A・RA・SHI! For Dreaaaaam! サビで手のフリご一緒に! 何のイベントだっけ?ってな疑問も吹っ飛ばす! 客席一面、仕込まれたかのように完璧だったのは今思えば何だったのか。最後のバラードぽいところ、ソロでしっとり歌い上げ……るはずが、本人耐え切れず噴いてて笑った。新たなるPierre's moment。
 「今一番気になる人達」との呼び込みでBABYMETAL登場、1曲「ヘドバン! ヘドバン!」歌って踊って「See you☆ミ」って去って行った。ピエール、脇で踊ったりヘドバンしたり、ただのファンと化す。ドラム叩かんのかい! 割と大人しくなった会場に「びっくりした? びっくりした?」って話し掛けてきてまた笑った。気さくだな。
 最後Xジャンプで武道館が揺れる! 楽しかった! また時雨でMC聞きたい。


■ギターウルフ
 初見。バンド名の通りロックンロール然としていた。演奏しても水飲んでも水自分に浴びせてもロックンロール。
 迫力あって格好良いのに、なぜかフロアと温度差があった。赤と青のポケモンフラッシュ的なストロボ、インパクトは強いけれど、時雨なら使わないだろうと思う。同じスリーピースの攻撃的なロックでも、これほど違った実を結び得ることを実感。


■TK from 凛として時雨
 初見。上手からドラムスBOBO、キーボード、ギタボTK、バイオリン、ベースひなっちの布陣。TKが中央にいるのが新鮮。
 始まって早々、体がざわりとした。TKの音は明らかに他と違う感覚をくれる。
 NCISのひなっちは跳ねて煽って楽しさが溢れるようなスタイルだけど、今日はTK仕様で緊張感あり。BOBO氏とふたり、安定した強力なリズム隊。バイオリンとキーボードが音源の質を超えるのは、多分楽器の特性で、難しいのだろうと感じる。アコースティックセットで聴いてみたい。
 何よりもfilm A moment、圧巻。《時間を止めて》とそれに続く数秒の無音のことは、これからもずっとフィルムされているだろうと思う。存在がなくなって、一番欲しいものを掴めそうになる。だから《手に入れた世界は》と続く。今まで見たライブパフォーマンスの中でも、特別印象に残っている。まだうまく言葉にできない。
 時雨の照明チーム、相変わらずエクセレント! flowerの黄と紫、予想外だけどよく似合っていた。fAmは《時間を止めて》が青、ウィスパーの《手に入れた世界》が赤、《なにも感じないよ》の絶叫が白。最後は青に包まれて終わり。タイミング完璧。
 終わって席に着いても余韻がすごかった。紫色の照明の中、ピアノ曲(新曲?)が流れて、スタッフがセットを片付けていく。解体もショウの一部。《kill the moment》だなあとぼんやり思いながら、バラバラになっていく様から目を離せずにいた。

●1. haze 2. flower 3. 12th laser 4. phase to phrase 5. Abnormal trick 6. 新曲(Fantastic magic) 7. film A moment


■9mm Parabellum Bullet
 3度目の9mm、とても好きだった。アウェイ寄りの場だと闘う弾丸感がより際立つ。時雨と9mmのファンは被っていると思いきや、今日は半々くらいに見えた。
 初めて見えたドラム、両手でスティック回しまくっていた。曲芸か! と思ったらギターも相変わらず檻から放たれた何か的な動きをしているし、ベースもギタボもやりたい放題だし、束の間ライブなのかサーカスなのか判らなくなる。無敵のパフォーマンス。
 目を奪われるばかりで演奏をあまり覚えていない。何かの曲で彼らに初めて静を見たのが印象的。水中みたいな青い照明、きれいだった。
 感覚的なギタボMC健在:「俗に言うTKばさみというポジションなので、生粋の人[TKファン]からしてみれば僕ら夢か?みたいになっちゃうので気合い入れてやります」。TKばさみになったのが9mmで良かった。とても楽しいブリッジだったよ。


