September 26, 2011

Cocco ザ・ベスト盤ライブ5本〆 @ Zepp Tokyo


 個人の感想です。と前置きして書きます。

 前半、活動休止前の曲の不完全燃焼さが物足りず。気迫が充分ではなかった。昔のCoccoを今のCoccoがなぞる、頑張って歌っていますという感じ。
 とか言っても思春期にどっぷり浸っていた名曲達のオンパレードは感慨深い。ひとつひとつが目の前で歌われる度、その曲とリンクしている思い出やら感情やらが、Coccoを媒介して昇華していくような感覚。一曲終わる毎に暗転して、流れが途切れたのも影響したように思う。昔「ライブはお葬式」と言っていたのを思い出す。ユタの血を信じずにはいられない。ほとんど宗教的な体験。
 風化風葬が飛ばされたのは残念、なぜだ……。いつか聴きたい。
 中盤、「Rainbow」→「焼け野が原」の流れは切な過ぎる。いつかまたネギと同じステージで歌ってくれるだろうか。
 SINGER SONGERから2曲。未発表の「花柄」はまだしも、個人的には「初花凛々」はあのメンバーだからこそ成り立つと思っていて、ソロで聴くと違和感がある(堀江さんはいるが)。違う意味で切ない。
 遥かに良かったのが後半「音速パンチ」から。エメラルドツアーの気迫と集中力が戻り、「絹ずれ」→「ニライカナイ」→「玻璃の花」は圧巻! 前半は曲に乗ったり口ずさんだりして観ていたけれど、後半は立ち尽くすしかなかった。ただただ圧倒的。いつもCoccoの今リアルな曲を歌ってほしいと思う。
 最後の新曲は、明日と向かい合って書かれたような真っ直ぐな曲。写真の金銀テープが大量に放たれ、会場がきらきらきれい。こんな風に明日が来たらいいなあ、という風景を歌でも演出でも見せてくれた。
 全体的に演出、照明がすごく良かった。曲への愛情をこれほど感じた照明は初めて。

 ライブの感想を書いたけれど、何よりCoccoの健康を願っている。あの気迫に惹かれているとはいえ、命を削っているようで心配にもなる。健やかな明日が来ますように。


■セットリスト
01. カウントダウン
02. 強く儚い者たち
03. Raining
04. 雲路の果て
05. 樹海の糸
06. ポロメリア
07. けもの道
08. 星に願いを
09. 羽根
10. Rainbow
11. 焼け野が原
12. blue bird
13. ガーネット
14. 初花凛々
15. 花柄
16. 音速パンチ
17. 流星群
18. 甘い香り
19. 絹ずれ
20. ニライカナイ
21. 玻璃の花
22. 新曲「Say hello」日本語と英語入り混じり


■MC備忘
(玻璃の花の後)
「MCするの忘れてた(笑)。今リエ(堀江)と相談して、どうしようかって……」
「小さい頃からよ、何でこんなんなのか解らんけど、明日が来るってことをあまり信じていない子供で。保育園とかで『みなさんさようなら、またあした』とかやるさ。でも、本当に明日会えるんかな?とか思ってた。その、性分っていうものは大人になっても変わらなくて、こんなことをツアー初日で言うのも、あれなんだけど。明日が来るかなんて誰にも解らない。……でも、実は明日やりたいこともいっぱいある」
客「何ー?」
「洗濯とかよ(笑)。今日はできんかった」(客爆笑)
「そんなんだから、今日できることは今日のうちにって思って……ありがとございます」

