May 4, 2012

ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2012 2日目

 恒例となったクラシックフェス、今年のテーマは「サクル・リュス」でロシア音楽。
 気になるピアニストが押し寄せて大変なことに! ポゴレリッチ、エル=バシャ、ヴォロディン、メジューエワ等々。タイムテーブルと睨み合ってぐるぐる考えたが、チケット取れなかった公演多数。定例の人気フェスになったのか、今年が特別人気なのか。
 結局3日間のうち2日目1日で2公演(ややこしい)、ベレゾフスキー出演分を観た。とんでもなく良かった。


■公演番号283 16:00-16:45 ピアノソロ @ よみうりホール

 トリプルアンコール! 会場いっぱいに満ちる盛大な拍手で終演。
 以前「スポーツのようなピアノ」だと漠然と感じた。一歩進み、身体の動きが音に直結しているんだと思った。それはとても幸福なことだ。だからこの人の音が好きなのかもしれない。逞しさ、力強さ、体格の良さが音にそのまま表れていて男性的。それが良く聴こえる、個人的には稀有なピアニスト。時に細やかなパートが切り込んでくると、あれ?と思うこともあるが、それも気にならないくらいに引き込まれる熱の入り方。
 雨の日によく似合うラフマニノフ。どちらかといえば女性寄りの演奏を聴いてきたので、ベレゾフスキーの表現が新鮮で面白い。ソナタ終わって再登場、客席に向かって「ゴメンナサイ、サンバンハヤリマセン。ラフマニノフ、プレリュードヤリマス」いきなり日本語でびっくり。日本語もプレリュードOp. 23, No. 5もとても嬉しかった!
 アンコールはフランスとポーランド、フェスのテーマから逸れたって気にならない! 場内更に盛り上がる。サン=サーンス、ショパンのワルツ! 本編とは打って変わって緩やかに軽やかに遊び流れるような旋律に夢見心地。そうだった、この人は繊細モードに切り替わることもできる。その本領をこの後見せつけられることになろうとは。

●プログラム
ラフマニノフ:ピアノ・ソナタ第1番 ニ短調 op.28
ラフマニノフ:前奏曲 ト短調 op.23-5 ※
EN
1. サン=サーンス:白鳥(組曲「動物の謝肉祭」より)
2. ショパン:ワルツ 変イ長調 遺作 KK IVa-13
En-3. ショパン:ワルツ ヘ短調 遺作 Op.70-3
※予定では「メロディ ホ短調 op.3-3」「クライスラー(ラフマニノフ編):愛の喜び/愛の悲しみ」


■公演番号227 21:45-22:30 クインテット @ ホールB7

 ベレゾフスキーのクインテット聴いてみたい!と軽い気持ちで、聞いたことのない曲の予習も全くせずに臨んだ。初めて見るソロでないベレゾフスキーが新鮮。周りの音をよく聴いて自分の音を馴染ませていく、けれども主張するところはしっかりベレゾフスキー節なのが嬉しい。アレンスキーは音の重なり合いがただただ楽しかった。クインテットよく息が合っている。
 シュニトケがすごかった。終わりのない真っ暗な森(不協和音のハーモニーを奏で続ける弦楽器隊)をピアノがひたすら一人で歩き続けるような曲。最後第5楽章でようやく湖が見えて落ち着き、うっすらと射してきた光に向かって吸い込まれるようにピアノは歩き、遠ざかっていく、という。
 リストやラフマニノフ、ショパンを弾くベレゾフスキーしか知らなかったので、この負の静寂に覆われた曲を目の前にして狐につままれたような気さえした。こんな顔もお持ちなんですね、好きです。最後、ピアノが一歩一歩遠ざかっていくのが忘れられない。光に満ちたデクレッシェンド、p→pp→ppp、こんな救いもある。
 ベレゾフスキーの新たな一面を知って思い切り引き込まれた今年のLFJ。多面性って本当にすばらしい。

●プログラム
アレンスキー:ピアノ五重奏曲 ニ長調 op.51
シュニトケ:ピアノ五重奏曲 op.108

●メンバー
スヴャトスラフ・モロズ (ヴァイオリン)
ミシェル・グートマン (ヴァイオリン)
エリーナ・パク (ヴィオラ)
アンリ・ドマルケット (チェロ)
ボリス・ベレゾフスキー (ピアノ)

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Maira Gall