■凛として時雨
 待ちに待った1年ぶりの時雨。こちらも体をざわざわさせてくれる最高のライブ! やっぱり特別なバンド。けれど期待が大き過ぎて、7曲では物足りなかった。アナウンスされた6月のワンマンが楽しみ過ぎる。
 容赦ない攻めのセットリスト。その中でillusion is mineから始まるのはさすが。一気に時雨の色になる。一番聴きたかったnakano kill you、最後にやってくれた! TK最後傍観かと思うくらいギター弾き狂って舞台を後にした。めちゃめちゃテンション上がり、そのまま最高潮で放り出されて終演。サディスティックなところも変わらず。

●1. illusion is mine 2. I was music 3. DISCO FLIGHT 4. abnormalize 5. JPOP Xfile 6. Telecastic fake show 7. nakano kill you

●MC
(TK、舞台袖を見たりメンバーを見たり、きょろきょろ)
客「?(笑)」
TK「ひとつ、ニュースがあります。6月、6月……(メンバーを見る)」
345・ピ「「にじゅうはち! にじゅうはち!」」
TK「6月28日に、ここでライブをやります」
客「「「うわあああああー!!!」」」

November 4, 2012

『陋劣の残滓を啜り聖を排出する正義という呪縛。狂躁する資本主義の末期衝動。罪は通奏低音の如く聖に平衡し、赫奕たる旋律を奏でる。』
@ 郡山#9

 鈍行列車を乗り継いで、ゆるゆると北へ。
 東北本線、ドアが「車内温度維持のため」ボタン式の手動。乗り換えた列車は二両編成で、発車の合図は時折掠れる笛の音。車内に2歳くらいの男の子とお母さんがいて、周りの人がにこにこ話しかける。
 時々東京を出ないとだめだと思った。何かが致命的に麻痺している、気がする。


■波多野裕文
 どれも曲名が判らないので、詞の一部を。

1. 中国に行ってみたい
2. ドレスリハーサルの途中(ミニチュアのデパート)
3. 君が人を殺した
4. 8つの卵
5. あなたは誰にも愛されないから

 #3初めて聴いた。
 最初しばらく「今日彼女は来なかった、仕事かなあ」なんて小さな恋の物語かと思いきや、その流れのまま《君が人を殺した》。空気にノイズのような異物がざあっと混じって、うわあ来た、と思う。あの違和感と困惑。と、少しの愉快な気持ち。
 冷静なギターは異物が聴衆の体に沈むのを見届ける。そこからもう一度《君が人を殺した》。そして《でも、僕は君の味方だよ》と続く。2つのフレーズが何度も繰り返され、後者の伝え方がどんどん濃くなる。はっきりと一音ずつ、確かめるように。

 ……とりあえず聴いてほしい!(これ、ずっと言いたかった!)

 一度だけ《君が誤って人を殺した》と歌っていた。誤って。今更効いてくる。

 言葉が触覚に作用する。皮膚に、身体に、内蔵の隙間に、否応なしに触れてくる。堪らない違和感の陰で、あるべきものが戻ってきた安堵がこっそりと息をつく。そのことがおかしくて笑う。ほんの少し愉快でもある。そんなめちゃめちゃな状態で聴いていることもある。ただ心地良さに浸っているだけのこともある。
 結局どうしてなのか全然解っていない。ふらりと200km移動してくるくらいに引かれているのは確からしい。

