October 9, 2012

DIRTY PROJECTORS JAPAN TOUR 2012
@ Shibuya O-EAST

■DUSTIN WONG
 初見。ひとりでギターを抱えて、何重にもサンプリング→ループつくって組み立てていく。他の同じタイプの人達と比べて、出来上がる曲のスケールが大きい。居心地の良い家とか小さな城とかを超えて、世界とか宇宙に触れるような曲。10曲弱くらい全てその組み立ての繰り返しである意味パターン化してしまっていたから、俯瞰で見てしまうと40分は長く感じた。けれどひとつひとつアプローチが違っていて、丁寧に聴いていけばとても面白かった。

■DIRTY PROJECTORS
 初見。アンコール含め一時間強、新譜の曲中心のセットリスト。新譜はものすごく好きなんだけど、ライブは旧譜の曲の方が迫力あって良かった。何よりBEAUTIFUL MOTHER! 声という楽器の掛け合い、ライブだと凄まじい。複雑な数え切れないほどのピースがだだだだっとすごいスピードで組み上がって完成していくような。うつくしい立体構造物。素晴らしかった。
 自由なボーカルが安定したリズム隊とコーラスに乗って生きている。幸福な土壌あっての自由。だけど両者がうまくまとまるのは難しいのかもしれない。Daveが歌わないBEAUTIFUL MOTHERや、AmberのTHE SOCIALITES、全員の熱が入るUSEFUL CHAMBERが良かったから、そんなことを考えた。どこか分離していたような。
 Angelがいない?と思ったら、今はOlgaに替わったらしい。基本クールな演奏で、大人びた微笑みがきれいな人。だけど何かの曲(NO INTENTIONだったかな)でゆったりヘドバンする勢いでキーボードにのめり込みだして驚く。ギャップ素敵。
 USEFUL CHAMBERはさすが。噛み含めるように歌われる"Bitte orca, orca bitte"、意味を成さない語の連なりは呪文のよう。祈りのよう。あの「解剖台の上のミシンと蝙蝠傘の偶然の出会い」みたいに、意味(笑!)とか越えたところにしかないものを見せてくれる。その辺り通過した上で紡がれているからDaveの詞は好きだ。Bitte orcaの時、そのフレーズを肯定するように照明が明るくなったのもすごく良かった。
 アンコール一曲目がDANCE FOR YOUで嬉しい。UNTO CAESARも聴きたかったな。最後IMPREGNABLE QUESTIONは、そう来たか、と割と冷静に受け止めた。"You are always in my mind"、You=オーディエンスだよ!みたいに歌う。安易かなあと思いつつ、1時間ライブ聴いた後だと沁みる。
 ライブは不完全燃焼気味だったけど、追っていたいバンド。次の動きが楽しみ。

●セットリスト
01. SWING LO MAGELLAN
02. OFFSPRING ARE BLANK
03. THE SOCIALITES
04. CANNIBAL RESOURCE
05. BEAUTIFUL MOTHER
06. SEE WHAT SHE SEEING
07. NO INTENTION
08. ABOUT TO DIE
09. JUST FROM CHEVRON
10. MAYBE THAT WAS IT
11. GUN HAS NO TRIGGER
12. USEFUL CHAMBER

EN
01. DANCE FOR YOU
02. STILLNESS IS THE MOVE
03. IMPREGNABLE QUESTION

October 6, 2012

MEGA☆ROCKS 2012

 気付いたら仙台にいた。そんなはずはないのだけど、そう表すのがしっくりくる。ちょうど何かのお祭りだったらしい。はっぴ姿の人達と、首にタオルをかけたお馴染みフェススタイルの人達が混ざって、二度目の仙台はとても賑わっていた。
 何組か観たんだけど、ひとまずひとつだけ書きます。後で追加するかもしれない。書き過ぎたから削るかもしれない。


▲遅くに行ったら逆に1DayPassをいただいた


■波多野裕文(People In The Box) @ retro Back Page
 会場、雰囲気の良いダイニングバー。キャパ100くらい。弾き語る氏の奥にはモダンな壁掛け絵、傍らに1959年製のスタインウェイ。よくあるピアノブラックではなく、ウォルナット艶消しでやわらかな印象。小さなカフェバーで聴きたいって願いが早くも叶うことになった上、素敵なピアノのある空間! それはそれはやさしいひと時だった。
 音が浸透圧ゼロで流れ込んでくる。音と聴き手には多少なりとも距離があるはずなのに、ゼロだと感じるくらい傍に在る。という魔法がかかっていた。あるいは30分間の夢をみていた。あれほどやさしい侵犯を他に知らない。

