live / THE NOVEMBERS
Showing posts with label live / THE NOVEMBERS. Show all posts

January 24, 2015

新春!!三つ巴ライブ2015〜アコースティックの夕べ〜 @ 新宿LOFT

 旧知の3組でリラックスした空間に、歌舞伎町の際どさとロフトのロックンロール感が適度な緊張を漂わせる。その奇妙な均衡が面白い。新春!!というタイトルだけがめでたい。

■成山内(sleepy.ab)
 久しぶり。まだ北海道に住んでいて、今週は東京に来ているらしかった。雪で搭乗が遅れ、搭乗後も除雪のため機内で1時間ほど待ったという話をされていて、申し訳ない気持ちになったりした。
 そんなバックグラウンドの刷り込みのせいだけではないと思うのだけど、彼らの演奏は冬の匂いがした。白と白藍、新雪と淡く晴れた空の色がずっと見えていた。ボーカルが冴えた冬の空気みたいに響く。同じ澄んだ声でも波多野さんのとはまた違う。そこに山内さんがギターやアンデスや名前の解らない楽器で色を重ねていく。曲名で覚えているのは「夢の花」「さかなになって」。最後は「ねむろ」という曲。ずっと冬の色でいっぱいだった。

■小林祐介(THE NOVEMBERS)
 こちらも久しぶり。かつて森の妖精のようだった人は、ゴールデンレトリバーみたいになっていた。ふわふわの金髪で大きな演奏をしていた。スケールの大きな。
 Misstopiaで懐かしくなったり(なんと5年前に発表された曲である)、ノーミスで進んだmeltのサンプリングに上達を見たり。人の親になったのだからそれはもう変わるだろうと思っていた程には変わらず、安定して良かった。それでも数年前のイメージとは少し変わっていた。どこへ向かうのか、今でも気になる人ではある。
 自分の出番について「ラスボスに挟まれているよう」だと言っていた。その笑い方が相変わらず好きだった。

■波多野裕文(People In The Box)
 旧知の2組との共演については「光栄です」とコメント。終始リラックスモードで楽しそう。歌も演奏も気の向くままにできているようで良かった。緊張し過ぎるのでもゆる過ぎるのでもない、今日くらいのテンションが彼の最大値を引き出せるように思う。時間に急かされていたようなのが少し惜しい。
 曲目は9日とほぼ同じ。最近一曲目の定番である《追放された王様》の時点で演奏する歓びが見える。歌いたくて堪らないような、エネルギーを秘めた感じ。長く続くアウトロのスキャットがうつくしかった。二曲目「旅行へ」は昨日できたという新曲。「できるところまでやります。できなかったら……丸坊主にします。アンコールで」と笑いを取りつつ始まった。ぼくは旅行へ出かけた、酷く暑い日だった、お腹は壊さなかった、みたいに短い描写が3拍子に乗って進んでいく小品。まぬけな顔で、まぬけな顔で、と何度も繰り返すサビ。サビ?というか短い描写の行き着く広場的なフレーズ。最後まで演奏しきって「坊主は免れた」と呟きつつ、旅行が好きだけど行くとまぬけな自分を客観視する、という話をしていた。それからまずいラーメン屋に行った話でもきっちりと笑いを取り、「ぼく今日何なんでしょうね」と自分も笑っていた。微熱のようなテンション。
 「砂漠」最後に付け足された詞の歌い方が9日と少し変わっていた。《見渡す限りに拡がる砂漠で》を何度か繰り返し、最後に《手に入れたのさ》で一突き。いいね。
 今日は特にピープル曲率が高く、どれもとても良かった。ツアー後の「風が吹いたら」沁み入る。皆で手拍子するのも良いけれど、ひとりで《みんなここへおいで》と歌う波多野さんを小さなハコで見守るのも良い。バンドよりも詞のひとつひとつが噛み含めるように歌われて、浸透していく感覚。《誰も嘘つきなんかじゃないよ》と《どんな美しいひともじぶんの嘘に気づいていない》のせめぎ合い、ひりひりする。前者が既に勝っているのだけど、続けて聴くと揺り戻される。
 アンコール、こちらもお馴染みになった《蛇口を捻って》。この曲も今までの色々な詞と繋がっている。今日は《あなたは誰にも愛されないから》という嘘をつく自分と言った先の相手と、双方への《ばーか》に聞こえて、それが急に腑に落ちた。しばらくそんな解釈で聴くかもしれない。