 iPhoneのアラームが鳴って、魔法が終わる。今年もありがとう。良いお年を。


■the cabs
 この日の客入りは半分くらいで、舞台がクリアに見渡せた。下北沢は満員電車並の混雑でほぼ見えなかったから、彼らを「見た」のは初めてに近い。上手からギターボーカル(絶叫)、ベースボーカル(メロディー)、ドラムス(爆撃機)の配置。
 爆撃機、本当に爆撃機だった。決してパワーで押すマシンガンタイプではないのに、手数がどうなっているんだろうあれ? あの音の連鎖のどこで息継ぎして、どうやって呼吸しているんだろう。最初に爆撃機と評した人のセンスすごい。
 そのドラムスに乗るメロディーと、乗らずにひた走るような印象のギター。まとまっているようで、まとまりがない気もして、何が展開されているのか解らないままとりあえず突き進んでいる様が面白い。これからどうなっていくのかさっぱり見えないバンド。年明けのアルバムが相当楽しみ。

■te'
 こちらもやはりドラムス。残響と書いて「ドラムス」と読んでもいいと思った。冷静に考えるとだめだけど、それくらい気になるドラマーが多い。何だろう。
 人とぶつからずに見たのは初めてで、何だか違和感があった。モッシュしろってことでは全然なく、誰かと/何かと衝突するところで生まれている音なんだと思った。あらゆる音がそうだと言えばそうだけど、何だか「衝突」がひとつのキーワードのような気がする。ツアータイトルだってそうだ。画数多く読みづらい漢字からして衝突しまくっている。内容もそう。
 見る度にそんなことを考える。まだまだ未知数のバンド。いつかまた。

ノート:
【陋劣】ろうれつ。いやしく劣っている・こと(さま)。下劣。
【赫奕】かくやく。かくえき。光り輝くさま。 - 大辞林より

September 16, 2012

残響祭 8th ANNIVERSARY
@ Shibuya O-EAST & duo MUSIC EXCHANGE

 昨年に続いて参加。この1年で沢山の残響バンドを知って、ライブを観て、ずっと好きになったなあとしみじみ。
 タイムテーブルは当日現地で発表するスタンス。選り好みせず観てほしいのだろうけれど、事前に発表されると予定組みやすくて助かる。私用こなしてからの参加だったので余計にそう思った。omni観られなくて残念。
 お祭騒ぎはとても楽しかった。最後に河野さんが「来年もやりましょう!」って言ってくれて嬉しい。きっと!


■SPANK PAGE
 初見。どこかで和製シガロスと紹介されていた。ああいう宇宙見える系ではなくて、自分の前に立ちはだかる壁を壊すくらいのシューゲ寄りな音、という印象。もっとぶっ壊してくれ、と思ったけれど、あの繊細さが彼らの味で魅力なのかも。


■ハイスイノナサ
 すごく良かった。この日一番のめり込んだアクト。
 初めてドラムの手元が見えた。それでも何が起きているのか解らないけれど、確かに秩序があるからあんなに美しいんだと思った。数学のよう。あの音はドラムの人が出しているんだ!って驚きも沢山あった。仕組みの氷山の一角が解って嬉しい。ともすれば機械みたいになりかねない精確さが、他の音との関わりの中で温度を持つところに人間を見る。もう少し考えたいところでもある。
 初めて一緒に手拍子できたのも嬉しかった。次のライブでCD買おうかな。「ハッピーエンド」のうわあああ感(としか今のところ言いようがない)も健在。最後「動物の身体」で澱みが全部流されたような気がした。ピアノと電子音の組合せだけでも堪らないのに、ギタードラムベースに人の声、皆混ざり合っても濁らず清冽な音に触れられる幸せといったら。
 あまりに良くて、26日のイベントのチケット予約した。とても楽しみ。


