December 27, 2012

DECEMBER'S CHILDREN @ 日本武道館

 武道館へは寒い時期に足を運ぶことが多い。今日も冬の青空の下、葉の落ちた枝々のアーチを見上げながら進む。そして写真を撮ってしまう。


 着込んで行ったお陰かそれほど寒くなく、コート脱いでおけるくらい。とはいえ着たままの人も多かった。やはり防寒を怠るべからず冬の武道館。
 14時開演、21時終演の長丁場。16時頃着いたら客入り7割くらい。各バンド30~40分くらい演奏して転換を繰り返す、ちょっとしたフェスの様相。
 どのバンドも容赦なくやりたい放題で、とても楽しかった。


■ドレスコーズ
 初見。舞台で演じる虚飾の空と華、その境を酩酊するようにふらふら千鳥足なボーカルが印象的。彼なりの美学に依っているんだろうと思った。取り憑かれているようでもあった。楽しそうなのが幸い。昨今、しかも男性では珍しい路線。
 凄まじい女のドラムに釘付けになっていて、今調べたら男だった。びっくり。動物が駆け回ってるみたいな勢いが面白かった。
 《テレビなんかより戦争がしたい》って叫んでいたボーカルは、最後客席に投げチュー振りまいて去って行った。最初から最後まで演技派。目の前で観られて良かった。


 転換中、緞帳の奥からリハ中のドラムがずっしり響いてくる。次、ピエールだ!

■ピエール中野
 やりたいことをやりたいだけやって帰って行った!
 セットリスト、ご本人のツイートより。

【ピエール中野武道館】攻殻機動隊OP→ドラムソロ→レーザービーム×即興ドラム→MUCCミヤさんセッション→MC「ライブハウス武道館へようこそ!ここは東京だぜ!」→DJ:Mステ→A・RA・SHI(歌入りに合わせて熱唱)→BABYMETALヘドバンギャー→Xジャンプ→エンドレスレイン

— ピエール中野 凛として時雨のドラム (@Pinakano) December 28, 2012

 ドラム久々に聴いたら圧巻。音が重たいのに回る回る回る。当たり前みたいに享受していたピエールの演奏、すごく贅沢だったんだなと思う。
 DJピエール初見。12/21初出演したMステテーマ曲に合わせて四方八方にお辞儀。既に会場爆笑! Perfumeのタオルで汗を拭う姿もブレない。そして武道館に響き渡るA・RA・SHI! A・RA・SHI! For Dreaaaaam! サビで手のフリご一緒に! 何のイベントだっけ?ってな疑問も吹っ飛ばす! 客席一面、仕込まれたかのように完璧だったのは今思えば何だったのか。最後のバラードぽいところ、ソロでしっとり歌い上げ……るはずが、本人耐え切れず噴いてて笑った。新たなるPierre's moment。
 「今一番気になる人達」との呼び込みでBABYMETAL登場、1曲「ヘドバン! ヘドバン!」歌って踊って「See you☆ミ」って去って行った。ピエール、脇で踊ったりヘドバンしたり、ただのファンと化す。ドラム叩かんのかい! 割と大人しくなった会場に「びっくりした? びっくりした?」って話し掛けてきてまた笑った。気さくだな。
 最後Xジャンプで武道館が揺れる! 楽しかった! また時雨でMC聞きたい。


■ギターウルフ
 初見。バンド名の通りロックンロール然としていた。演奏しても水飲んでも水自分に浴びせてもロックンロール。
 迫力あって格好良いのに、なぜかフロアと温度差があった。赤と青のポケモンフラッシュ的なストロボ、インパクトは強いけれど、時雨なら使わないだろうと思う。同じスリーピースの攻撃的なロックでも、これほど違った実を結び得ることを実感。


