2年半前、初めて聴いたツィメルマンの衝撃といったらなかった。手が痛いのも気にならず全力で拍手した。柄にもなく生まれてきて良かったと思った。全てショパンで構成されたプログラム、音の全てが幸福で。素晴らしいコンサートは数あれど、未だあの日を超える音には出会っていない。
本日前半は今年生誕150年のドビュッシー、後半はシマノフスキとショパン。半年前のアナウンスでは全てドビュッシー(12のエチュード全曲)だったが、1ヵ月前にプログラム変更のメールが来た。プログラムに書かれていた彼の言葉「自分が正直に演奏したい曲目で構成したい」。そうあってほしいし、そうしてくれて本当に嬉しい。
1曲目「パゴダ」始まって1分と経たず泣いた。なぜかを説明するのは本当に難しい。まさかパゴダで泣くとは自分でも思わなくてびっくりした。まだ全然まとまっていない。今回の公演あと2回行くから少しずつ捉えたい。
とにかく至上の音。ピアノがあんな音を出すなんて知らなかった。特に「沈める寺」圧巻。ロック。他の曲もピアニシモからフォルティシモまで、不協和音の重なりも最後の一音の残響さえ、何もかも格が違っていた。
ピアノに鳴るのを任せているようだった。鍵盤を打って距離を取るように指を離し、音が鳴るのを見つめている姿が印象的。それは数秒にも満たないことで、すぐ次の打鍵に移る。何度もそんな場面が現れ、ああピアノに委ねているんだなと思う。ピアノが主体。何だか当たり前のことを言っている気がしてきたけれど、そうして演奏するピアニストは寡聞にしてあまり知らない。
ピアノの巨匠は誰しもおちゃめである。今日は特に前半咳をしている人が多く、ツィメルマン自身がパゴダやグラナダの夕べの後に咳をして会場を見たのは、気にしないで、という優しさのように映った。ショパンのピアノソナタ、1楽章終わってそこそこ飛んだ拍手に軽く礼をして応えてくれ、2楽章の終わりで、あれ、拍手は?という風に客席へ目をやってみたり(客席笑って少し拍手)。アンコールこそなかったけれど、最後は客席の大きな拍手を両腕広げて受け止める仕草。そのひとつひとつがやさしい。
全部で12回の日本公演。あと2回、Aプロ→Bプロと見る予定。本当に楽しみ。
●プログラムB
ドビュッシー:版画より
1.パゴダ 2.グラナダの夕べ 3.雨の庭
ドビュッシー:前奏曲集 第1集より
2.帆 12.吟遊詩人 6.雪の上の足跡 8.亜麻色の髪の乙女
10.沈める寺 7.西風の見たもの
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シマノフスキ:3つの前奏曲(「9つの前奏曲 作品1」より)
ショパン:ピアノ・ソナタ第3番 ロ短調 作品58
November 27, 2012
クリスチャン・ツィメルマン @ 川口総合文化センター リリア メインホール
November 25, 2012
青葉市子独奏会 @ 自由学園 明日館 講堂
西池袋、ホテルメトロポリタンの裏手は住宅街。その一角に佇む建物は、時の流れから独立して呼吸しているような静けさと存在感をまとう。今日の歌い手によく似合うと思った。
独奏会ひと区切り。ソールドアウトしており満員の講堂。長椅子に腰掛けて聴くのでパーソナルスペースは充分。目線が同じだったVACANTと違って、高い舞台から見下ろされる。会場の緊張感が濃かったのは高低差のせいもあった気がする。
青葉さん、何だか貫禄が出たなあ、というのがざっくりと全体の印象。服装、安定感、ギター上達、だけでなく。それがMCで話していた、全国で出会って連れてきた沢山の仲間たち(「ポケモンみたいに」笑)の影響なんだろう。
だけどMCがいつもより緩かったのは、直前に遊びに来たらしいおとぎ話というバンドに緊張を解されたからかな。22歳らしさを初めて見た気がしたり。
いつも通りの二部構成。初期の曲中心の一部は、神父さま並にゆったりだぼっとしたベージュの服。最近の曲中心の二部で衣装替え、袖口がふんわりギャザーになった甘めの白ブラウスに紺の膝丈スカート、オフホワイトのタイツにぺたんこの靴。
ストレートの髪、ほんのり青緑がかった黒に染めている? 右耳に揺れる大きめの黒いピアスと相俟って、ちょっと背伸びした印象。これまでの不思議で繊細な少女風から、少しアーティスティックな見せ方に変えてきた。