 ハイスイ(duo)早めに切り上げて移動しようと思っていたのに最後まで釘付け。ピープル(EAST)間に合いはしたものの、着いたら大混雑でステージ見えず。


■People In The Box
 MCなしで『Ghost Apple』全曲演奏。再現とか反復ではなく、今の彼らの声だった。ガートルード・スタインの言葉を思い出した - 「繰り返しなんてものはない。あるのは声(insistance)だけ」。
 思い入れのあり過ぎるGAの、初めて出会う面が幾つもあって高揚する。「金曜日 / 集中治療室」の痛みが際立って聴こえたのはびっくり。駆け抜けるようなリズムにホイッスルも登場して、ライブではテンション上がるばかりの曲だったはずが。モナリザのくだりは愉快だと思っていたらかなしかったし、《翌朝 報いの雨に濡れて》以降のくるしさは何なのか。「僕」と「君」の双生児のような近さVS結局は他者であるという絶対の溝の、どうしようもない抗いがいっぱいに詰まったGAのひとつの頂点だと思った。ここで幕を引けば崩壊して終わりだったのに、一週間はまだ続く。
 月曜日から土曜日の重みが伸し掛かった「日曜日 / 浴室」は鳥肌。あの帰結《わたしのいのちを、君にあげる / パンケーキみたいに切り分けて、あげる》のために一週間があって、あの帰結があるからまた一週間が始まる。初めて「再生」の曲だと思った。終わらない抗いの中で生き続けるために鳴らされている音楽だった。
 同時に弔いのようでもあった。記憶をなぞって大勢の前で解放するプロセスに立ち会っている気がしていた。古い日記を取り出して、順に読み上げては炎にくべて、ひと山の灰を積もらせる。彼らが去った後、燃え残った林檎の赤が目に染みた。

●セットリスト
1. 月曜日 / 無菌室 2. 火曜日 / 空室 3. 水曜日 / 密室 4. 木曜日 / 寝室 5. 金曜日 / 集中治療室 6. 土曜日 / 待合室 7. 日曜日 / 浴室


■9mm Parabellum Ballet
 照明の赤がGAの赤だなあとか、前の人達の余韻でぼんやりしていた。そんな中でも二度目の9mmはやはり圧倒的。2階も踊る人いっぱいでフロア揺れていた。「Black Market Blues」「The Revolutionary」「Vampire Girl」「新しい光」とか知っている曲沢山聴けて楽しい。いつの間に曲名と曲が一致するようになったのか。
 ボーカルの人柄通りなのだろう詞の真っ直ぐさを、まだうまく受け止められずにいる。ちょっと違うけれどBJCに近い。嵌まると癖になるんだろうな。なりつつある。


■te'
 te'も二度目。リハから凄かった。パフォーマンスさながらのドラムソロ。そんなに長時間やって大丈夫?と心配になるほど叩いていたけれど、杞憂に過ぎなかったことは本番で思い知らされた。他メンバーが入ってからも凄かった。
 9mmと血が繋がっているんだと思った。躊躇いなく向かってくる音が体に届いた瞬間の皮膚感覚(みたいなもの)が同じ。何もかも吹き飛ばす、気持ちの良い暴風のよう。


 te'のアンコールに出演者が十数人割って入ってのエンディング! 一度ハーメルンの行列みたいにぞろぞろと一列で通り過ぎて肩透かしを食らっていたら、二度目はまあひっちゃかめっちゃかな乱入になった。ダイゴマン、ホイッスル咥えて交通整理みたいな動きしつつ客をアジってたの笑った。ある意味笛吹き男。
 来年はどんなお祭りになるだろう。今から楽しみにしている。


June 30, 2012

理性は秩序を紡ぐが、混沌はこれを誘惑する。涅槃原則の衝動が理性を越境し、集合的無意識を惹起する時、秩序は分断から解放され全一となる。恍惚の源泉は混沌に有り、万物は混沌に帰する。
@ 下北沢GARDEN