 「放っておくといつまででもやるから、アラームをセットしました。時間になると、電話のベルの音が鳴ります(笑)」と譜面台にiPhoneを置いてスタート。

1. タイトル不詳《中国に行ってみたい》
(冒頭ワンフレーズ歌って)「という歌があるんですけど。あんなことになって。島を巡って争うことになって、違う意味が付けられてしまう……まあそれも面白いかなと」→歌再開
◇右足を左膝に乗っけてリラックスした風に、けれどとても丁寧に、音を繋いでいた。
 元々の意味を消してしまわないように聴きたいと構えつつ、始まってみればあの胡蝶の夢感にただ呑まれるのみ。

2. タイトル不詳《ドレスリハーサルの途中》
《昼と夜をやり過ごし》
◇街を眺める視線があまりにもやさしい。《眠る都会に毛布を掛ける》とか。ギターの音のやさしさに揺さぶられたのは初めてだった。ひとつひとつ弦がはじかれる度、ダイレクトに胸にきた。何度か聴いてきた中でも、今日は特別良かった。
 また詞が着せ替えられていた。終わらないドレリハの次を楽しみにしている。
 固定のフレーズ《街は未だにドレスリハーサルの途中》が繰り返され、最後「♪街はー未だーにードレスリ、ありがとうございました」でおしまい。客ぽかん。突然スイッチをOFFにされたような。一瞬の間の後、拍手。じわじわ広がる拍手。

3. タイトル不詳(初披露?)
《戦場だよ》《メランコリー》《おやすみ》《まばたきの間に星を見ろよ》
◇《戦場だよ》という歌い出しのようなシビアさと、メランコリー、メランコリー♪のゆらゆら感が交互にやって来る。「平坦な戦場で僕らが生き延びること」を思い出す。《星を見ろよ》命令形、珍しい。見えたものが星だったのか、まだ判らない。

4. タイトル不詳(ニコラとテスラと卵)
◇卵が食べられようとしていることにようやく慣れてきた。
 最後に登場する男の丸く膨らんだポケットには、残ったひとつの卵が入っているんだろうか。割れてしまわないだろうか。やっぱり食べるのはやめて育ててみるんじゃないだろうか。とか、考え始めるときりがない楽しい。

5. タナトス3号(仮)
《暗い光に今日も誘惑されてる》《ヤコブ片隅に閉じ込めてくれないか》
◇時間がない!ということで、QUIET ROOM 2012に続き最後の《とんてんたんとんてんたんとん》BPM爆上げで終了。小人たちが大急ぎで建設作業しているみたいな。「旧市街」の塔を建てているんだって空想すると楽しい。欠陥工事にならないことを祈る。
 冒頭《目を凝らすと》だと思っていたら、今日は《目を逸らすと》に聞こえた。意味真逆じゃないか。どっちだろう。
 ひとりごと。全くそういう意図ではないだろうけど、ヤコブと大工が出てくると某宗教を連想する。ヤコブ閉じ込める=反イスラエル的。《大工はみんな知っている》=ナザレのヨセフは全知=神とか。こわい。何とか結び付けないで楽しみたい……。

6. タイトル不詳(あなたは誰にも愛されないから)
《いつも いつでも いつも 頭の中の空洞には誰もいないのさ》
◇始めて少しして「もう一回やっていい? アラームを止めます」と中断。アラームのタイミング難しそうだ。夢が終わらなくて済むことに安堵する。「2分押します!」との宣言でリスタート。自己パロディとはさすがである。
 せつない声。初めて聞いたと思う。取り残されたインナーチャイルド。海を目の前に、大きな分岐点に立っているような絵が浮かぶ。掠れ気味の「ばーかばーか」、片想いしてる思春期の子かと。
 ざっくり曲構成を【Aメロ→Bメロ→Cサビ→A'→B'→C'→C''】とすると、A~Cまでギター、A'~C'がピアノ(!)、C''でギターに戻る。
 即興のピアノ、ラジオの弾き語りコーナーみたいにコードを探しながら弾いていた。探り当ててアルペジオ。その器用でない紡ぎ方が曲に似合う。このまま、うまくならなくていいんじゃないかな。
 1959年製のスタインウェイ、現在と距離を空けるようにどこか俯瞰的な、けれど透明な音色。インナーチャイルドを包んでいくような、堪らなくやさしい響きだった。