最近三部作にすることを決めたという「IMPERIAL SMOKE TOWN」→「だれかの世界」→「MARS 2027」がすごい。ものすごい。15分くらいで展開される物語の大きさの、果てが見えなくて唖然とする。後者ふたつは音源化されていないので、次のアルバムが本当に楽しみ。
この巨編の前に「イソフラ区ボンソワール物語」を持ってくるとは。セットリスト悩む、という話をしていたが、まさかのイソフラボンボンがここで。市子……恐ろしい子!(ガラスの仮面風に) 会場の緊張感に正直馴染みきってはいなかった。けれど是非とも捨てられないでほしい曲。コミカルで奇妙で、どこか不安定なバランスが癖になる。アンコールでやると良さそう。
「機械仕掛乃宇宙」はさすが。何度か聴いて慣れてきて、物語の細部に胸を突かれたりする。あの祈りのような呪文、耳を澄ますと「メルクリウス、ウェヌス、テル(ス)マル(ス)ユピテルサトゥルヌス、ウラヌス、ネプトゥヌス」と聞こえた。ラテン語で水星から海王星まで順番に。
アンコール、おとぎ話にエッセンスをもらってできたという「エスケープ」は確かにバンドサウンドでもいけそうなアップテンポ(青葉さん比)な曲。《月に梯子を掛けたなら後は登るだけさ》ってひたむきさが可愛らしくもあり、切実でもあり。新境地、素敵だった。最後は待っていた「ひかりのふるさと」で締め。きらきら、今日もとてもきれいだった。音だけでなく、世界をきれいに見せてくれる。ありがとう。
来年は制作に入るので「邪魔しないでください。笑」と言われ、繭をつくる蚕を見送るような気持ちになる。その前に、12/23の現美! 展示もライブもすごく楽しみだ。
■セットリストとMCメモ
01. 不和リン
02. 腸髪のサーカス
03. ココロノセカイ
「弾き語りを始めた最初の頃、まだ曲が4、5曲しかなかった頃は、いつもこの3曲で始めていました。初心を忘れないようにと思って、今日はこの3曲から始めました」
04. 光蜥蜴
05. 日時計
06. 遠いあこがれ(白鳥英美子カバー)
07. 繙く風
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08. レースのむこう
「次は、訳ありな曲をやります。一度ボツにした曲です。今日はやるつもりはなかったんですけど、おとぎ話のドラムの人にやれやれって言われて。苦情は彼にお願いします。笑」
09. イソフラ区ボンソワール物語
「やらなきゃ良かった。笑」
10. IMPERIAL SMOKE TOWN
11. だれかの世界
12. MARS 2027
13. 私の盗人 「22歳が精一杯背伸びした曲です」
14. 機械仕掛乃宇宙(山田庵巳カバー)
「楽譜がないので、あってもわたしも読めないので、口伝えで覚えました。わたしはこの曲をコピーしたいがために、ギターを始めたようなものです。原点、ですね」
15. 奇跡はいつでも
「レイ・ハラカミさんが亡くなった時にできた曲です」
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EN.
01. エスケープ
02. ひかりのふるさと
November 4, 2012
『陋劣の残滓を啜り聖を排出する正義という呪縛。狂躁する資本主義の末期衝動。罪は通奏低音の如く聖に平衡し、赫奕たる旋律を奏でる。』
@ 郡山#9
鈍行列車を乗り継いで、ゆるゆると北へ。
東北本線、ドアが「車内温度維持のため」ボタン式の手動。乗り換えた列車は二両編成で、発車の合図は時折掠れる笛の音。車内に2歳くらいの男の子とお母さんがいて、周りの人がにこにこ話しかける。
時々東京を出ないとだめだと思った。何かが致命的に麻痺している、気がする。
■波多野裕文
どれも曲名が判らないので、詞の一部を。
1. 中国に行ってみたい
2. ドレスリハーサルの途中(ミニチュアのデパート)
3. 君が人を殺した
4. 8つの卵
5. あなたは誰にも愛されないから
#3初めて聴いた。
最初しばらく「今日彼女は来なかった、仕事かなあ」なんて小さな恋の物語かと思いきや、その流れのまま《君が人を殺した》。空気にノイズのような異物がざあっと混じって、うわあ来た、と思う。あの違和感と困惑。と、少しの愉快な気持ち。
冷静なギターは異物が聴衆の体に沈むのを見届ける。そこからもう一度《君が人を殺した》。そして《でも、僕は君の味方だよ》と続く。2つのフレーズが何度も繰り返され、後者の伝え方がどんどん濃くなる。はっきりと一音ずつ、確かめるように。
……とりあえず聴いてほしい!(これ、ずっと言いたかった!)