 どう見てもte'の企画です。イベント名でそれと解るってすごいな。独自の言語。

■People In The Box
 間に英国フェスや弾き語りがあったとはいえ、エイプリルフールぶりの3人の音。とにかく嬉しかった! そして、やっぱり特別に好きだと思った。余計な思考が入らず音に集中できる。集中できるのは幸せなことだ。
 最近のピープルの色んな面が詰め込まれたバランス良いセトリ。故意か偶然か「ニ」ムロッド→「し」みん→「に」ちようびよくしつ→「し」んあいなる「ニ」ュートン街の、って言葉遊びみたいで面白い。
 久しぶりだからか、湧き出るエネルギーよりも出来上がる形を大事にした演奏に聴こえた。やや固め。「日曜日 / 浴室」が3曲目に来ると思っていなくて(終盤で登場する大物のイメージ)、「市民」からの攻めの感じが新鮮で、とても良かった。いよいよ「親愛なるニュートン街の」を夏に聴けるのが嬉しい。夏の匂いの濃い『Citizen Soul』が1月に出てからずっと待ち望んでいた。他の曲も8月の劇場編で聴けるといい。「レテビーチ」の突き破って溢れてくるような快感もすごく良かった。
 ダイゴマンMCでラジオの告知、劇場編の告知、そして『Lost Tapes』告知! Candle Lightで披露されたアコースティックドーベルマンの音源化歓迎! 更に気になったのがこれ:「『天使の胃袋』アコースティックバージョンが収録されます! あと、悪魔の……あ、これはいいや」。何だ! 悪魔の、何なんだ! 新曲に期待。

●セットリスト
1. ニムロッド 2. 市民 3. 日曜日 / 浴室 4. 親愛なるニュートン街の 5. レテビーチ 6. ユリイカ 7. 旧市街

●MC備忘
は「どもども、ピープルインザボッk?s%&#」
客「?(拍手)」「しっかり!」「しっかりー!」
は「っせえ(笑)」


■クリプトシティ
 事前情報なく初見。オルタナ? ハードロック?というのか、低音が重厚なスリーピースの演奏+デモニッシュなボーカルの4人。開始後数分と経たずピープルのイノセンスが彼らの色に塗り替えられて圧倒された。ベースが凄かった。思いも寄らないフレーズが次から次へと展開されて釘付け。気になって調べたら、ナンバーガールのベーシストなのか。伝説の一端を目の当たりにしていたみたいだ。
 ボーカルは西洋の人? たぶん全英詩。あまり聞き取れず、でも「お前の大事な冷蔵庫の中身を全部食っちまうぞ」とか言ってそうな気迫(違ったらすみません)。客席を巻き込むパフォーマンスが上手い。MCではヘヴィなオルタナ色から一転、「クリプトシティと申しますー」「タノシイナ!」ってかわいい感じ。そんなギャップずるい。
 こういう音はライブで時々聴くとすごく楽しい。頭の中が嵐の去った後の街みたいになる。諸々吹き飛んで、残骸はぽつりぽつりあるんだけど、すっきりした気持ち。晴天のすっきりとは違っている。また聴けるといい。


■te'
 初見。バタイユの語る戦争のような演奏。つまり?と思い、訳書を引っ張り出す。

 戦争は組織化された暴力なのである。禁止の侵犯は動物的な暴力ではない。たしかに暴力ではあるのだが、理性を行使しうる存在(場合によっては暴力のために知恵を使う存在)によって実施された暴力なのである。
 - ジョルジュ・バタイユ『エロティシズム』より

 そんな演奏だった。要はドラムス。少しもよろめいたり迷ったりしない理性で、暴力的なくらいに大きなエネルギーを行使しているのが不思議。ギターやベースは割と思うがままに暴れているんだけど、全体としてはドラムスに組織されていて理性的。このバランスが成立し得るんだなあ、というのを思い知らされていた。イベント名は混沌寄りだけど、どちらかといえば理性が勝っている印象。何だか頭を使って聴いてしまったが、そんなことは放っておいてもすごく楽しかった。
 あの長い曲名、イベント名のペダンティックな雰囲気に気後れしてあまり聴いていなかったのに、感想を書いたらそれこそペダンティック? 付けられた名前と音は実は結構一致しているのかもしれない。
 アンコールでダイゴマン乱入! 「乱入」って言葉がぴったり。やりたい放題ドラム叩きまくって締めの音まで鳴らして去っていった。te'のドラマーはハンドマイクで客席に身を乗り出してアジテーターと化し、こちらもすごく楽しそうだった!