September 25, 2011

凛として時雨 Presents "トキニ雨#13~Tornado Edition~"
@ TOKYO DOME CITY HALL

 ゲストChara、本当に良い組合せだった。

■Chara
 初見。イメージ通り、エネルギッシュで鮮やかで、感性のかたまりみたいな人。「歌が好きな人とかいるじゃないですか。(中略)そういう人にすごく憧れてたんですよ」というのはJAPAN10月号でのTKの発言で、そのままCharaに当てはまるんじゃないか。
 「Junior Sweet」「スワロウテイル・バタフライ」「やさしい気持ち」が聴けて嬉しい。それ以外は解らず、新曲が多かったようだけど、気にならず楽しめた。感覚がそのまま声になり、フレーズになり、曲になる。その過程がそのまま目の前で展開されているようで、少しも飽きない。20年のキャリアすごい。

■凛として時雨
 「音出して演奏するのが純粋に楽しいとか、そういう人間になりたいなと思って」
 同じくJAPAN10月号のインタビューでのTKの言。ライブは苦しくもある、とも言っていた彼が今日「楽しいですね」ってぽつりと呟いたのは感慨深かった。嬉しかった。時雨はアルバムを作る度に曲のストックを出し尽くすと聞いて、いつか突然途切れるんじゃないかと思っていたけれど、まだまだ続きそうで安心。良い変化。大きな変化。変化したTKからどんな曲が生まれてくるのか楽しみだ。
 定番曲中心のところ、この時期に「秋の気配のアルペジオ」聴けたのは嬉しい。
 久しぶりの「傍観」、やっぱりびりびり来た。今日は345がテンション高く(高校生の頃からChara好きと言っていたから、それでかな)ベースも声もとても調子良い。傍観では膝付いてベース掻き鳴らして振り切れていた。
 ピエールが最後左足けんけんで退場していて、攣ったのかと思ったら、元々痛めていたらしい。早く良くなって、根本的な解決策も見つかって、末永く時雨のドラマーでいてくれますように。

 あのCharaの後のこんなTK、時雨だから、余計に「音楽の楽しさとは何ぞや」みたいなことを考えながら観ていた。自分が音楽を聴いているのはなぜ、ライブに来るのはなぜ、とか、何となく通り過ぎてきたことを今も考えている。時雨×Charaでないと生まれなかった余韻。本当に良い組合せだったと思う。もう少し考え続けたい。

■セットリスト
01. a symmetry
02. テレキャスターの真実
03. COOL J
04. I was music
05. DISCO FLIGHT
06. 秋の気配のアルペジオ
07. illusion is mine
08. Can you kill a secret?
09. Telecastic fake show
10. 感覚UFO
11. 傍観

September 24, 2011

残響祭 7th ANNIVERSARY
@ Shibuya O-EAST / duo music exchange


 前日まで、気が向いたら行こうかな、程度だったところ、リアルに人工衛星が落ちてくるというニュースを聞いて即断。そんな日にピープルを聴かないでどうするんだ。
 2008年の924を見逃した過ちを繰り返さないためにも。

 体が弱っていたので観たのはピープルと3組だけ。以下順に。

■SCANDAL
 ピープルの場所取りのつもりで二組前から入ったら「THE ガールズロック」が眼前に。生演奏だけど別の平面での出来事のような距離感。プリンセスプリンセスとかホワイトベリーとか、いつの世代も一定の需要がある型の人達。という安定感もあった。

■Takeshi Nishimoto [I'm not a gun](from GE)
 ギターソロ。音に導かれるように弾いていて、聴いているこちらも自然と惹き込まれる。不協和音の不自然さが心地良く聴こえる辺り、残響ぽい。名前格好いいな。