■TK from 凛として時雨
 初見。上手からドラムスBOBO、キーボード、ギタボTK、バイオリン、ベースひなっちの布陣。TKが中央にいるのが新鮮。
 始まって早々、体がざわりとした。TKの音は明らかに他と違う感覚をくれる。
 NCISのひなっちは跳ねて煽って楽しさが溢れるようなスタイルだけど、今日はTK仕様で緊張感あり。BOBO氏とふたり、安定した強力なリズム隊。バイオリンとキーボードが音源の質を超えるのは、多分楽器の特性で、難しいのだろうと感じる。アコースティックセットで聴いてみたい。
 何よりもfilm A moment、圧巻。《時間を止めて》とそれに続く数秒の無音のことは、これからもずっとフィルムされているだろうと思う。存在がなくなって、一番欲しいものを掴めそうになる。だから《手に入れた世界は》と続く。今まで見たライブパフォーマンスの中でも、特別印象に残っている。まだうまく言葉にできない。
 時雨の照明チーム、相変わらずエクセレント! flowerの黄と紫、予想外だけどよく似合っていた。fAmは《時間を止めて》が青、ウィスパーの《手に入れた世界》が赤、《なにも感じないよ》の絶叫が白。最後は青に包まれて終わり。タイミング完璧。
 終わって席に着いても余韻がすごかった。紫色の照明の中、ピアノ曲(新曲?)が流れて、スタッフがセットを片付けていく。解体もショウの一部。《kill the moment》だなあとぼんやり思いながら、バラバラになっていく様から目を離せずにいた。

●1. haze 2. flower 3. 12th laser 4. phase to phrase 5. Abnormal trick 6. 新曲(Fantastic magic) 7. film A moment


■9mm Parabellum Bullet
 3度目の9mm、とても好きだった。アウェイ寄りの場だと闘う弾丸感がより際立つ。時雨と9mmのファンは被っていると思いきや、今日は半々くらいに見えた。
 初めて見えたドラム、両手でスティック回しまくっていた。曲芸か! と思ったらギターも相変わらず檻から放たれた何か的な動きをしているし、ベースもギタボもやりたい放題だし、束の間ライブなのかサーカスなのか判らなくなる。無敵のパフォーマンス。
 目を奪われるばかりで演奏をあまり覚えていない。何かの曲で彼らに初めて静を見たのが印象的。水中みたいな青い照明、きれいだった。
 感覚的なギタボMC健在:「俗に言うTKばさみというポジションなので、生粋の人[TKファン]からしてみれば僕ら夢か?みたいになっちゃうので気合い入れてやります」。TKばさみになったのが9mmで良かった。とても楽しいブリッジだったよ。


■凛として時雨
 待ちに待った1年ぶりの時雨。こちらも体をざわざわさせてくれる最高のライブ! やっぱり特別なバンド。けれど期待が大き過ぎて、7曲では物足りなかった。アナウンスされた6月のワンマンが楽しみ過ぎる。
 容赦ない攻めのセットリスト。その中でillusion is mineから始まるのはさすが。一気に時雨の色になる。一番聴きたかったnakano kill you、最後にやってくれた! TK最後傍観かと思うくらいギター弾き狂って舞台を後にした。めちゃめちゃテンション上がり、そのまま最高潮で放り出されて終演。サディスティックなところも変わらず。

●1. illusion is mine 2. I was music 3. DISCO FLIGHT 4. abnormalize 5. JPOP Xfile 6. Telecastic fake show 7. nakano kill you

●MC
(TK、舞台袖を見たりメンバーを見たり、きょろきょろ)
客「?(笑)」
TK「ひとつ、ニュースがあります。6月、6月……(メンバーを見る)」
345・ピ「「にじゅうはち! にじゅうはち!」」
TK「6月28日に、ここでライブをやります」
客「「「うわあああああー!!!」」」

December 13, 2012

実施中!!!第一回胞子拡散祭 @ 渋谷CLUB QUATTRO

 胞子まみれの体のレントゲン図 2/2!!!