 即興で決められる曲目、今回実はQUIET ROOM 2012に「戦場だよ」と「ニコラとテスラと卵」が追加された他は同じ。響き方は全然違ったけれど。何となく流れができている。この調子で音源化されるといい。
 会場を出ると、ぽつりぽつり雨粒が皮膚に当たった。波多野さんのライブはどうも雨に恵まれる。夜風に冬の気配が滲んで、どうして音楽を聴きに来ているのか解らなくなる。からだの半分に魔法が残り、もう半分が冬になる。それでも来月また東北に来るだろうと思った。なぜだか解らないまま、もっと冷たい風が吹くだろう11月に。

September 23, 2012

Penguinmarket Records × 晴れたら空に豆まいて presents 『OTONOOTO』
@ 晴れたら空に豆まいて

 繋がりの解らない3組。ライブは端々に共通項が見えるのが面白かった。
 久しぶりの晴れ豆は初めてのスタンディング。とはいえ和風な内装とやわらかい照明のお陰でのんびり。8割くらいの入りで、パーソナルスペース広めなのも良かった。


■ハイスイノナサ
 広くない舞台に密集する機材、メンバー。フロアとの段差が小さく、距離が近い。そんな晴れ豆空間で聴く音に体温を感じた。今までは都市の無機質さとそれを鳴らす人との隔たりが面白かったのだけど、何度か観たせいもあるのか、音と人が結び付いてアナログな響き。逆に都市感が薄い。どちらも好きだ。色んな面を見せてくれるといい。
 twitterでセットリスト流れてきて、色々曲名が判った。手拍子の曲は「平熱の街」という名前。いいね、あの熱さと落ち着きの振れ幅が街の平熱。「ある夜の呼吸」は晴れ豆にとても似合っていた。最後「動物の身体」でニュートラルな締め。残響祭とはまた違って、ふわりとしていて心地良い。浅い眠りに就くような終わり。
 次の世武さんがこうコメントしていた:「ニューヨークの現代アートみたいな、でもヨーロッパの映画みたいな感じもあり」。前者はよく解る。後者はあまりぴんと来ないけれど面白い。モノクロの8mmフィルムのような? そんな風に聴いてみようかな。
 しばらく東京でのライブはないとのこと。是非また。次までにCD聴いて、ゆっくり付き合っていこうと思う。きっと恒常的に好きな音だ。

●セットリスト(twitterより)
1. mass 2. 都市の記憶 3. ハッピーエンド 4. 地下鉄の動態 5. ある夜の呼吸 6. ensemble 1 7. 少年の掌 8. 平熱の街 9. 動物の身体


■世武裕子
 初見。ピアニスト+作曲家+最近シンガーソングライターさんらしい。
 ジャズとポップスが幸せに結び付いたカラフルな日向の音。一方、ハイスイと似た都市感もあり。「Hello Hello」が前者、名前解らないピアノ曲や「ニューヨークと呼ばれた場所」が後者、「75002」は中庸かな。中庸~後者に惹かれる。
 「現代音楽ってよく言われるんですけど、自分では未来音楽やと思ってる。未来って言うても100年後とかじゃなく、3日後くらいやねんけど(笑)」と話されていたのが印象的。「現代」「未来」と対比すると遠いが実際は逆で、現音よりもずっと日常に近い、手の届くところにある音。現代より未来の方が近い。そこに何か新しい鍵がある気がする。とか、ぼんやり考える。
 声は初期SalyuやUAに少し似ていて、そのエーテルや神秘性を薄めて日常に近付けたような。隣に居てくれる声。シンガーソングライターをやろうと思ったのは現音より解りやすいことをするため、という話だった。矢野顕子さんのライブが印象深かったとのこと。日常に近付き過ぎない方が個人的には好きかな。まだ方向が定まっていなくて、これからも面白そうな人。
 プロフィールを調べると「天性の才能」「あの○○が絶賛」と紹介されている。どんな孤高の女性かと思ったら、気のいい関西のお姉ちゃん! 笑いを取ることはマナーである、というような喋りっぱなしのMC(大阪人だと思い込んでいたら、滋賀生まれの京都育ちさん)。親しみやすさが曲のカラフルさと通じていて、人と音が一致しているのは幸福だなと思う。
 出会えて嬉しい! とても惹かれる曲を見つけた。やっぱりカラフル。



