August 18, 2012

People In The Box 空から降ってくる vol.4 ~劇場編~
@ 東京グローブ座 2日目

 劇場編ファイナル。昨日と同じグローブ座で、昨日より更に遠い席。名古屋から徐々に遠く、ミクロからマクロへ俯瞰していくように観てきた。
 MCで『Ave Materia』告知! タイトルで既に鳥肌。Ave Mariaとのあからさまなアナロジーに、Materia=物質世界(としていいだろうか)への肯定と祝福しか感じない。聴く前からピープルの叫びが頭の中を駆け巡っている。聴かなくてもいいんじゃないの。なんて戯言をうまくぶっ壊してくれるといい。
 テンションがくるったままライブの感想を書きます。

 セットリスト一部変えてきた。「レントゲン」始まりで「鍵盤のない、」終わりの初期曲挟みで、「笛吹き男」~「沈黙」だった名古屋、東京1日目と対照的。生が強く感じられるのは同じで、余韻はかなり違った。
 カメラが入っていたからCut Threeに収録されるかもしれない。演奏は名古屋や東京1日目の方が良く聴こえたのでちょっと惜しい。今日は波多野さんがややお疲れだったような。とはいえ圧倒される瞬間は沢山沢山あった。

 昨年の劇場編のと多分同じ、窓のシルエットがスクリーンに映されてスタート。「レントゲン」、あまり気に留めていなかった《ここは希望の国》にはっとする。今のピープルからは圧倒的な肯定ばかり感じる。冒頭、ゆったりした波多野さんの歌とギターに合わせて、ダイゴマンがふにゃんとした赤いパイプを頭上で振り回し始めた。何事かと思ったら風みたいな音が鳴り出す。メロディーパイプ? 面白い! 確かにこの曲、誰もいない大地を風が吹き抜ける感覚がある。
 ダイゴマンは「El Condor Pasa」でカズー昨日より息が続いてたのも良かった。波多野さんが支えるように体でリズム取っていたのが、いつもと役割逆で印象的。そして安定の福井さん。ダイゴマンによると「これタンバリンじゃなくてタンブリン(? 違うかも)っていうんだよ。タンバリンよりもじゃらじゃらが大きい」らしい。へええ。楽器も曲もいつもと違うから、音のコミュニケーションが浮き彫りになって面白かった。本当に状態の良いアンサンブル。それから「Virtual Insanity」の終盤、間奏で挟まれるハイハット、癖になってふと頭の中で鳴り出したりする。正確で美しくて、というだけではなくて、迫るものがあって。本当にこの人の音は何なんだろう。是非収録してほしいけれど、権利関係とかあるのかな。
 一部ラストは「子供たち」! 予想外でびっくり、嬉しかった。CD音源があれなので、優しい終わり方にほっとする。福井さんのコーラス柔らかくてよく合っていた。最後のららら~以降ダイゴマンも歌っていて、その不器用さがまた良いなあと思う。声はやっぱり特別な音だ。

 二部始まりは「ベルリン」! 久々の赤と緑の照明にテンション上がる。ギター格好良いな。ライブハウスだとあまり手元まで見えないから、あんなに弾き倒していることにびっくり。
 やっぱり新曲が印象深い。今日はどちらも等しく好きだと思った。少しずつ詞が入ってくる。新曲1こと「球体」(多分、AMの収録曲名より)はダイゴマン輪唱もびっくり。波多野さんからより遠い、個がはっきり区別される声を入れたかったんだろうか。この曲だともう少し安定すると良さそう。《僕らは誰も殺せはしない》自分も?
 新曲2こと「ダンス、ダンス、ダンス」本当にこの曲名みたい。珍しく直球。《超然としていたって 頭はからっぽさ》刺さる。
 「水曜日 / 密室」久々ですごく嬉しかった。聴く度に迷路に嵌っていく。
 ラストは期待通り「鍵盤のない、」。名古屋のエンドロールで、多分間違って、この曲名が表示されていたから、きっとやるんだろうと思っていた。バラバラになりたかったから、そうなって、あのアウトロを聴けて、すっきりした。

 エンドロールの音楽、何だろう。"Realize, Realize, You're here, You're here"って聞こえた。ゆったりした男女混声(波多野さんではない)。名古屋も東京1日目も耳に入っていなかった。「気付いて、気付いて、ここにいるよ、ここにいるよ」。ファイナルでこれは、くる。ここにいていいんだと思った。これからもいられるといい。


■セットリスト
◆一部:アコースティック
01. レントゲン
02. ストックホルム
03. 火曜日 / 空室
04. はじまりの国
05. 木曜日 / 寝室
06. El Condor Pasa(Simon&Garfunkelカバー)
07. Virtual Insanity(Jamiroquaiカバー)
08. 土曜日 / 待合室
09. 天使の胃袋
10. 子供たち
◆転換ムービー:ダイゴマンが行く! ~韓国編~
◆二部:エレクトリック
11. ベルリン
12. 親愛なるニュートン街の
13. 犬猫芝居
14. The King of Rock 'N' Roll(Prefab Sproutカバー)
15. ユリイカ
16. 新曲1 球体
17. 新曲2 ダンス、ダンス、ダンス
18. 水曜日 / 密室
19. ニムロッド
20. 旧市街
21. 鍵盤のない、


■MC備忘
・齢
ダ「なかなかアダルティでしょ? アダルト(一部)とヤング(二部)ですからね」
ハ「でも、そんなアダルティって感じもしないかもしれないね。僕ら」
ダ「ああー。ま、ロリ顔ですからね!」(会場笑)
ダ「何歳くらいに見られてんだろ? 健太年上に見られる?」
フ「見られますね。上に」
ダ「波多野ちゃんは?」
ハ「僕、解んない」
ダ「俺は年相応に、まあ」
ハ「いいなあ年相応。何かね、すっごい上か、すっごい下かに見られる」
ダ「すっごい上っていうのは」
ハ「38とか」
ダ「38!?」(会場笑)
ハ「って言われる。それか18」
ダ「18!? それはない、18はないよ!」(会場笑)
フ「精神年齢は18(笑)」 ←!

・好きなこと
ハ「今日は本当に、来てくれてありがとうございます」
(会場拍手)
ハ「あのー、本当に。本当にねえ……こんな風に、好きなことをできるっていうのは、簡単なことだと思ってないんですよ。僕は。……その象徴みたいな曲をやります。これも僕がプレゼンして、これやりたい!って言って、やってるっていう。ふふっ」 →Prefab Sproutカバー演奏




(すごく個人的な感想。
 新譜発表はものすごく嬉しかったんだけど、タイトルを聞いて何となく不安になった。肯定と祝福だけでは生きていけない。ポジティブな方向に進むだけなのかと思うとぞっとした。生きていけない。
 だから「鍵盤のない、」が聴きたかった。初期の、死の匂いのする曲。
 CSツアーで音と血が繋がったような気さえして、もしかしたらそこがピークで、後は離れていくだけなのかもしれない。だけどこの劇場編で聴いた二曲はすごく良かったから、ただの杞憂かもしれない。
 好きになり過ぎたかもしれない。ばかだなあ。
 タイトル発表されただけでここまで考えるのも、ばかだなあ。)

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Maira Gall