■松本素生とOKEGAWA'S(GOING UNDER GROUND)
 初見。懐の広い、優しいバンド。俯いた顔を覗き込んで前を向かせてくれるような。むしろgoing over the rainbowなテンション。松本さん登場した時点で安心できる人だなって直観があり、その通りの場になった。ライブで、しかも初見では珍しい感覚。
 ピープル好きだって話が嬉しい。元々松本さんソロで出演予定→メンバーに話す→メンバー「ピープル好きだから観に行く!」「俺も!」→だったらバンドで出演しよう!となったとか。素敵。
 長いキャリアの賜物か、安定感ある演奏。メロディーをシンガロングさせて客を巻き込んでいく手並みは鮮やか。そこに嫌味や外連味が少しもないから寄り掛かれる。新鮮な出会いが嬉しく、とても楽しいひと時だった。

■People In The Box
 何度も言ってる気がするけれど、広い舞台で大勢の観客を前に演奏するピープルが好きだ。かけがえのない、とても美しい光景。何だろう。沢山の人に受け入れられていることが実感できて嬉しいのかな。他にはない感覚。
 対バンツアーセミファイナル、すばらしかった。特にボーカル。「時計回りの人々」「サイレン」「月曜日消失」今日心を掴まれた曲はみんな、ボーカルの訴えが強く響いた。体調は万全ではなさそうだったけれど、気力で高音を出しているように感じた。その気迫に打たれる。ニムロッド辺りから(ということは多分3.11以後)、「透明感のある少年声」に明らかな気迫が加わり出した気がしていて、それはベースのアグレッシブさと互いに呼応しているようで、バンドの面白い変化のひとつだと感じる。
 ギターはジャガーさんに戻って若い音が鳴っていた。今日は初期曲が多いからよく嵌っていた。《不服だ 死を叫ぼう》から《メメント モリ》を経て《きみの孤独が 世界を救うかもしれない》、同じ日に全部聴けて感慨深い。予定外で急遽演奏してくれたダブルアンコール「ダンス、ダンス、ダンス」これ以上ない選曲だったと思う。そして今後のピープルが本当に楽しみ。

 GOING松本さん「ピープルを聴きに来るお客さんは素晴らしい」を受けて波多野さん「あれを聞いて一番嬉しかったのは僕です」、客としてはこれがまた嬉しかった。
 対バンだとピープルが「何でないか」をよく考える。ワンマンが材料を重ねていく加点式だとしたら、対バンは彫刻みたいに削って浮き彫りになっていくのが面白い。胞子拡散くん、また気が向いたら街にパンデミック起こしに来てね!
 そんな2012年ピープル納め。今年も本当に本当にありがとう。

もともと本人も不確か曖昧な内実だからなのか、音符やリズムという入れ物に入れて、それは外気から守るためなのか、はたまた鮮度を保つためなのか理由は解らないとしても、とにかく胞子のようなそれらをもってして他者に届ける。すると受け取ったその人の中で胞子が開く。開き方はその人なりの解釈によって様々。そんなイメージだ。People In The Boxの音楽によく似ていると個人的には思っています。
- MMMatsumoto「愛すべき開かれない音楽家たちへ」(MARQUEE Vol. 88, 9 Dec 2011)より


●セットリスト
01. ニムロッド
02. アメリカ
03. 火曜日 / 空室
04. みんな春を売った
05. 時計回りの人々
06. 球体
07. サイレン
08. 月曜日消失
09. 市民
10. スルツェイ
11. 鍵盤のない、

EN.
01. 東京
02. 旧市街

EN-2.
ダンス、ダンス、ダンス

December 6, 2012

実施中!!!第一回胞子拡散祭 @ 高崎 club FLEEZ

 胞子まみれの体のレントゲン図 1/2!!!

