April 20, 2011

People In The Box "Family Record release tour"
@ 中野サンプラザ

 日常から少し遊離した彼らの音と言葉は、3.11以後のもやもやに一区切り付けてくれた。ライブ後はすごく充実して、同じだけからっぽでもある状態。明日からも生きていくためのちょうど良いバランスに戻してくれてありがとう。
 シュールレアリスティックな世界観が彼らの何よりの魅力だと思っていて、それより何より目の前の現実に向き合わなければならなかったこのひと月、ピープルをまた楽しめるかどうか、開始前は不安だった。嬉しいことにそれは杞憂で、彼らのパフォーマンスに「現実」を見出したのが今回一番大きな収穫だった。
 誰かがピープルを「選ばれた子供の悪戯」「箱庭的な世界」と表現していて、CD音源を聴いているとそうなんだけど、ライブでの印象は違う。不条理なファンタジー(のふりをした現実)に立ち向かう人間の葛藤を見せ付けられて息苦しいくらい。こんな状況だから余計だろうか。
 《気を失うほど楽しいのがいいね》《もうすぐトンネルを抜けるよ 光り溢れ》《虫の息になることもある でもそれも今夜までさ》みたいな解りやすく前向きなフレーズにぐっと来た。これも今の状況だからこそ。
 ひとつひとつの音がCDよりずっと胸に迫るのもライブならでは。
 波多野MC「(震災を受けて)これまでの良いとか悪いとかの基準が全部なくなった今、トライアンドエラーしてみるしかない。だったらみんな、楽しもうぜ」。ざっくりまとめてしまうとこんな。時間をかけて言葉を選びながら、とても丁寧に伝えてた。やっぱりこの人の話し方好き。
 彼らのライブを観たのは三度目で、毎回すごく良いんだけど満足しきることがなくて、もっとできるんじゃないか?とも思う。今回は、スルツェイがアンコールの締めに来たことに違和感があった。大好きだけどスルツェイ、君は終わりの方で登場すべきだけどスルツェイ、でも締めじゃない。(どういうこだわりなのか自分でも解らない)
 ひっくり返せば、これからもっともっと良くなると確信しているということ。本当に楽しみなバンドだ。

■セットリスト
01. 東京
02. アメリカ
03. ベルリン
04. レテビーチ
05. 新市街
06. 泥の中の生活
07. 火曜日 / 空室
08. ストックホルム
09. マルタ
10. どこでもないところ
11. リマ
12. 犬猫芝居
13. 月曜日 / 無菌室
14. 天使の胃袋
15. はじまりの国
16. 旧市街
17. JFK空港

EN. 1
01. 新曲
02. She Hates December
03. スルツェイ

EN. 2
ヨーロッパ

© nmnmdr blog.
Maira Gall