 新しい聴き方と、「歌舞伎町、久しぶりに来たらパンチのある街ですね。気を付けて帰ってください」との言葉に送られて地上へ出る。来る時には気付かなかった「I LOVE 歌舞伎町」という大きなピンクのネオンを光らせたビルが目に飛び込んで、歌舞伎町 WOULD LOVE YOU TOOだよ、と思った。

●1. 《追放された王様》 2. 旅行へ 3. 砂漠 4. Calling You (Jevetta Steeleカバー) 5. 風が吹いたら 6. ダンス、ダンス、ダンス 7. ニムロッド EN. 《蛇口を捻って》

December 21, 2011

TOMOE @ 渋谷CLUB QUATTRO

 2011年最後のライブ、最高の締めだった。
 同志バンドによる3マンツアー、追加公演ファイナル。

■tacica
 TOMOE@岡山ぶり二度目。
 一曲目《夜が怖いなら泣けばいい 朝が来たなら笑えばいい》みたいな歌詞があって、ぐっと惹かれた。夜が怖いものだと指摘してくれる人はあまりいない。「newsong」という新曲らしい。それから歌詞に耳を傾けて聴いていたら、やっぱり所々救われるフレーズがあった。ありがとう。
 何となくsuzumokuと印象が被ってる。どちらもまだよく知らないからだろうな。


■People In The Box
 今年観た沢山のピープルの中でも、一番エネルギーが大きかった。クアトロが東京の彼らにしてはキャパ小さめ、自分がスピーカーに近かった、というのもあるだろうが、それらを差し引いてもとてもテンション高く、持てる全てをぶちまけるような演奏だったと思う。今回は波多野さんばかり見ていた(あの柱に阻まれ波多野さんしか見えなかった)。いつもダイゴマンに目を奪われがちなので珍しい見方。
 「アメリカ」始まりが新鮮。MARQUEE vol.88で「(『Family Record』の)オーバーチュア的な意思表明の曲」と語られていてなるほどと思い、今夜ライブの頭に持って来られて再びなるほどと思った。『Family Record』の主張は今も続いている。
 そのアメリカを起点に、「市民」→「笛吹き男」。笛吹き男、《消えてしまいたいよ》の後のギターリフが狂ったようにめちゃくちゃに絶叫していて痺れた。続くイントロと同じ穏やかなリフとのギャップに完全に呑まれる。そして《謎だらけの目覚めは君を生かす》という帰結! 未だにライブで聴く度に新しい魅力が見えてくる末恐ろしい曲。そして今年出会った中で一番愛おしい曲。

 は「尊敬できるバンドと一緒にやれて、本当に幸せだなあと思います」
 だ「(マイク通さず)かっこいいよ!」
 は「かっこいいって、僕のこと? 後でねー……お菓子をあげる」(会場笑)

 「ニムロッド」ベースとドラムがすごく見たかったけれど柱に阻まれる。終盤《あの子は木に登って》と《何か言った》の間はボーカルの沈黙が欲しかったけれど、ほぼレガート。とかあれこれ気になるくらいには聴き込んでいる。
 (MV「アメリカのつくったフィクションを塗り潰して新しい絵を描く」という浅い解釈しかできず好きになれずにいる。罪の無い言葉が虐げられているようでつらい。)
 「ブリキの夜明け」→久々にテンションたっかいダイゴマンMC→「ユリイカ」で濃厚なピープルワールドに沈む。ユリイカは昨年秋の野音以来? ちゃんと音源聴いてから初めてのライブだったから嬉しい。《ユリイカ 光を》で照り付けるストロボをまともに浴びてからの盛り上がり半端ない。どうしたってゲーテが連想されて(Mehr Licht!)、いきなり世界観がぐわっと広がるようで、切迫したあと8小節にぶっ殺された。
 最初は圧倒されるばかりだったのに、今やすっかり馴染みの「旧市街」で締め。
 People In The Box、今年も本当に本当にありがとう!!

●セットリスト
1. アメリカ 2. 市民 3. 笛吹き男 4. ニムロッド 5. ブリキの夜明け 6. ユリイカ 7. 旧市街


■THE NOVEMBERS
 ピープルに全力でぶっ殺されて立っているのが辛くなり、本編まともに観られず。先日のワンマンもだめだった、ついてないな……。彼らもまた圧倒的なテンションでそこにいるのは解った。
 アンコール「holy」はちゃんと観た。圧巻の演奏。小林さんブログで「トリのバンドはその夜を引き受ける」というような話をしていたけれど、この夜を、ツアーの最後を、見事に引き受けたと思う。そしてholy、足元を見詰めながらも明日が広がっていくようなこの曲が素晴らしいと改めて。未来へと押し出されて、TOMOEは幕を閉じた。
 小林さんのMCは優しい。「ライブに来てくれて嬉しいです。別に僕らのためとかじゃなくて、自分が楽しむために来てくれてすごく嬉しい。ありがとう」とか。「ピープルに全力でぶっ殺された皆さん、僕らが全力で……生き返しますよ」、自分の場合本当にそうだった。最高のトリをありがとう。