■egoistic 4 Leaves
 初見。男性6人組(ツインドラム・パーカッション・ベース・ギター・キーボード)の名古屋のバンド。名古屋熱いインストバンド多いな。イベント名のPenguinmarket Recordsは彼らの所属するレーベル。
 衝動をぶつけるだけぶつけたような音。それだけではないけれど、とにかく熱い。暑い。厚い。6人の音がフォルティシッシッシッシッシモくらいまでクレッシェンドして終わる。若いなあと思っていたら、メンバーの多くが32歳超えみたいな話をしていた。しかし若い。egoisticという名の通り自覚的にやっているんだろう。
 ハイスイと印象や音色は随分違うのに、少し似ている。変拍子? 構成には共通項があるのかもしれないけれど、ハイスイの視点はずっと醒めたところに置かれている。自分にはその方が近しく思える。
 「色んな人の靴を舐めて東京来たんで」とか自虐的なMC泣ける。名古屋から来ました!と言いつつ岐阜出身のパターン笑った。

September 16, 2012

残響祭 8th ANNIVERSARY
@ Shibuya O-EAST & duo MUSIC EXCHANGE

 昨年に続いて参加。この1年で沢山の残響バンドを知って、ライブを観て、ずっと好きになったなあとしみじみ。
 タイムテーブルは当日現地で発表するスタンス。選り好みせず観てほしいのだろうけれど、事前に発表されると予定組みやすくて助かる。私用こなしてからの参加だったので余計にそう思った。omni観られなくて残念。
 お祭騒ぎはとても楽しかった。最後に河野さんが「来年もやりましょう!」って言ってくれて嬉しい。きっと!


■SPANK PAGE
 初見。どこかで和製シガロスと紹介されていた。ああいう宇宙見える系ではなくて、自分の前に立ちはだかる壁を壊すくらいのシューゲ寄りな音、という印象。もっとぶっ壊してくれ、と思ったけれど、あの繊細さが彼らの味で魅力なのかも。


■ハイスイノナサ
 すごく良かった。この日一番のめり込んだアクト。
 初めてドラムの手元が見えた。それでも何が起きているのか解らないけれど、確かに秩序があるからあんなに美しいんだと思った。数学のよう。あの音はドラムの人が出しているんだ!って驚きも沢山あった。仕組みの氷山の一角が解って嬉しい。ともすれば機械みたいになりかねない精確さが、他の音との関わりの中で温度を持つところに人間を見る。もう少し考えたいところでもある。
 初めて一緒に手拍子できたのも嬉しかった。次のライブでCD買おうかな。「ハッピーエンド」のうわあああ感(としか今のところ言いようがない)も健在。最後「動物の身体」で澱みが全部流されたような気がした。ピアノと電子音の組合せだけでも堪らないのに、ギタードラムベースに人の声、皆混ざり合っても濁らず清冽な音に触れられる幸せといったら。
 あまりに良くて、26日のイベントのチケット予約した。とても楽しみ。


 ハイスイ(duo)早めに切り上げて移動しようと思っていたのに最後まで釘付け。ピープル(EAST)間に合いはしたものの、着いたら大混雑でステージ見えず。


■People In The Box
 MCなしで『Ghost Apple』全曲演奏。再現とか反復ではなく、今の彼らの声だった。ガートルード・スタインの言葉を思い出した - 「繰り返しなんてものはない。あるのは声(insistance)だけ」。
 思い入れのあり過ぎるGAの、初めて出会う面が幾つもあって高揚する。「金曜日 / 集中治療室」の痛みが際立って聴こえたのはびっくり。駆け抜けるようなリズムにホイッスルも登場して、ライブではテンション上がるばかりの曲だったはずが。モナリザのくだりは愉快だと思っていたらかなしかったし、《翌朝 報いの雨に濡れて》以降のくるしさは何なのか。「僕」と「君」の双生児のような近さVS結局は他者であるという絶対の溝の、どうしようもない抗いがいっぱいに詰まったGAのひとつの頂点だと思った。ここで幕を引けば崩壊して終わりだったのに、一週間はまだ続く。
 月曜日から土曜日の重みが伸し掛かった「日曜日 / 浴室」は鳥肌。あの帰結《わたしのいのちを、君にあげる / パンケーキみたいに切り分けて、あげる》のために一週間があって、あの帰結があるからまた一週間が始まる。初めて「再生」の曲だと思った。終わらない抗いの中で生き続けるために鳴らされている音楽だった。
 同時に弔いのようでもあった。記憶をなぞって大勢の前で解放するプロセスに立ち会っている気がしていた。古い日記を取り出して、順に読み上げては炎にくべて、ひと山の灰を積もらせる。彼らが去った後、燃え残った林檎の赤が目に染みた。

●セットリスト
1. 月曜日 / 無菌室 2. 火曜日 / 空室 3. 水曜日 / 密室 4. 木曜日 / 寝室 5. 金曜日 / 集中治療室 6. 土曜日 / 待合室 7. 日曜日 / 浴室


