February 18, 2012

People In The Box 『Citizen Soul』 release tour
@ 熊谷HEAVEN'S ROCK VJ-1

 まとまらないまま書いていきます。いつもより感覚的な気がします。

 貴いライブだった。ピープルの3人が居て、音楽が生まれて、その場に自分が居ることが、貴いと思った。
 「今のピープル見逃すな」の意味がよく解った。気迫半端ない。テンション高い。がむしゃらにやってるのではなく、音の底にテンション=緊張がぴんと張り詰めている。(時に緩むのはツアー序盤だから、か)
 すばらしく相性の良いアンサンブルに育った。同じタイミングで呼吸するよう努めるタイプではなく、互いの呼吸に呼応していく、その様が音に成っていくような。一瞬一瞬を舞台にしたインスタレーションのような緊張と危うさの上にこのバンドが成り立っていることを、貴いと思った。出来上がっていく音楽はエネルギーに溢れていて、やはり圧倒される。とはいえ特に新譜の曲、まだまだ伸びしろがありそうで楽しみ。

 オープニング、ポエトリーリーディング復活! 歓喜! 日比谷野音以来か。
 詩に音が付いていた。ギターでもベースでもドラムスでもない音が幾つも使われていた。このために録られたらしい。民族楽器ぽいもの(無知な表現ですみません)、エレクトロニカみたいな音、ピアノ! メロディーのない音の重なり合い。自由で、うまく言葉に引っ掛かって、気持ち良い音だった。3人でつくったとしたら素敵だ。
 《朝が来て、君は欠伸をする》で始まる。喉を通って胃に入って血を巡り体の中を書き換えてゆくような詩。その作用は浄化ではなく、ピープルの世界への導入に留まらず、変化を、成長を促す。波多野さんの詩はまだ進化する。こわい。楽しみ。
 結びは《ようこそレディースアンドジェントルメン、これからも君は沢山のものを飲み込むだろう。それがたまたま今日はPeople In The Boxであったに過ぎない。どなた様も一瞬たりとも取り零されませんよう》みたいな。明確なライブ主催者としての語り、客への言及は初では。それだけ距離を詰めてきたのは必然だと思う。『Citizen Soul』のためのツアーの。
 滔々と流れるあの声はただただ心地良い。バスタブに張られた、体温より少し高い熱をはらんだ湯のよう。ずうっと浸っていられる。
 CD/DVD/Blu-ray何だっていいけど、何らかの形で記録されますように。

 入場SEは変わらずJim O'Rourke"And I'm Singing"。引き継がれるものもある。

 本編が「沈黙」に始まり「汽笛」で終わること、その他新譜の曲が全て演奏されること、は予想通り。その他は面白い繋ぎ方してきた。「親愛なるニュートン街の」→「見えない警察のための」(→「ペーパートリップ」でひとつのフレーズになるのも面白い)、「技法」→「冷血と作法」で韻を踏んだり。「木曜日 / 寝室」からの「ニコラとテスラ」好き。あやしい音の渦にぐるんぐるん飲み込まれていく感覚が癖になりそう。
 「ペーパートリップ」「はじまりの国」両方入れてきたのは驚いた。どちらも始点の曲。新たに息を吹き込まれたことが嬉しい。一番の驚きは「冷血と作法」久々。2010年末のイベントで締めに演奏されて以来では。あの単語が入っているから自粛していたのか。とんでもない迫力を携えて戻ってきた。
 「スルツェイ」のかなしさが「ニムロッド」に回収される流れは鳥肌……やられた。
 「汽笛」やっと聴けた。あの終わりの後どうするのかと思ったら、波多野氏「People In The Boxでした」シンプルに締め。文字だと素っ気ないけどあの17曲の後に言われたら、そうだよお前らがピープルだよ!うわあああピープル!!すげえええ!!!みたいなテンション高い=興奮した人が頭の中で騒ぎ出すよ。※個人の感想です
 アンコールは本編の余韻と共に。「ストックホルム」緊張を一気に解いてくれてとても良かった。

 MC、ご当地ものでコミュニケーション図ってくれるのが優しい。けれど今回は、演奏!演奏してくれ!と思った。とにかく今の彼らの音が聴きたかった。とか言ってあのユーモア溢れるMCも大好きなので、ただの我儘である。
・「ブリキの夜明け」前
 は「体が温まってきたところで……皆さんを、寒さに連れ戻したいと思います」
 客「「「?????」」」
 は「あの、そんなはてなって顔しないで。(会場笑) ふつうに一曲やるだけだから」
・グッズ紹介
 公式ブログに載っていた、ダイゴマンがポーチにドラムスティック収納するのを再現(? 多分、よく見えず)
 は「あとね、ポーチの中にポーチを入れるってのも、ありです。」
 リアルに(お 前 は 何 を 言 っ て い る ん だ ?)ってなり、ちょっとして意図が解って噴いた。終演後ポーチ売り切れててまた笑った。

 ツアー初見だからか、大きな枠組みを追う感想になった。オープニングに感銘受け過ぎていて我ながら引く。気が変わったらリライトしたい。
 あと何公演か行くので、彼らのパフォーマンスの変化と自分の受容の変化が楽しみ。

■セットリスト
01. 沈黙
02. 笛吹き男
03. 市民
04. 親愛なるニュートン街の
05. 見えない警察のための
06. ペーパートリップ
07. 技法
08. 冷血と作法
09. ブリキの夜明け
10. 木曜日 / 寝室
11. ニコラとテスラ
12. 月曜日 / 無菌室
13. はじまりの国
14. スルツェイ
15. ニムロッド
16. 旧市街
17. 汽笛

EN.
01. 火曜日 / 空室
02. ストックホルム
03. 完璧な庭

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Maira Gall