February 14, 2013

VALENTINE ROCK Vol.6 —愛のロックを鳴らそう— @ LIQUIDROOM

 雑誌MUSICA企画。ごみ箱に大量のみかんの皮を見て何事かと思ったら、主催者が配っていたらしい。なぜみかん。芥川の「蜜柑」ならロック。「私はこの時始めて、云ひやうのない疲労と倦怠とを、さうして又不可解な、下等な、退屈な人生を僅に忘れる事が出来たのである」!


■クガツハズカム
 初見。きのこ帝国ボーカルのギター弾き語り、途中から観た。
 初期Salyuに霞をかけたようなアンビエントな歌声の中から、小谷美紗子みたいな真っ直ぐな主張が立ち上がる。やわらかな耳触りでありつつ、芯が強く凛としている。
 跳ねのけたくなるような重たさだった。あの重みが好きな人はきっとすごく好きなんだろう。9月、夏が闘って戦って殺されていく感覚を確かに思い出した。


■People In The Box
 アコースティックセット! 3人編成。劇場編みたいにゆるいMC挟みつつの全5曲。
 MUSICA有泉さんの紹介「魂持っていかれる系のバンド」を、ダイゴマンがネタっぽく連呼していたの笑った。個人的には最近は「魂取り戻してくれる系のバンド」みたいな気がしている。どちらにしたって魂に働きかけるのだからとんでもない。

1. 土曜日 / 待合室
 しばらく聴けないと思っていたから嬉しい。一音一音が心地良い雨粒のよう。
 ひとつひとつ地に沈んで染みていくようなアウトロが好き過ぎる。
2. 天使の胃袋
 LosTバージョン。ボーカルの高音がしっかり伸びて、リキッドいっぱいに満ちた。
 《電池が切れてしまった僕ら / だから次の世界で息をするよ》沁みる。
3. 木曜日 / 寝室
 出たー! バンジョーだ!(心の叫び)
 今日は木曜日。5曲の中でピープルの振れ幅が存分に表れていて楽しい。
4. ダンス、ダンス、ダンス
 「『Ave Materia』は僕らにとって大切な1枚」というMCに続いてこの曲。
 ひとつの生命がみえた。生まれたばかりの小さな生きものの、血流や脈拍や呼吸のようなアンサンブル。みんなが自由に踊るエレクトリックに対して、アコースティックは演奏のいのちを見守るような。ピープルを貴いと思うのはこういうところだ。
5. 球体
 最後に伏兵がいた! まさかのアコースティック球体。
 冒頭、雲か煙に一面覆われていくような不穏なアレンジに乗せての《球体に守られて だれもが痣だらけ》ぞわりとする。何度も繰り返されて徐々に浸透してくる。エレクトリック版よりじわじわ攻める様はほとんど老獪。逃げ出したくなるところで《空を返せ》の澄んだ主張ときれいな福井コーラスに救われる。巧いなあ。

 曲と彼ら自身のしっかりした骨格と柔軟さ、アンサンブルの妙、そしてダイゴマン曰くエレガントなMC(笑)の楽しさが存分に溢れるライブだった。またいつでもぜひ、アコースティックで。


 転換中は鹿野さんのDJタイム。Syrup16g"My Song"が流れた。何の確信もないまま並々ならぬ期待をしていたら本当にかけてくれて、嬉しくなる。Syrupの音が、五十嵐の声がリキッドに広がっていく。来て良かった。ありがとう。


■日高央
 初見。一昨日twitterのDMで依頼、昨日追加発表、今日演奏となったらしい。前半がソロ、後半は彼の今のバンドらしいTHE STARBEMSのメンバーと演奏。この面子だと浮くかと勝手に思っていたら、ベテランの風情はありつつ、音の楽しさは同じだった。


■川上洋平&庄村聡泰
 初見。有泉さんによるとユニット名は「座パンプキンズ」で「ザがTHEじゃなく座るの座なのがポイントらしい」。[champagne]のギタボとドラムに、サポートキーボードの3人編成。要所要所キーボードが素敵な仕事してた。
 一曲目に痺れる。Waitress, Waitress!という曲だと教えてもらった。"Absalom, Absalom!"にウェイトレス出てきたっけ?と思ったが多分関係ない。ともかく格好良かった! シャンパーニュだと思ってて申し訳ない、シャンペイン覚えた!

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Maira Gall