■9mm Parabellum Ballet
 照明の赤がGAの赤だなあとか、前の人達の余韻でぼんやりしていた。そんな中でも二度目の9mmはやはり圧倒的。2階も踊る人いっぱいでフロア揺れていた。「Black Market Blues」「The Revolutionary」「Vampire Girl」「新しい光」とか知っている曲沢山聴けて楽しい。いつの間に曲名と曲が一致するようになったのか。
 ボーカルの人柄通りなのだろう詞の真っ直ぐさを、まだうまく受け止められずにいる。ちょっと違うけれどBJCに近い。嵌まると癖になるんだろうな。なりつつある。


■te'
 te'も二度目。リハから凄かった。パフォーマンスさながらのドラムソロ。そんなに長時間やって大丈夫?と心配になるほど叩いていたけれど、杞憂に過ぎなかったことは本番で思い知らされた。他メンバーが入ってからも凄かった。
 9mmと血が繋がっているんだと思った。躊躇いなく向かってくる音が体に届いた瞬間の皮膚感覚(みたいなもの)が同じ。何もかも吹き飛ばす、気持ちの良い暴風のよう。


 te'のアンコールに出演者が十数人割って入ってのエンディング! 一度ハーメルンの行列みたいにぞろぞろと一列で通り過ぎて肩透かしを食らっていたら、二度目はまあひっちゃかめっちゃかな乱入になった。ダイゴマン、ホイッスル咥えて交通整理みたいな動きしつつ客をアジってたの笑った。ある意味笛吹き男。
 来年はどんなお祭りになるだろう。今から楽しみにしている。


September 4, 2012

デイジーワールドの集い @ 青山Cay

 細野晴臣さん主催の集い。事前予約なし、先着順入場。長い列に並んで何とか入れたものの、場内は更にすごい人人人でステージ見えず。もっとゆったり観られたら良かったし、後方にスピーカーなくて距離があったけれど、音楽はとても素敵だった。


■青葉市子
 「物語を、歌います」との挨拶でスタート。人の多さとレストランという環境で、小さなざわめきのなか演奏。「IMPERIAL SMOKE TOWN」はもう少し張り詰めた空気の方が似合うかな。しかし「機械仕掛乃宇宙」の孕むエナジーは圧倒的。物語と音楽の力が青葉さんを中心に渦となって聴衆を飲み込む。メルクリウス、ウェヌス……の響きは祈りのよう。音が消え、渦の内側から湧き上がる拍手はとてもあたたかかった。
 からの、打って変わって「イソフラ区ボンソワール物語」! 初めて聴いて、イソフラボンボンイソフラボン♪が頭から離れなくなった。街の女の人はみんな巨乳ー♪とか、可愛らしくて楽しくて少し奇妙。かと思えば最後、いざ炎の中へー♪みたいなシビアな結び。このバランスの取り方が好きだなあと思う。
 宣言通りの豊かな物語世界、ありがとう。またね。


■吉田省念 (くるり)
 ギターと声と言葉で真正面から向き合ってくる。誠実な人なのだろうと思った。くるり的な誠実さとやっぱり似ていた。普段あまり触れない感覚が新鮮。くるりでもボーカルを取られているらしい。気になる、聴いてみようかな。


■中沢新一
 まさかの河内音頭 with 木津茂理さん! びっくり。聴けて良かった。懐かしい。色々あって一番テンション上がったかもしれない。細野さんの手拍子に乗せて木津さんの三味線とお唄、そして中沢さんのお唄もとても幸せだった。ノーリーズンで幸せで、それでいいやと思えるのは久しぶりだった。


■細野晴臣グループ+Salyu
 鳴っているだけで楽しくなる音は自分にとっては多くなくて、だから細野さんの音は貴重。何なんだろうか。齢を重ねた人が楽しく生きている様に救われる感覚はある。ご機嫌で楽しい音だった。面子に関わらず、また機会があれば集いたい。
 SalyuとのコラボはU-NITEの時と同じ「Smile」「I Love How You Love Me」。男性ボーカルに合わせて歌う時のSalyuのやわらかい声音が好きだ。そして声量すごい。後方にもしっかり届いて嬉しい。細野さんから音源化の話が出ていた、是非とも!
 3歳の時に公開された映画「風の谷のナウシカ」のテーマ(細野さん作曲)が歌の原体験だというSalyu。ずっと気に入って歌っていたそうな。その話を聞いた細野さん「鳥でいうと親みたいなもんだな」笑った。

●セットリスト(twitterより拝借)
1. Cow Cow Boogie 2. Song Is Ended(ゲスト木津茂理) 3. Tutti Frutti 4. Smile(ゲストSalyu) 5. I Love How You Love Me