March 23, 2012

the cabs 2nd mini album release tour 「rasen no hotori」
@ 下北沢SHELTER

 霧雨の下北沢、ソールドアウトしておりぎゅうぎゅう詰めのシェルター。音源をひとつも持っていない3バンドのライブ、全て初見。小さなハコのためもあってか、どのバンドもエネルギッシュで音が迫ってくる感覚が強く、良いテンション。だからか共通して若い印象。どう若いのかはそれぞれ少しずつ違っていた。

■dry as dust
 dryでもdustでもなかった、何だろう……young as yacht。適当でしたすみません。ドライというにはエネルギーに溢れていたし、ダストというならスターダスト。Dという音のこもった暗い感じは全然なく、明るい若さを感じた。最後の曲のアウトロが会場をどこかへ引っ張っていくような力強さを放っていて良かった。

■Qomolangma Tomato
 3バンドの中で一番攻撃的でありつつ演奏が安定していて完成度高い。ボーカルが台詞言い続けながら次の曲に移る繋ぎ方の息をつかせない感が良かったり、ベースが面白いフレーズ弾いてたり、とても楽しめた。ボーカルの決壊した堤防みたいに溢れて止まらない怒涛の言葉攻めが若い。
 ボーカルは大人しめの会場に「金払ってこんな地下に集まってさー、楽しまないと意味ねえぞ」みたいに何度も呼び掛けていた。楽しかった、けれど個人的には共感して暴れようとは思えなかった。

■the cabs
 気になっていた彼らをみたくて、今夜足を運んだ。出会って以来耳から離れない「二月の兵隊」が聴けて嬉しかったし、Wアンコールのチャールズ・ブロンソンのために」ものすごく格好良かった! 一曲目終わったところで機材トラブル(弦切れた?)がありつつも、テンション高く駆け抜けていた印象。勢いあって若い。
 勢いがあり過ぎるのか演奏がまとまっていないように聞こえる。まとまりのなさが一周回って「チャールズ・ブロンソンのために」では逆に功を奏したような。凝っていて面白いドラム、YouTubeで聴くとクリアなスネアがとても好きなのだが、ライブではうまく生きていないような。観た位置のせいか。
 きれいに伸びる若い声、秋の始まりのような、繊細で少し影があるのも心地良い。もっと大きな会場でも大丈夫。個人的に好き嫌いがはっきり分かれる絶叫、キャブスのは好きだ。きれいな曲に割り込んでくる暴力性堪らない。
 ライブが終わってからずっと「二月の兵隊」の絶叫が頭の中に住み着いている。詞も気になるのでアルバムを買ってみることにした(同じ残響歌もののピープルの詞が日常から少し遊離しているのとはまた違って、キャブスは想像上の別世界を描いている印象)。時間を開けてまた観に行きたい。

●セットリスト(twitterより拝借)
1. skor 2. 二月の兵隊 3. カッコーの巣の上で 4. アンシェルス 5. 僕たちに明日はない 6. 解毒される樹海 7. camn aven 8. 第八病棟 9. キェルツェの螺旋 EN. 1. すべて叫んだ 2. チャールズ・ブロンソンのために


January 21, 2012

HIMEHAZIME @ 赤坂BLITZ

 冷たい雨の夜。仕事を終え、だめだ間に合わない……と諦めつつタクシーで直行。
 老年の運転手に「ロックって何です? 忌野清志郎さんなんかそうでしょ? でも若い人で化粧して髪がわあっとなったようなのも、そうなんでしょ?」と問われ、「ギターとドラムとベースが鳴ってたらそうなんですかね? 今日行くのは、見た目はその辺の若者ですよ」と答えた。正しいのか、どれほど伝わったのか、某ギタボの外見を「その辺の若者」と評して良かったのかは、解らない。