■People In The Box
 会場で新譜買って、歌詞カード読んで臨んだ。
 客のテンションがワンマンより高いからか、更に熱をはらんでいてとても良かった!
0. ベルリン(リハーサル)
 人工衛星来るか、と早まって期待したけどそこまで行かず。
 波多野さん「リハだから、そんなに見ないで。見なかったことにしてくれ」
1. 市民
 昨年秋の野音(一曲目に「旧市街」)の衝撃を思い出した。やっぱり最初から勝負賭けてくる。そして第一声で《衛星墜ちて》! 来た来た来た。歌詞カードを入手して初めて聴いた今日はまた違ったぞくぞく感がある。受容の変化面白い。
2. 旧市街
 最初サイトで発表された時の「生演奏できるのか?」というくだらない杞憂に反して、聴く度に良くなってる。今回ものすごく完成度高かった。《軌道を外れた人工衛星の物憂い視線》!
3. レテビーチ
 楽しくなる魔法かかってる。周りみんなゆらゆら揺れていて心地良かった。
4. 笛吹き男
 胸が苦しくなる上に思考回路がぐちゃぐちゃになるような、激しい感情が押し込まれた詞。まだまだ消化できていないけれど、それでも目の前で演奏されると泣きそうだった。これからきっとものすごく好きになる。
5. 夜の人々
 劇場編のアコースティックで再発見された魅力が大きくて、エレクトリックは普通に思えてしまった。ベースちゃんと見たかったのだが福井さん死角……。ダイゴマンの手元見て、よく聴いていたら、やっぱり好きな音で安心した。
6. 天使の胃袋
 いつもどこかしら不安定で、でもレベル高過ぎる演奏が些細な瑕疵は軽く吹っ飛ばしてしまう。今回もそんな。

 (帰宅して『Lovely Taboos』聴いてる。歌詞が一段と深化していてまだまだ追い切れない。新譜出る度に思っているけれど、今回は輪をかけてどこまで好きになるのか全く底が見えない、恐ろしいポテンシャル持った盤。一言で言えば、本当最高です。)

■cinema staff
 初見。「シネマスタッフ」って軟体動物みたいな響きに反して、いかにも残響な激しいパフォーマンスにびっくり。ピープルと9mm辺りを掛け合わせたらこうなる?
 duoのトリで、アンコールがひっちゃかめっちゃかな大騒ぎ。物珍しくて最後まで見てしまった。

September 1, 2011

KT Tunstall @ Shibuya O-EAST

 見た目小柄でキュートなKT、歌い出すととにかくパワフル。Tiger Suitに納得。
 魔笛の夜の女王的な他者を張り倒すパワーではなく、ビョーク的な大地揺るがすようなのでもなく、自己ががっしりしているなあ、という強さ。かと思いきや時々センチメンタル女子になり、これはもう惚れるしかない。生で観たことないけどアヴリルに近いような。あちらよりもお姉さんな分、ガールズ・ロックというには渋く、生きてきた年月がそのまま音に乗り力強さを与えている。

 Other Side of The Worldのアレンジにやられた。ソロでギターも使わず、サンプリングした音に乗せて歌う。CDのような空飛んでそうな解放感ではなく、部屋の片隅で誰かを思って歌うしっとり感に貫かれ、まさにother side (of this song)。
 Black Horse and Cherry Treeは期待以上。サンプリングとループペダルで曲が作られていく過程が目の前で! 後半バンドが加わり、テンション上がる一方だった。
 新譜からはDifficulty、あの葛藤が生音で迫ってきたことに感激。"The Entertainer"以外全てやって退屈な曲がひとつもない。完成度すごい。もっと聴き込みたくなった。

 バンドメンバー含め、MCも楽しかった。

 KT (客に背を向けて)「Can anybody call me KT?」 誰かKTって呼んでみて?
 客 「「「「「KT!!」」」」」
 KT (振り向いて)「モシモーシ?」

 そう来たか。

■セットリスト
01. Glamour Puss
02. Come On Get In
03. Uummannaq Song
04. Hold On
05. False Alarm
06. Little Favours
07. Other Side of The World
08. Black Horse and Cherry Tree
09. Difficulty
10. Lost
11. Golden Frames
12. If Only
13. Madame Trudeaux
14. Saving My Face
15. Push That Knot Away
16. Fade Like a Shadow

EN.
01. Scarlet Tulip
02. (Still A) Weirdo
03. Suddenly I See

© nmnmdr blog.
Maira Gall