August 30, 2012

QUIET ROOM 2012 -晩夏の鐘-
@ ル テアトル銀座 by PARCO

 「袖から舞台まで歩いてくる時吐きそうになった」(堕落安部さん)
 「この空気、あれを思い出しますね。お通夜」(尾崎さん)

 ということで今回も出演者にとってやりづらそうな、客がQUIETなイベント。うまくレスポンス返せなくて申し訳ない。どうしたらいいんだ。
 多くのアーティスト(今回は6組!)の弾き語りを見られるのは貴重で、本当に面白い。誰もが音と居て誠実だった。あんな風に生きたい。
 テアトル銀座、初めて行った。来年5月末でなくなるとのこと。舞台見やすいし席は座りやすいし、何より響き方がまあるいところが好きだと思った。立地も良い。なくなっても、今日のことはずっと覚えていられるといい。


■EG
 初見。カフェオレに追加する粉砂糖みたいなあまい声。高音もよく出るんだけど、話すのと同じかやや低いくらいの声がびっくりするくらいあまくて、こちらを推してほしい、と勝手なことを考えた。
 (更に勝手な感想)記号みたいな名前が面白い。exempli gratiaであり、JAAであり、カタカナ読みならeasyと同音。気になって公式サイトに行ったら「本名でないのも意味は特になし」とあった。名前と曲の印象がうまく一致しないのも面白い。


■堕落モーションFOLK2
 出演順のせいか、前回より少し大人しい印象。でもやっぱり気のいい兄ちゃん達。MCの人柄そのまま馴染みやすい曲、と思いきや引っ掛かるところが幾つもあって面白い。中でも「不潔なメロディー」という曲が引っ掛かっている。不潔を気にする潔癖さが際立って聴こえた。
 物販で「堕落」の二文字が刻まれたピンク色のTシャツ売ってて震えた。某16gの変態Tを思い出す。


■波多野裕文 (People In The Box)
 いつもの飄々とした空気で登場。曲目を即興で決めているからか、持ち時間を気にしてiPhoneのアラームをセット。そういえば前回は、時間が判らなくてスタッフに時計持ってきてもらっていた。進歩!
 4曲、どれも今まで披露したもの。王道的な曲が選ばれたように思う。

1. タイトル不詳《中国に行ってみたい》
壱日の孤独vol.2の一曲目。アカペラ。悠々とした、まあるい豊かな声。混じり気のない水の粒のよう。

2. タイトル不詳《ドレスリハーサルの途中》
《夏の都会にバグが発生する》
◇詞が夏仕様に着せ替えられていた! MC「最近本当に暑いですね。いつもは雨が降ってちょっと涼しくなったりするのに、全然降らない」から、さらりと《夏の都会に~》の歌い出し。リアルな時空間と曲がリンクするのはふしぎな感覚。同じ季節を、地平を、過ごしていることを実感するのもふしぎだ。

3. タナトス3号(仮)
《空を黒く塗り潰せ いつまでも同じではないと知った》
◇聴けば聴くほど好きになる。ぜひ音源化を!
 「時間がどんどんなくなる! 次の曲はBPMを上げます」との宣言で始まるも、いつも通りBPM70くらいのゆったり演奏。と思いきや終盤の《とんてんたんとん》で200超えるくらい爆上げして笑った。最後はゆっくりに戻って終了。

 チューニング中、びーん!と弦が切れるハプニング。ハタノさん「は……!」と動きが止まる。会場とりあえず笑う。笑うしかない。
 予備ギターを差し出すスタッフに「こういう状況の方が燃えるんです。あの、お気持ちは本当にありがとうございます」と断った後、「あーこれ、一本ないと結構狂いますね、調子」と言い出したので、どっちやねん!がんばれ!と念じる。
 そのまま「アラームが鳴るまで頑張ります」とスタート。そうだった時間が限られているんだった。

4. タイトル不詳《あなたは誰にも愛されないから 自分で愛してあげなさい ばーか》
◇壱日の孤独vol.2本編最後の、詞が印象深い曲。↑このくだりも勿論だけど、《5月の空は海の色》が堪らなく好きだ。メロディーと併せて、世界がぐわっと広がって解放されたような感覚になる。ハタノさんが歌う青空はいつも手を伸ばしたくなる。
 最後の「ばーかばーか」が終わってアウトロに入ろうとする時、ジリリリリリ!!!とiPhoneアラームが鳴り響く。演奏止み「お時間です、ありがとうございました」。ええー!?
 びっくりしつつ、会場笑って拍手。最大級の拍手。