 ともあれ、彼のおかげで一曲目の終わりに滑り込めた。残響歌ものバンドツーマン。


■People In The Box
 大きな舞台で観るピープルが好きだ。群衆を音楽で従えた煽動者のよう。
 入ったら「旧市街」終盤。第一印象は、あれ、こんなに格好良かった?だった。場の空気も音もやたら格好良い。昨日の一言「ピープルのライブに来て下さい。これ(ソロ)より何倍も格好良いからね」に洗脳された?(まさか) 残響祭以来の感覚。対バンの空気のせいか。
 見よこれがピープルだ!と9mmファンに訴えるような直球セトリ。旧市街初聴の人は唖然としただろうし、続くのが「市民」と来た。終盤「完璧な庭」→「天使の胃袋」→「ペーパートリップ」の盛り上げ感すごい。その中で新譜から二曲初披露されたり「木曜日 / 寝室」(feat. ミラーボールの照明)が良いスパイスになっていたり。
 「沈黙」説得力がすごかった。ピープルでそう感じたのは初めてかもしれない。音源はどうしてもアーティストと距離があるけれど、目の前であの帰結を歌われるとずんと心に入ってくる。「技法」もそう。『Citizen Soul』がリアルに、立体的に迫ってくる感覚が楽しい。ツアーに期待が高まる。
 毎回書いているがやっぱり「笛吹き男」は特別好き。波多野MCで「結構……いい曲なんです。だから、皆もきっと気に入ってくれると思うんですけど」と紹介されたのがまた、嬉しかった。本当にいい曲。
 「天使の胃袋」、《ふたりはいつでも泣かない子供》→《僕らはいつでも泣かない子供》になっていた。多分。あまり歌詞変えてこないと思っていたので新鮮。
 久々の「ヨーロッパ」締め。以前の衝動がやや失われた代わりに、観客に届ける感が強まっていたように感じた。正に毒のようにじわじわ効いてくる演奏。
 今年のピープルはシティズンの後に何が来るのか。本当に楽しみにしている。

●セットリスト
01. 旧市街
02. 市民
03. レントゲン
04. 沈黙
05. 技法
06. ニムロッド
07. 木曜日 / 寝室
08. レテビーチ
09. 笛吹き男
10. 完璧な庭
11. 天使の胃袋
12. ペーパートリップ
13. ヨーロッパ


■9mm Parabellum Bullet
 初見。圧倒的。考える隙を与えず、音で攻める攻める攻める。最早非現実的なほど音に嘘がなくて、そりゃ愛されるわ、と思った。でもマシンガンの権威的な暴力じゃなく、独立した個々が闘っている感はやはりパラベラム弾。わかりづらい。個人の感想です!
 評判のドラムス(素人目にも解るくらいセットがすごかった)に注目したかったけれど、後方にいたせいかギターに埋もれてしまいよく聴けず。そのギターは音も動きも大変なことに。楔のようにマイクに固定されたギタボの周りで、楽器隊がリミッターなしで好き勝手やっている様が面白い。それでいて同じゴールに向かっているから、個でありながらまとまって爆発的なエネルギーになる。
 ギタボの人、MCの度にピープルピープル言ってくれた。直感的で面白い。「ピープルの迷宮のような美しい演奏のトンネルを抜けると……そこにいたのは俺達でした」「ピープルみたいなプログレッシブな、本当の意味でプログレッシブなバンド」「People In The Boxは箱の中の人々、つまり、皆さんのことです。9mm Parabellum Bulletは……よく解りません(会場笑)」。最後の、さらっと言われてびっくり。

 (9mmについては波多野さん「僕は9mm Parabellum Bulletが大好きです。同じ事務所だけど、そういうこと一切関係なく、好きです」と。あと「(銀色のアンプが)卓郎君のお下がりなんです。だから上に“9mm Parabellum Bullet”って書いてある」!)


