December 17, 2011

鬼束ちひろ CONCERT TOUR 2011 「HOTEL MURDERESS OF ARIZONA ACOUSTIC SHOW」
@ 東京国際フォーラム ホールA

 コアなファンではないのだが、彼女のライブは貴重なのでチケットを確保。行くはずだった前回のツアーが中止になったので、ようやくライブ初見。

 いつ朽ちて崩れ落ちても不思議ではないかなしさと、それゆえのうつくしさを見た。
 1曲目のSweet Rosemary、音程がたがたで緊張しているのかと思っていたら、3曲目everyhomeのサビで吹っ切れたように声が伸び、徐々にエンジンがかかっていった。終わると「……何か言ってよ」と突然ツンデレ気味のMC(女の「大好き!」には「あたしもよ」、男の「愛してる!」には「お前は知らん」と返したのはさすが)。全編通じて高音やサビの張る声はさすがの力強さだったけれど、低音は不安定なまま。思い通りにならない歌を振り切るように、エメラルドグリーンのドレスの裾を摘んでくるりと舞う。ピアノのみのシンプルな伴奏がその危うさを一層引き立てていた。
 中盤「月光」のイントロが始まると会場から自然と拍手が起きる。さすがの代表曲。その次の「蛍」がとても良かった。何しろ今夜の彼女の儚さによく似合っている。そして「嵐ヶ丘」! 歌詞飛ぶわ、ピアノと合ってないわ、音程ずれるわ、散々だったのにすばらしかった。何度も書くけれど、今夜の崩壊数秒前のようなうつくしさがここで極まっていたと思う。巧拙で言えば明らかに拙いのにこれだけ心を動かされる。そんな流れから『私とワルツを』で鳥肌。とても冷静に組まれたセットリスト。
 アンコールはやりたい放題。新境地なNEW AGE STRANGER、本人がギターを鳴らすBeautiful Fighter。客の問い「次のライブの予定は?」を「ないっ!」と斬り捨てていたけれど、新しい方向性が見える終わり方だったと思う。このまま崩れてしまうのか、新しく生まれ変わるのか、先が見えない不安定さも彼女らしい。

■セットリスト
01. Sweet Rosemary
02. 青い鳥
03. everyhome
04. 琥珀の雪
05. Time after Time(Cyndi Lauperカバー)
06. The Rose(Bette Midlerカバー)
07. 月光
08. 蛍
09. 嵐ヶ丘
10. EVER AFTER
11. 私とワルツを
12. ストーリーテラー

EN.
01. NEW AGE STRANGER
02. Beautiful Fighter

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Maira Gall