 秒針のSEで始まるピープル("And I'm Singing" Jim O'Rourke)と対になるような終わり方。夢から覚めるような、世界が切り替わるような。もっと聴いていたかったし、あちらの世界に居たかった。そんな風に自分を変えればいいんだろうと思う。最近よく考える。じわじわ効いてくる。
 次のソロはいつだろう。帰ってこられなくなるくらいどっぷり浸りたい。病気か。


■斎藤宏介 (UNISON SQUARE GARDEN)
 サポートにドラマー海老原諒さん(今日はパーカッションでジャンベ、ウィンドチャイム、スプラッシュシンバル)を迎えての演奏。斎藤さんが海老原さんを「すごく好きなドラマー」と紹介していたのは納得。バランスの良い人で、相性の良い組合せ。
 「オリオンをなぞる」は知っていた! バンド形式よりも夜空に似合いそうなアレンジ、好きだった。


■Laika Came Back
 初見。今日の面子で唯一立っての演奏。一人で5重くらいにギターをサンプリングして重ねて、弾いて歌っていた。ギターって色んな音が出るんだなあ、というところから興味を惹かれる。そしてどの曲も質感が違って、奥深い音の世界を持っている人だと感じる。すごく面白く聴いていた。調べてベテランさんと知り納得!


■尾崎世界観(クリープハイプ)
 初見。ふしぎな惹かれ方をした。ゴッホのひまわりみたいな声だと思った。枯れたように掠れているのに、生命力に満ち満ちている。聴いている人に訴えかける力の強さを、耳だけでなく全身で感じた。演奏と同じくらい詞が気になることが多いのに、どちらも吹っ飛んで圧倒されていた。すごい。どうしてだか解らない。
 詞だけに集中すると、感受性の強い青年の日常、と括ってしまうのは失礼かもしれないけれど、特別だとは感じないのに、音とあの声に乗ると特別になる。
 クリープハイプ聴いてみようと思う。楽しみ!

August 18, 2012

People In The Box 空から降ってくる vol.4 ~劇場編~
@ 東京グローブ座 2日目

 劇場編ファイナル。昨日と同じグローブ座で、昨日より更に遠い席。名古屋から徐々に遠く、ミクロからマクロへ俯瞰していくように観てきた。
 MCで『Ave Materia』告知! タイトルで既に鳥肌。Ave Mariaとのあからさまなアナロジーに、Materia=物質世界(としていいだろうか)への肯定と祝福しか感じない。聴く前からピープルの叫びが頭の中を駆け巡っている。聴かなくてもいいんじゃないの。なんて戯言をうまくぶっ壊してくれるといい。
 テンションがくるったままライブの感想を書きます。

 セットリスト一部変えてきた。「レントゲン」始まりで「鍵盤のない、」終わりの初期曲挟みで、「笛吹き男」~「沈黙」だった名古屋、東京1日目と対照的。生が強く感じられるのは同じで、余韻はかなり違った。
 カメラが入っていたからCut Threeに収録されるかもしれない。演奏は名古屋や東京1日目の方が良く聴こえたのでちょっと惜しい。今日は波多野さんがややお疲れだったような。とはいえ圧倒される瞬間は沢山沢山あった。

 昨年の劇場編のと多分同じ、窓のシルエットがスクリーンに映されてスタート。「レントゲン」、あまり気に留めていなかった《ここは希望の国》にはっとする。今のピープルからは圧倒的な肯定ばかり感じる。冒頭、ゆったりした波多野さんの歌とギターに合わせて、ダイゴマンがふにゃんとした赤いパイプを頭上で振り回し始めた。何事かと思ったら風みたいな音が鳴り出す。メロディーパイプ? 面白い! 確かにこの曲、誰もいない大地を風が吹き抜ける感覚がある。
 ダイゴマンは「El Condor Pasa」でカズー昨日より息が続いてたのも良かった。波多野さんが支えるように体でリズム取っていたのが、いつもと役割逆で印象的。そして安定の福井さん。ダイゴマンによると「これタンバリンじゃなくてタンブリン(? 違うかも)っていうんだよ。タンバリンよりもじゃらじゃらが大きい」らしい。へええ。楽器も曲もいつもと違うから、音のコミュニケーションが浮き彫りになって面白かった。本当に状態の良いアンサンブル。それから「Virtual Insanity」の終盤、間奏で挟まれるハイハット、癖になってふと頭の中で鳴り出したりする。正確で美しくて、というだけではなくて、迫るものがあって。本当にこの人の音は何なんだろう。是非収録してほしいけれど、権利関係とかあるのかな。
 一部ラストは「子供たち」! 予想外でびっくり、嬉しかった。CD音源があれなので、優しい終わり方にほっとする。福井さんのコーラス柔らかくてよく合っていた。最後のららら~以降ダイゴマンも歌っていて、その不器用さがまた良いなあと思う。声はやっぱり特別な音だ。

