December 6, 2011

TOWER RECORDS presents 「Candle Light」
@ 渋谷WWW

 とても温かいひと時で、これで明日も生きていけると思った。
 さあタワレコに角砂糖を献上せよ!(この二組のライブ企画、本当にありがとう!)


■Akira Kosemura
 菊地慎さんによる映像演出に乗せたピアノ演奏。
 映像は、こういう解釈、風景、色の付け方もあるのか、というのを楽しんだ。音と鑑賞者のイマジネーションが合わさって出来上がり得る幾つもの可能世界がある程度制限され、同じ色を喚起させられる。けれども抽象的だったりぼやかしてあったりして、想像の余地を程良く残してもあった。

 いくつかの曲はバイオリン白澤美佳さんとのデュオ。
 ピアノとバイオリンのデュオなんて、もう鳴っているだけで幸福。白澤さん美しくて眼福。ありがとうございました。
 低音が二胡のように聴こえたバイオリンは初めて。まだまだまだ奥が深そう。

 小瀬村さんは、MCによれば「緊張で足ががくがくしてる」という状態だったからか、100%の演奏ではなかったと思う。指がうまく分離しておらず音に斑がある。その舌っ足らずな音が曲によく作用していることも時々はあった。
 けれども、静かな湖の水面を辿るような旋律は美しく、浄水装置みたいに感情の澱みをきれいにしてくれた。座ってゆっくり聴ける機会があれば、またあの音に浄化されに行きたい。


■People In The Box
 劇場編以来のアコースティックセット。ほぼ一曲ごとにMC挟んでゆるい雰囲気。
 「僕ら、同じ演奏は二度としないですよ。リハと本番でノリ変えてくる人もいるし(笑)」とは波多野さんのアンコールMC。LAGITAGIDAとも小瀬村さんとも同じ舞台に立つピープルの柔軟さを改めて思い知った。ただ気持ち良い音を三人で奏でるというシンプルゆえに強靭な核が柔軟さに繋がる。

 劇場編で演奏された曲も多かった。とはいえどれもこれも更に惹き込まれる気持ち良い音になっていて、ゆらゆら揺れながら聴くと音に飲み込まれそう。ほとんどにっこにこして聴いている変な人だった。
 ピープルのことだから一曲目は攻めてくるだろうと構えていたら、あまくて優しい「レテビーチ」。ルビー色の夜が君のおなかから溢れだしても、水の無いプールへと飛び込んでも、全部気持ち良い。非常に危険なレテビーチ。印象が違ったのは福井さんがギターだったからか(ギターとベースを曲によって使い分けていた)。
 アコースティック「昏睡クラブ」、ひょっとするとエレクトリックよりも好き。あのゆらゆら感、今宵も健在。聴きながら眠りに落ちていきたい。(と思い続けていたら『Cut One』に劇場編のが収録されるらしく歓喜!)
 好き好き言っているといつまでも感想が終わらないけれども、「一度だけ」嬉しかった。単純に自分の誕生日が近いから。
 「笛吹き男」アコースティックだと切な過ぎる。「愛してるよ」の魔法(これだけ抜き出すとえらくメルヘンチックだな)も効かないような不安が付き纏いつつ《いいんだよ》《君を生かす》がすごく沁みた。一方でダイゴマンの安定感に救われる。彼の動きは今夜も冴えに冴えていた。どうやってシンバル8枚とか使い分けるんだろう。
 火曜日も土曜日も好きだしアコースティックまた聴きたいなあ、とほのぼのしていたら、ドラムスティックがゆっくり4度打ち鳴らされてから正体不明のイントロ。何だろう新曲?と思いきや、波多野氏「ドーベルマンドーベルマン」! えええまさか。まさかの「天使の胃袋」それはない、と思った自分の浅はかさを打ち砕く見事なアレンジだった。久々にピープルにしてやられた感満載。嬉しいんだけど何かちょっと悔しいけれども好きです。《光り溢れ》で終わるのも好きです大好きですありがとう。

 あっという間に感じたけれど全11曲、今夜も音の楽しさに溢れていた。
 「People In The Boxは時々アコースティックセットでやるんですよ。本当に時々だけどね。また、声がかかったら」。期待!

●セットリスト(☆=劇場編@東京でもアコースティックで演奏された曲)
1. レテビーチ
2. 月曜日 / 無菌室
3. 夜の人々 ☆
4. ベルリン ☆
5. 昏睡クラブ ☆
6. リマ
7. 一度だけ ☆
8. 笛吹き男
9. 火曜日 / 空室 ☆

EN.
1. 土曜日 / 待合室 ☆
2. 天使の胃袋

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Maira Gall