May 17, 2014

空から降ってくる vol.7 ~空想する春のマシン~ @ 金沢vanvanV4

 1月のワンマン以来久しぶりに、緑鮮やかな初夏の金沢で彼らの音を聴いた。今更少しくらい離れたところで、脳にも骨身にも染み渡った音への思いはそうそう変わるものではなかった。変わったところも変わらないところも全てが好きだと思った。まだまだ彼らを観ていたい。


▲ライブ前、タレルの部屋から

 解りやすい変化は、いくつかの曲で波多野さんがキーボードを担当したこと(またしても時雨との共通点が増えた)。既存曲では「ブリキの夜明け」「マルタ」、水分多めのミドルテンポさによく合っていた。ひとつどうしようもないことを言えば、あのキーボードの音自体に違和感があり続けた。諸々試した上での音なのだろうけれど、もう少しボーカルに寄せた透明感か、逆にメカニックな方向にずらすか、何かを加えればもっとバンドに調和しそうな気がする。
 ダイゴマン「金沢だけ特別に新曲をやります!」福井さん「うそうそ(笑)、他でもやってる。でも他は2曲だけど、金沢では3曲やります」ダイゴマン「いやいや、全会場3曲やってるんですけどね!」みたいなMCに弄ばれつつ、新曲群へ突入。1曲目はキーボードソロで《知っているよ、知っているよ、君は今大丈夫じゃない》みたいな始まり方をしつつ、リズム隊が徐々に加わりサビで《もう大丈夫》が繰り返される。そんな言葉に簡単に乗っかりたくはない天邪鬼さが、ゆるゆるとテンションを上げるボレロのような展開とジャジーなリズムに溶かされていく。好きです、はいはい好きです、となぜか切れ気味に聴いた。いつか素直に楽しめるのか。
 2曲目は何となくFQを思わせる。曲調もありつつ、少年少女が久々に詞に登場したからかもしれない。3曲の中では一番印象が薄い。
 3曲目が一番解りやすくて好きだったかな。アップテンポの明るいサビで波多野さんの《ぼくは幽霊 そばにいてよ》をリズム隊のコーラス《ぼくは幽霊 そばにいたいよ》(と聞こえた)が追い追われる。たまに顔を出す不穏なメロディーが堪らなくピープル。幽霊=GAを思わせる。ピープルの全体は、散りばめられた様々な時間軸の曲のピースから成り立つようになるのかもしれない、と時々思う。
 本編ラストにどうしても触れずにはいられないのだけど、「鍵盤のない、」からキーボードアレンジの「JFK空港」とか、客全員の顎が外れたんじゃないか。死が生に溶け込んで、生が死に昇華する、生々しいループがJFKラストのフレーズに回収される。生も死ものみこんだ救いだけがその場に残り、これまでの曲が走馬灯のように思えた。アンコールの拍手は産道かと。

 夢想はさておき、安定したアンコールにほっとする。好きになる一方の「開拓地」、聴けて嬉しい。ごきげんいかが、と問われる頃には楽しくリズムに乗れていた。ラスト「旧市街」には、またお前か!と思わないではなかったけれど、いざ始まると大好きだった。会場が一番乗っていたのがこの縦横無尽に展開する曲なのはさすがピープル。カオスでポップなメメント・モリ、最高に心地良かった。

■セットリスト
01. ベルリン
02. 完璧な庭
03. 潜水
04. はじまりの国
05. 市民
06. 金曜日 / 集中治療室
07. 冷血と作法
08. 新曲《もう大丈夫》
09. 新曲《少女は街をさまよう》
10. 新曲《ぼくは幽霊》
11. ブリキの夜明け(キーボードアレンジ)
12. マルタ(キーボードアレンジ)
13. 気球
14. 八月
15. ニムロッド
16. ストックホルム
17. 球体
18. 鍵盤のない、
19. JFK空港(キーボードアレンジ)

EN
20. ダンス、ダンス、ダンス
21. 開拓地
22. 旧市街

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Maira Gall