■a flood of circle
 初見。社会に反逆するスタンス取りつつ一体感大事にして盛り上がる、J-ROCKスタンダードな印象。チョモに近い気がした。それより少し泥くさく、最後ボーカルの「ロックンロオオオオル!!!」って叫びに巻き込まれて「YEEEEEEEAH!!!」と返したくなるfloodingness。バンド名大文字の方が似合いそう。
 MC「選ばれし胞子、A flood of circleです!」笑った。aを強調するんだね。

■People In The Box
 2ヵ月ぶり。半分は知っているピープル、もう半分は知らないピープルで目を見張る。代謝の良いバンド。健康だ。メンバーも健康であれ!
 最近「強いメッセージを持ったバンド」と自己紹介しているようで、今日のライブはまさにそうだった。聴き手に響かせるよう、音のひとつひとつに魂が込められていた。変わったなと、たかだか2年前と比べてだけど、思う。以前は彼らの箱の中に入れてもらってそこで展開される物語を眺めていた。今は彼らの方からこちらに向かってきて同じ地平で訴える。言葉だけでなく楽器もそうだ。声もベースもドラムスもギターも、全ての音が強いメッセージだった。ひたむきな胞子たち。
 変わらないのは何だろうと考えてみると、音の楽しさであり必要であり信頼であり、その諸々が同じ場に在る確かさに繋がることであり。つまりは好きってことだ!

 ハタノMC、afocは拳で顔を殴る、ピープルは内側からウイルスのように攻める、との喩えが言い得て妙。「ウイルスのように攻撃を続けさせていただきます」からの「木曜日 / 寝室」は本日(木曜日!)の白眉。
 攻撃の仕方が違えば受け止め方も違う。よくJ-ROCKのライブでは一体感が命!な空気を感じるけれど、ピープルを観に来る人はむしろ自分なりの受容を大切にしている気がする(そして個々の差異を尊重する)。人によってこんなに受容の違うポップスそうそうない。久しぶりに観るせいか、そんなことを考えたり。
 不思議だったのは、今日諦めるか迷うくらい体調良くなかったのに、彼らの演奏中は何ともなかったこと。脳に作用するウイルスこわい。あるいは胞子パワーか。

 以下セットリストとメモ。

01. アメリカ
 意外な幕開け。FRと今は断絶している訳ではないと主張するような。
02. 完璧な庭
 ライブ定番曲なのに初めて出会う気がした。ドラムの一打一打に込められた魂にふるえる。こんなバンドだったっけ?→新しいピープルだ!と思う。とても良い意味で。
03. 市民
 相変わらず激烈に格好良い。観た位置のせいか、今日全体的にボーカルの音量が強い気はした。
04. ダンス、ダンス、ダンス
 《森を突き抜けて~》の後、じわじわクレッシェンド。珍しく作為的に感じる。
05. 時計回りの人々
 《きみは壊れていないのに》語尾少し高いキーにアレンジしていた。AMでいちばん解りやすくがつんと来た一節。堪らない気持ちになる。
06. 球体
 ベースのアグレッシブさがどんどん増していく。大歓迎。
07. 木曜日 / 寝室
 ギターのふわりとしたディストーション、夢の重たさに呑まれる。
08. 月曜日消失
 スネアのロールで始まってギターが静かに忍び込むじわじわ感、「月曜日 / 無菌室」?と思いきや消失で、とても久しぶりで、二重にびっくり。いつも端々のイントロの遊びが楽しい人たち。アウトロのバリエーションも増えたらきっともっと楽しい。
09. スルツェイ
 何もかも生命に溢れていて逃げ場がない。3人のバランスが黄金比な曲のひとつ。
10. 天使の胃袋
 LosT以降、エレクトリック版もぐんと好きになった。疾走感!
11. 旧市街
 CSツアーファイナル以後、いつも加藤さんのアニメーションを思い出しながら聴いている。《青空少しだけおかしくなったよ》でミラーボールが不穏な水玉模様をそこら中に散らして踊っていた。これも黄金比の曲。

EN.
01. 東京
 久しぶり! FRツアー以来? 《恋に堕ちた》の後、音が弾けて世界にぶわっと色が付いて活動を始める感覚に鳥肌。アンコールでこんな、こんな……!
02. ニムロッド
 ベースの熱量! みんなすばらしいけれど、最近特にベースが熱い。年明けのツアーが本当に楽しみだ。

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Maira Gall