November 11, 2011

People In The Box "Lovely Taboos release party"
@ Shibuya O-EAST

 「東京で、これだけ長いライブをやるのは久しぶりですね」。波多野MCの通り劇場編以来、全編エレクトリックだとファミレコリリースツアー以来か。待ちに待った(ほぼ)ワンマン。
 最高に楽しいライブだった!
 序盤のMCでハタノ氏「すごい楽しいっすよ」、Wアンコール前に「僕ら、演奏するのが好きなんです(少年みたいな笑い)」と言ってたように、3人の楽しさがそのままフロアに伝播してきたようだった。やたら楽しい。何なんだ。
 どこかのインタビューでライブについて「毒を擦り込む」という表現をしていたけれど、毒がこんなに楽しい自分が、皆が、おかしいのか。ピープル中毒の皆さんこんにちは。最高ですよね。

 オープニングアクトLAGITAGIDA、めちゃめちゃ格好良かった。記事分けて書く。
 いつものSE - Jim O'Rourke"And I'm Singing"が流れ出すと、期待と緊張の混じったあの独特の時間。幕が開き、海の底みたいな青いステージに3人が登場。「笛吹き男」で始まって、ああリリパだったなと思い出す。

 終始ダイゴマンから目が離せない。この人の鳴らすドラムは、今まで聴いてきたのとは別の楽器のよう。曲への関わり方が有機的。生命を「支える」のではなく「与える」「創る」感じがする。
 単純に叩いてる姿も格好良い。身体の全ての動きが音に変わる。とにかく音への色の付け方が細かくて、気付きと驚きと楽しさに満ち満ちていた。ドラムの勉強したい。今のセット(上手側横向き)で手元、あわよくば足元も見えるうちに。
 「旧市街」で音が抜けて、ん?と思っていたら、攣っていたのだそうだ。いたたたた。お大事に。
 旧市街、最後のサビ前でギターがブィーンと鳴るところ(音源では5分30秒過ぎ)だけ真っ赤な照明に変わったのがぞくぞくした。その後青系の照明に戻って《青空少しだけおかしくなったよ》! 痺れる。切り傷を撫でられているような気持ち悪さと気持ち良さが同居していた。とても良い意味で。

 いつもセットリストの予想が付かないピープル、今回は「見えない警察のための」が音源を聴いてから初だったので嬉しかった。笑い出したくなる躁の気持ち良さ。
 今夜は霧雨。それでなのか、こんな波多野MC「皆さん雨は好きですか? ……あんまり、な人が多いよね。でも、雨が好きな人もきっといると思うんですよ。次の曲をその人達のために捧げます」に続いて「土曜日 / 待合室」、そして「マルタ」→「ブリキの夜明け」! この水浸しな流れ秀逸。雨の日は今夜を思い出せばきっと持ち直せる。
 本編最後は「子供たち」。劇場編以来、ようやく聴けた。あの時は「市民」が衝撃過ぎて印象が薄かったけれど、合唱パート堪らなく良い。スリーピースなのにオーケストラの全員が揃って音を出した時みたいな、大きな一体感のまま一緒に音楽の高みへ行くような感覚。それがぷつりと途切れる音源は辿り着けないよう、わざと未完成のまま残されていて、観客が立ち会って音が最後まで鳴らしきられた時に初めて完成する曲のように感じた。充足感。

 アンコールで新曲! 「ニムロッド」初披露。リズミカルで楽しげな曲なのに、繰り返される歌詞《あの太陽が偽物だってどうして誰も気付かないんだろう》が引っ掛かる。結果、「市民」に似た攻撃的な印象。『Citizen Soul』きっとものすごく好みだ。
 そして「スルツェイ」。スルツェイ終わりが好きではない理由に気付く。《僕は悲しい口を閉じた》って悲しい終わり方だからだ。《「まだまだ君は生きなさい」って》というストレートな台詞が含まれているとはいえ括弧書き=距離があるし、全体に救いがない(盤では続く「JFK空港」で救われる)。iTunesの再生回数トップに近い曲だけどライブの締めにはきつい。ポジティブさばかり期待している訳ではないけれども。
 演奏は期待以上に素晴らしかった。

 追い出しのSEが流れ出してももやもやしたまま拍手を続けていると、ステージの照明が点いてほっとした。周りも同じく帰る素振りすら見せなかったのは、似たようなもやもやを抱えていたから?というのは自己投影のし過ぎか。
 ギターのハーモニクスが始まると静かなどよめき……「鍵盤のない、」! 昨年3月の渋谷AXからピープルのライブに行き出した自分は初めて聴いた。もう嬉しくてテンション上がり過ぎてよく覚えていないレベル。何度も支えてもらった曲が目の前で生命を持って奏でられる恍惚と幸福といったら!
 ふと疑問、なぜ《僕は悲しい口を閉じた》がだめで《君の心は鍵盤のようにバラバラになってしまったからね》は良いのか。だってあのアウトロ最高じゃないか、「スルツェイ」はすっと終わるし……とひとまず言い訳をしておく。

 最高に満ち足りたライブだった。以前は何だか物足りなさを抱えて帰ることが多かったのだけれど、何が変わったのだろう。彼らか自分か両方か。ともかく。改めて、People In The Boxに惹き込まれた夜。ありがとうありがとう。


■セットリスト
01. 笛吹き男
02. 完璧な庭
03. 水曜日 / 密室
04. レテビーチ
05. 見えない警察のための
06. 火曜日 / 空室
07. ストックホルム
08. 土曜日 / 待合室
09. マルタ
10. ブリキの夜明け
11. 市民
12. 天使の胃袋
13. 旧市街
14. 子供たち

EN. 1
01. ニムロッド(初披露)
02. スルツェイ

EN. 2
鍵盤のない、

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Maira Gall