 二部始まりは「ベルリン」! 久々の赤と緑の照明にテンション上がる。ギター格好良いな。ライブハウスだとあまり手元まで見えないから、あんなに弾き倒していることにびっくり。
 やっぱり新曲が印象深い。今日はどちらも等しく好きだと思った。少しずつ詞が入ってくる。新曲1こと「球体」(多分、AMの収録曲名より)はダイゴマン輪唱もびっくり。波多野さんからより遠い、個がはっきり区別される声を入れたかったんだろうか。この曲だともう少し安定すると良さそう。《僕らは誰も殺せはしない》自分も?
 新曲2こと「ダンス、ダンス、ダンス」本当にこの曲名みたい。珍しく直球。《超然としていたって 頭はからっぽさ》刺さる。
 「水曜日 / 密室」久々ですごく嬉しかった。聴く度に迷路に嵌っていく。
 ラストは期待通り「鍵盤のない、」。名古屋のエンドロールで、多分間違って、この曲名が表示されていたから、きっとやるんだろうと思っていた。バラバラになりたかったから、そうなって、あのアウトロを聴けて、すっきりした。

 エンドロールの音楽、何だろう。"Realize, Realize, You're here, You're here"って聞こえた。ゆったりした男女混声(波多野さんではない)。名古屋も東京1日目も耳に入っていなかった。「気付いて、気付いて、ここにいるよ、ここにいるよ」。ファイナルでこれは、くる。ここにいていいんだと思った。これからもいられるといい。


■セットリスト
◆一部:アコースティック
01. レントゲン
02. ストックホルム
03. 火曜日 / 空室
04. はじまりの国
05. 木曜日 / 寝室
06. El Condor Pasa(Simon&Garfunkelカバー)
07. Virtual Insanity(Jamiroquaiカバー)
08. 土曜日 / 待合室
09. 天使の胃袋
10. 子供たち
◆転換ムービー:ダイゴマンが行く! ~韓国編~
◆二部:エレクトリック
11. ベルリン
12. 親愛なるニュートン街の
13. 犬猫芝居
14. The King of Rock 'N' Roll(Prefab Sproutカバー)
15. ユリイカ
16. 新曲1 球体
17. 新曲2 ダンス、ダンス、ダンス
18. 水曜日 / 密室
19. ニムロッド
20. 旧市街
21. 鍵盤のない、


■MC備忘
・齢
ダ「なかなかアダルティでしょ? アダルト(一部)とヤング(二部)ですからね」
ハ「でも、そんなアダルティって感じもしないかもしれないね。僕ら」
ダ「ああー。ま、ロリ顔ですからね!」(会場笑)
ダ「何歳くらいに見られてんだろ? 健太年上に見られる?」
フ「見られますね。上に」
ダ「波多野ちゃんは?」
ハ「僕、解んない」
ダ「俺は年相応に、まあ」
ハ「いいなあ年相応。何かね、すっごい上か、すっごい下かに見られる」
ダ「すっごい上っていうのは」
ハ「38とか」
ダ「38!?」(会場笑)
ハ「って言われる。それか18」
ダ「18!? それはない、18はないよ!」(会場笑)
フ「精神年齢は18(笑)」 ←!

・好きなこと
ハ「今日は本当に、来てくれてありがとうございます」
(会場拍手)
ハ「あのー、本当に。本当にねえ……こんな風に、好きなことをできるっていうのは、簡単なことだと思ってないんですよ。僕は。……その象徴みたいな曲をやります。これも僕がプレゼンして、これやりたい!って言って、やってるっていう。ふふっ」 →Prefab Sproutカバー演奏




(すごく個人的な感想。
 新譜発表はものすごく嬉しかったんだけど、タイトルを聞いて何となく不安になった。肯定と祝福だけでは生きていけない。ポジティブな方向に進むだけなのかと思うとぞっとした。生きていけない。
 だから「鍵盤のない、」が聴きたかった。初期の、死の匂いのする曲。
 CSツアーで音と血が繋がったような気さえして、もしかしたらそこがピークで、後は離れていくだけなのかもしれない。だけどこの劇場編で聴いた二曲はすごく良かったから、ただの杞憂かもしれない。
 好きになり過ぎたかもしれない。ばかだなあ。
 タイトル発表されただけでここまで考えるのも、ばかだなあ。)

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Maira Gall