 ピープル《あの太陽が偽物だってどうして誰も気付かないんだろう》と9mm《生まれたばかりの太陽の下に 君を連れて行くのさ》が同じ夜に聴けて嬉しかった。客の楽しませ方は全然違うけれど、音を鳴らす理由は両者よく似ているのかもしれない。是非また。

September 24, 2011

残響祭 7th ANNIVERSARY
@ Shibuya O-EAST / duo music exchange


 前日まで、気が向いたら行こうかな、程度だったところ、リアルに人工衛星が落ちてくるというニュースを聞いて即断。そんな日にピープルを聴かないでどうするんだ。
 2008年の924を見逃した過ちを繰り返さないためにも。

 体が弱っていたので観たのはピープルと3組だけ。以下順に。

■SCANDAL
 ピープルの場所取りのつもりで二組前から入ったら「THE ガールズロック」が眼前に。生演奏だけど別の平面での出来事のような距離感。プリンセスプリンセスとかホワイトベリーとか、いつの世代も一定の需要がある型の人達。という安定感もあった。

■Takeshi Nishimoto [I'm not a gun](from GE)
 ギターソロ。音に導かれるように弾いていて、聴いているこちらも自然と惹き込まれる。不協和音の不自然さが心地良く聴こえる辺り、残響ぽい。名前格好いいな。

■People In The Box
 会場で新譜買って、歌詞カード読んで臨んだ。
 客のテンションがワンマンより高いからか、更に熱をはらんでいてとても良かった!
0. ベルリン(リハーサル)
 人工衛星来るか、と早まって期待したけどそこまで行かず。
 波多野さん「リハだから、そんなに見ないで。見なかったことにしてくれ」
1. 市民
 昨年秋の野音(一曲目に「旧市街」)の衝撃を思い出した。やっぱり最初から勝負賭けてくる。そして第一声で《衛星墜ちて》! 来た来た来た。歌詞カードを入手して初めて聴いた今日はまた違ったぞくぞく感がある。受容の変化面白い。
2. 旧市街
 最初サイトで発表された時の「生演奏できるのか?」というくだらない杞憂に反して、聴く度に良くなってる。今回ものすごく完成度高かった。《軌道を外れた人工衛星の物憂い視線》!
3. レテビーチ
 楽しくなる魔法かかってる。周りみんなゆらゆら揺れていて心地良かった。
4. 笛吹き男
 胸が苦しくなる上に思考回路がぐちゃぐちゃになるような、激しい感情が押し込まれた詞。まだまだ消化できていないけれど、それでも目の前で演奏されると泣きそうだった。これからきっとものすごく好きになる。
5. 夜の人々
 劇場編のアコースティックで再発見された魅力が大きくて、エレクトリックは普通に思えてしまった。ベースちゃんと見たかったのだが福井さん死角……。ダイゴマンの手元見て、よく聴いていたら、やっぱり好きな音で安心した。
6. 天使の胃袋
 いつもどこかしら不安定で、でもレベル高過ぎる演奏が些細な瑕疵は軽く吹っ飛ばしてしまう。今回もそんな。

 (帰宅して『Lovely Taboos』聴いてる。歌詞が一段と深化していてまだまだ追い切れない。新譜出る度に思っているけれど、今回は輪をかけてどこまで好きになるのか全く底が見えない、恐ろしいポテンシャル持った盤。一言で言えば、本当最高です。)

■cinema staff
 初見。「シネマスタッフ」って軟体動物みたいな響きに反して、いかにも残響な激しいパフォーマンスにびっくり。ピープルと9mm辺りを掛け合わせたらこうなる?
 duoのトリで、アンコールがひっちゃかめっちゃかな大騒ぎ。物珍しくて最後まで見てしまった。

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Maira Gall