January 28, 2013

QUIET ROOM 2013 WINTER @ 渋谷WWW

 リキッドしかりWWWしかり、好きなハコにはレモネードがある。飲んでる間は夏になる。ダウン着てても夏である。スタンディングかつライブ編成ありでQUIETではなかったから、WINTERじゃなくたって大丈夫だろう。
 VINTAGE ROCK主催、不定期開催の素敵なイベント。また是非WWWで。


■KUDANZ
 初見。なのにずっと前から知っているような、気がした。懐かしさと慕わしさ。舞台の上の人がここにいるのか過去にいるのか曖昧になる。足元から溶けて音になる。
 遅れて行って、聴けたのは数曲。最後、夕陽みたいな照明の中「燃えたい」って繰り返し歌われていた。指先に炎が迫ってきた感覚を覚えている。燃やしたいでも灰になりたいでもなく燃えたいってすごいなあ、と思ったりする。好きな違和感。
 ギターの音も懐かしかった。何だろう。探るには少し時間がかかりそう。


■peridots
 稀にいる歌うために生まれてきたような人のひとりだと思った。前のQUIET ROOMで見た時と印象が違ったのは、フロアの空気のせいだろうか。フラジャイルではないけれど繊細で芯のある声、WWWいっぱいに広がるととても心地良かった。


■People In The Box
 サポートギターとしてハイスイノナサの照井よっちゃんさんが加わり、4人で初ライブ。上手から、横向きのドラム、中央奥にベースの配置までは変わらず。そしてサポートギターを挟み、従来よりやや下手寄りにハンドボーカル。
 ……ハンド! ボーカル!! 装備はマイクと歌声と言葉。
 「Ave Materiaバージョンです」と簡単な紹介がなされたその編成で、本編全て演奏。ボーカリストがギターを手にしたのは3人に戻ったアンコールの一曲のみ。
 ボーカルに専念するのは必然だった。サポートが入ると聞いた時は、ギターが2台になると思い込んでうまく想像できずにいたけれど、始まってすぐに、なるほど! いいね!と思う。CS以降増す一方だったボーカルの力を、ギターを置くことで極大化させていた。時に客ひとりひとりの目の奥まで覗き込み、痕を残すように歌う。「言いたいことが沢山あるんです」そうして生まれたAMのライブでの、必然の変化と映る。

 照井さんのギターはハイスイらしく端整。盛り上がっても冷静な眼差しが残る。とても好きだけど、ピープルに入ると曲によっては引っ込み気味。波多野さんとの違いが面白く、ツアーを経てどうなっていくのか楽しみ。
 気になるMCは軽く「どうも、照井です」くらい。ダイゴマンと化学反応起こして爆発するんじゃないか?と心配していたら杞憂だった。振り切れる方向が違うから大丈夫、だといい。

 「ダンス、ダンス、ダンス」4人で演奏している空気がよく似合う。より解放感があって、体が自由に動く感じ。《森を突き抜けて~》最初から遠慮ないフォルテになっていた。ようやくしっくり来る。
 「物質的胎児」(初演?)音源では間奏のシンバルワークが大好きだけど、今日は黙していて驚き。なぜだ。胎児から「みんな春を売った」の流れ、個人的にテンションの落差半端ない。前者はAMで一番安心する曲、後者はトラウマ級に恐ろしい曲。闇夜のよう。《おかしくなってしまった》ボーカルが強いと一層怖い。しかしベースが格好良い。そして「割礼」(これも初演?)現物が見えなかったけれど、ダイゴマンの右手元でカウベルらしい音が鳴っていた。丁寧で主張を抑えた良いアクセント。
 本編最後「時計回りの人々」は圧巻。イントロ、強い白金の逆光に4人のシルエットが浮かんだ時の、これはやばい!感が最後まで続いた。演奏のディテールを聴く余裕などなく、圧倒されるだけされて終わる。生まれてきて、ピープルを知って、ここまで満たされて、もう充分だなあと思う。さらりと言われた「Ave Materiaツアーでまた会いましょう」が沁みる。

 帰り道、見上げた月は異様なくらいまるく冴えていた。2013年がようやく始まった。

●セットリスト
1. ダンス、ダンス、ダンス 2. 市場 3. 物質的胎児 4. みんな春を売った 5. 割礼 6. 球体 7. 時計回りの人々 EN. ニムロッド

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Maira Gall