October 8, 2011

TOMOE @ 岡山IMAGE

 遠征してみた。土曜、岡山観光、TOMOE埼玉行けない、などにより。でも色々あり遅刻、更に出演順がランダムなTOMOEでよりによってピープル一番手という運のなさ……。それでもすごく楽しかった!(大原美術館がものすごく素敵でした、岡山!)

■People In The Box
 着く前にちょうど「泥の中の生活」が終わったらしい……残念すぎる。
 小さなハコよりも解放的なハコが似合うと思った。曲にもより、泥の中の生活なんてどちらでも違う表情を見せてくれるだろうし、「火曜日 / 空室」とか「一度だけ」とかも閉鎖的な場所にきっと似合う。だけど特にファミレコ以降の曲はスケールが大きいから、小さなハコだと窮屈そう。野音が最高だったのもある。
 演奏はすごく良かった。「天使の胃袋」で、ああ終わるなあと思いきや「スルツェイ」に突入してびっくり。テンション上がりきった状態で聴くスルツェイもまた新鮮で、詞の切なさより音の楽しさが圧倒的に迫ってきた。拍手喝采!
 MCは波多野氏が岡山後楽園で民族楽器の演奏を聴いた爽やかな話と、いつも通りダイゴマンの物販紹介とシモネタなど。ははは。

●セットリスト(前半はtwitterより拝借)
1. 市民 2. 泥の中の生活 3. 旧市街 4. 笛吹き男 5. どこでもないところ 6. 天使の胃袋 7. スルツェイ


■THE NOVEMBERS
 バンドでは初見。ライブやばい格好いい。音源よりずっと激しいノイズがライブハウスに充満して、赤い照明が危機感や逼迫感を煽る。最初から最後まで隙間なく「THE NOVEMBERS」の音で満ちていた。ラスト「彼岸に散る青」がこの日のベストアクト! 熱量凄まじかった。
 対して小林さんのMCはまったり。「ピープルとtacicaの物販コーナーは最早お家芸」「僕が(ダイゴマンみたく)テンション高く喋り始めたらどうしますか? それキャラ的にどうなんだろう。高松君とか。でも高松君なら何やっても格好いいよね(笑)」。結局グッズ紹介はなかった。


■tacica
 初見。盛り上がったのはトリだからだけではなくて、tacicaのファンが多かったらしい。よく知らないのだけど、希望を歌っているように聴こえた。明るくてノリが良い。ピープルの毒気やノベンバの危機感みたいな負の面は少なくて、この三組にいてくれて良かったと思う。

August 27, 2011

THE NOVEMBERS 小林祐介 ソロアコースティックミニライブ
@ タワーレコード新宿店

 何となくタワー新宿に立ち寄ったら、見覚えある森の妖精みたいな金髪ボブの人がリハーサル中だった。あまりに唐突なファーストエンカウンターその距離3メートル(リハ始まったばかりらしく客は遠巻きに1人2人のみ)に驚いて思わず一度立ち去ってしまった。なんでやねん。
 本番が始まった頃に戻ると人いっぱい。少しの余裕に潜り込む。

 「僕の印象って皆の中でどうなんだろうって想像すると愉快な気持ちになる」。
 MCでそんなことを言っていたのでこっそり回答しておくと、アー写・ブログ・twitter・音楽から受けるのと同じ印象(斜に構えたシニカルさと、それを覆うユーモアと、優しさ素直さが同居している人)で、そのことに安堵させられた。
 THE NOVEMBERSは華々しい魅力あるバンド、ではないけれど個人的にはとても好き。というのが、このフロントマンの波長が合うからだと再認。

 松任谷由実は意外。原曲の影響なのか、この日一番声がきれいに聴こえた。
 meltでギターやコーラスサンプリング→ループしていて面白い。
 アコースティックだからか、CDよりも優しさ素直さが際立っているように聴こえた。丁寧な弾き語りで、とても落ち着く空間。偶然にもあの場にいられて本当に嬉しく思った。ありがとう。

■セットリスト
1. 再生の朝 2. 37.2° 3. アルケミスト 4. 水の影(松任谷由実カバー) 5. melt

© nmnmdr blog.
Maira Gall