August 6, 2013

Björk "Biophilia Tokyo" @ 日本科学未来館

 初見にしてとても特別なライブ。キャパ800人でステージを360度囲むから、とにかく近い。目の前2mの距離にビョーク。徹底された転売対策なのか、開場時に精算に使ったクレジットカードを機械に読み取らせてチケット発券。「プレミアムチケットです」と手渡される。ランダムに整理番号が割り振られて、少しロビー開場で待ってから入場。幸運にも1桁の番号を引き当て、最前で観た。多分こんな機会は二度とない。




 ライブの写真は後日サイトで公開されるらしいので楽しみ。衣装は既に上がっているフジロックと同じDNA daisy balloon dress、日本のRie Hosogaiさんによるらしい。足元は暗い銀色でヒール8cmくらいのウェッジソール、海の底みたいなぐんと深い青に銀のラメ入りタイツ、ウィッグは灰色を基調にDNAドレスと同じ色の糸がふわふわ編み込まれていた。衣装と喧嘩しないためか主張を抑えつつのステージメイク、目は黒の縁取り、瞼に青のシャドウ、しっかりめの眉。唇は艶のある淡いピンクのルージュ。肌白い。顔小さい。ヘイゼルの瞳と視線が絡む(という錯覚を起こす)ひと時の至福。

 あまりにも純度の高い空間だった。開演前のアナウンス「写真撮影、録音、録画はお断りします。家に帰って楽しむのではなく、今体験してください」の理由が今ならよく解る。嘘も本当も、魔法も現実も、言葉も言葉にならないことも、みんな形が判らなくなるまで混ざり合ってビョークによって昇華されて、いまだけがあった。ともすれば簡単に剥がれてしまいそうな存在を世界と密に繋ぎ止めるライブ。ライブというか表現。圧倒的な表現だった。存在そのものの。生きてここにあるということの。

 感想を少し。
Thunderbolt、カスタムメイドされたテスラコイルの迫力と不思議! 紫色の稲妻がバチバチッと発生して音階を成す。まさに"how the three come together; nature, music and technology"。
Moon、ハープ(これは録音)に合わせてとととと、と歩くビョーク自身がBiophiliaと一体化、同一化していることを感じる。靴音も音楽の一部。キュートかつ神秘的な歩き方というものを初めて観る。
Crystalline、ドラム(電子ドラム?)で実際に鳴らされるリズムとビョークの歌とコーラス隊の声と振り付け、それらのハーモニーに上がる上がる! 曲終わり「オツカレサァマ!!」と言われて何事かと。誰もが外国人への説明に難儀しているであろう日本独特の挨拶。気に入ったのか何回か言ってた。アリガァト!もどちらも何でもかわいらしいので良い。
Hollow 会場上のモニターに映し出されるMVと生歌の相乗効果ものすごい。入りの"Hollow"のぞわぞわ感がずっと続いた。
Dark Matter 目の前でビョークがiPad使って演奏しながら歌! タッチすると音階が変わってた。慎重にタッチする様がかわいらしい。
・『Medulla』からMouth's Cradle、最後ビョークがステージ中央に進み、コーラス隊に囲まれて見えなくなっていく演出。cradle/shelterの中に包まれていくように。
Virus、Biophiliaの中で一番内面的で、だから親密に感じられて心地良い曲。奇妙で歪な形をしているのに、アウトロのグロッケンの音には幸福以外の何もなかった。
・幸せなままJógaへ。まさか聴けるとは思っていなくて、モニターにMVが映し出されつつ目の前でビョークが"How beautiful to be"歌っていて、頭の中がpuzzled/confusedしまくっている間に終わった。Biophiliaアレンジもとても良かった。
・Biophiliaは既に充分好きだったけど、ライブで聴いたらまた違う角度から好きになった。本編最後、コーラス隊がいなくなりビョークソロで歌ったSolsticeは一番音源とのギャップがあって印象が変わった。なんて強い曲なんだろうと思う。
・アンコール、"I am sorry that I do not speak Japanese"と言っていたので、ARIGATOもOTSUKARESAMAもばっちりですよノープロブレム、と思う。"(テスラコイル見ながら)We'll play with this toy! Because I LOVE it ;) "キュート過ぎて痺れる。子供の遊びにしてはあまりにも壮大ではないか。
・テスラコイルの稲妻が加わったPossibly Maybeのアレンジも良かった!
・"I would like to ask all the people to stand up!"(指定席もあった)で怒涛のNáttúra Declare Independenceで締め。コーラス隊のお姉様方も煽り踊りヘドバンし、上がり過ぎ踊り過ぎ、"Raise your flag!" "Higher! Higher!"の一体感といったらない。最後ビョークに1mの距離で煽られた。"Higher! Higher!"コールの中、客席の間の通路を通って退場する彼女に触れようと群がる人並みに揉まれまくる。そんなこんなで踊り果てて終了。延々と拍手が続く中、モニターが消え、照明が客電に変わり、ゆっくりと終演。

 生涯忘れないライブのひとつになった。Takk Björk、幸せでした。


■セットリスト
Biophilia Intro (Narrated by David Attenborough)
01. Óskasteinar
02. Thunderbolt
03. Moon
04. Crystalline
05. Hollow
06. Dark Matter
07. Hidden Place
08. Mouth's Cradle
09. Immature
10. Virus
11. Jóga
12. Pleasure Is All Mine
13. Mutual Core
14. Cosmogony
15. Solstice

EN.
16. Possibly Maybe
17. Náttúra
18. Declare Independence

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Maira Gall