August 17, 2012

People In The Box 空から降ってくる vol.4 ~劇場編~
@ 東京グローブ座 1日目

 前回の名古屋から5日後、再びの劇場編。自分に戸惑うくらい名古屋とは全然違う見方をした。二度目かつ席が遠くなったからか。すごく楽しかったけれど、どこか一歩引いて眺めていた。観る位置は重要なんだと今更。

 セットリストは名古屋と全く同じ。いつもちょこちょこ変えてくるピープルにしては珍しい。確かにすごく良いセトリ。
 照明の配置のせいか、舞台背景や舞台脇に映るメンバーのシルエットが格好良い。後方でも充分見やすく、音も良い。何よりシェイクスピアと繋がりのある場で聴けて、個人的にテンション上がる! 16世紀に英国民が集ったように、21世紀の今ピープルを観に集う。26世紀にも同じように人は集うはずだ。余談。

 アコースティックパート、テンポゆっくりな演奏、特に「技法」が難易度高そう。ひとつひとつの音の解像度が高くないと、引き伸ばされた時に耐えられない。だからこの曲名なのか。客としてはじっくり味わえてとても面白い。
 カバーは、二部のもそうで、慣れが出てくると面白さが薄れてしまう。けれども福井さんのマルチさと輝きっぷりは今夜も素晴らしかった。「Virtual Insanity」の格好良さったらない! そして波多野さんが危機感をストレートに - it's a crazy world we're living in - ぶつけるのは英詞だからか。1996年の発表から10年以上経って一層危機感が強くなってしまった今、この曲を再発見したセンスに震える。
 「汽笛」名古屋よりは落ち着いて聴けた。本当に汽車が進んでいくようなエレクトリックに対して、アコースティックは人が手と手を取り合って踊ったり、歩いたりしながら進むイメージ。3拍子パートのワルツみたいな軽快さが最後に戻ってくるところで、ちょっと置いていかれそうになりつつ、また踊り出すような。解き放ってくれるアレンジ。体が軽くなった感覚。ありがとう。

 韓国へ行ったダイゴマン、ファンにお土産くれるサプライズ素敵だ(書かなかったけれど名古屋でもあった)。場内の一名様の座席に仕掛けてあることがライブ終盤明かされ、各々探ってみるという趣向。今回はなかなか見つからず、終演後に皆で探したね。席近かったから一緒にごそごそしてた。無事見つかると、会場全体から拍手!!
 ピープルのお客さんあたたかいなあと思う。なんであんなにあたたかい人達がピープルを聴いているのか、とつらつら考えて、ピープルがあたたかいからだ、と単純な答えが出た。そこを共有しているから皆集ったんだ。きっと。

 二部、「し」みん→「し」んしがい→「し」んあいなるニュートン街の、の連なりで幕開け。
 名古屋では新曲2、今日は新曲1が好きだった。そんなこともある。新曲1《球体に護られて 体は痣だらけ》《声を返せ》《僕らは誰も殺せはしない》《空を返せ》。奪われたものを取り戻そうとする強い叫び、CSの基調を継いで進んでいる。出だしがかなり格好良い。福井さんがダイゴマンの方に身を乗り出して2人でタイミング図り、爆発的なスタート。曲も前はあまりぴんと来なかったのが、今日はするする入ってきてメロディー覚えた。これと新曲2が入る次のアルバム、一体どうなってしまうんだろう? 間違いなくまた好きになる。
 新曲2の哲学者は《とても厳しかった》人で、歌い手は《許してもらえなかった》らしい。後半《ついていい嘘なんてあるはずない》と聴こえて、今日はこのフレーズがぐるぐるしている。そんなことないよVSそうだろうか。
 「金曜日 / 集中治療室」も前よりは落ち着いて聴いて、でも楽しくて仕方ない。《翌朝~消えていくよ》でテンポがぐっと落ちた後、走り出すようなスネアに導かれて戻っていく緩急好きだ。曲の深み。

 ラスト「沈黙」。名古屋で受けたものすごい衝撃は和らいでしまった。代わりに噛み含めるように聴こうとしたけれど、やっぱり名古屋ほどは打たれなかった。帰結が判っているから予定調和みたいに感じてしまったのだと思う。二度目は難しい。
 冒頭、ダイゴマンのアレンジは初? 名古屋ではあんな粋な音に気付かなかったんだろうか。波多野さんのギターリフのあちこちに、多分即興で、色んな音を散らす。特に印象的なのがフロアタム。張り詰めた氷の下、地中深くのマグマのような熱に、CSツアー「冷血と作法」を思い出す。怒りだと感じた。数倍の緊迫感でスタートしたからいつも以上に引き込まれ、アウトロの音のまとまりにほっとして力が抜けた。

 明日はどうなるんだろう。大体雰囲気も曲も判っているのに、どんな受け止め方をするか予想できない。劇場編ツアーファイナル、こわさ半分で楽しみにしている。


■セットリスト
◆一部:アコースティック
01. 笛吹き男
02. 技法
03. 火曜日 / 空室
04. はじまりの国
05. 木曜日 / 寝室
06. El Condor Pasa(Simon&Garfunkelカバー)
07. Virtual Insanity(Jamiroquaiカバー)
08. 土曜日 / 待合室
09. 天使の胃袋
10. 汽笛
◆転換ムービー:ダイゴマンが行く! ~韓国編~
◆二部:エレクトリック
11. 市民
12. 親愛なるニュートン街の
13. 新市街
14. The King of Rock 'N' Roll(Prefab Sproutカバー)
15. 見えない警察のための
16. 新曲1 球体
17. 新曲2 哲学者、ダンスダンスダンス
18. 金曜日 / 集中治療室
19. ニムロッド
20. 旧市街
21. 沈黙


■MC備忘
・B'z
ダ「ギターどれくらいやってるの?」
フ「僕、ギターから始めました」
ダ「ああー! ベーシスト多いよね!」
フ「B'zとか弾いてた。Pleasure/Treasureとか」
ハ「えっ? 全然知らんかった」
ダ「ああ、あの金と銀のやつね! (客に)皆知ってる? えっ知らない? 波多野ちゃん知ってる?」
ハ「B'zを?」(会場笑)
ダ「いやいや、B'zのPleasure/Treasure、金銀のやつ」
ハ「あー、そういうのが、あるのね(笑)。でも僕、B'zは結構知ってますよ。有名なのは結構。B'zで古今東西とかやったら絶対楽しい!」
フ「やったことある」
ダ「まじで?! 何やった? 俺全く覚えてない」
フ「一番上手かったのはね、波多野ちゃん」
ハ「(笑)」
ダ「この話これ以上やめよう! 誰かがやらなきゃいけない流れになる(笑)」

・麻薬
(ダイゴマン英国で薬を売りつけられそうになった話から)
ダ「初海外でマリファナだぜ? ぞっとしたね!」
ハ「あっちじゃ煙草感覚らしいよ」
ダ「って言うよね」
ハ「でも、そういうの要る?って思うよね」
ダ「?」
ハ「脳内麻薬でさ、こう、うわあああ~ってさ。なろうと思えばなれるじゃん、俺達」
ダ「はい!?」(会場笑)
ダ「(客に)あのー、110番はしないでくださいね」(会場笑)

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Maira Gall