一度だけ《君が誤って人を殺した》と歌っていた。誤って。今更効いてくる。
言葉が触覚に作用する。皮膚に、身体に、内蔵の隙間に、否応なしに触れてくる。堪らない違和感の陰で、あるべきものが戻ってきた安堵がこっそりと息をつく。そのことがおかしくて笑う。ほんの少し愉快でもある。そんなめちゃめちゃな状態で聴いていることもある。ただ心地良さに浸っているだけのこともある。
結局どうしてなのか全然解っていない。ふらりと200km移動してくるくらいに引かれているのは確からしい。
iPhoneのアラームが鳴って、魔法が終わる。今年もありがとう。良いお年を。
■the cabs
この日の客入りは半分くらいで、舞台がクリアに見渡せた。下北沢は満員電車並の混雑でほぼ見えなかったから、彼らを「見た」のは初めてに近い。上手からギターボーカル(絶叫)、ベースボーカル(メロディー)、ドラムス(爆撃機)の配置。
爆撃機、本当に爆撃機だった。決してパワーで押すマシンガンタイプではないのに、手数がどうなっているんだろうあれ? あの音の連鎖のどこで息継ぎして、どうやって呼吸しているんだろう。最初に爆撃機と評した人のセンスすごい。
そのドラムスに乗るメロディーと、乗らずにひた走るような印象のギター。まとまっているようで、まとまりがない気もして、何が展開されているのか解らないままとりあえず突き進んでいる様が面白い。これからどうなっていくのかさっぱり見えないバンド。年明けのアルバムが相当楽しみ。
■te'
こちらもやはりドラムス。残響と書いて「ドラムス」と読んでもいいと思った。冷静に考えるとだめだけど、それくらい気になるドラマーが多い。何だろう。
人とぶつからずに見たのは初めてで、何だか違和感があった。モッシュしろってことでは全然なく、誰かと/何かと衝突するところで生まれている音なんだと思った。あらゆる音がそうだと言えばそうだけど、何だか「衝突」がひとつのキーワードのような気がする。ツアータイトルだってそうだ。画数多く読みづらい漢字からして衝突しまくっている。内容もそう。
見る度にそんなことを考える。まだまだ未知数のバンド。いつかまた。
ノート:
【陋劣】ろうれつ。いやしく劣っている・こと(さま)。下劣。
【赫奕】かくやく。かくえき。光り輝くさま。 - 大辞林より
October 25, 2012
TONOFON presents SOLO 2012
@ グローリアチャペル キリスト品川教会
初見の2人のソロ演奏。楽しみに足を運んだ。開演前、撮影大丈夫そうなのでぱちり。プロテスタントらしい簡素な内装。pewに並んで腰掛けて聴く。

素敵な照明設備。写真判りづらいけれど、ペンダントライト風に幾つか豆電球が吊られていて、曲によって星の明滅のように瞬く。あと十字架の後ろの壁、上下に照明が隠されていて、赤青黄金色になれる。
ただ肝心の音、教会でリバーブがかかり過ぎて細部が曇っていた気はする。途中トクマルさんの弾いたパイプオルガンの独壇場。
それでも楽しくて刺激的なひと時だった。ソロにも色んな形がある。
■高木正勝
ピアノと一緒に産まれてきたんじゃないかと思う。己とピアノとの継ぎ目が見えなくて、正に天衣無縫。ピアノを手懐けたり、服従させているのはよく見る(それだって極めれば素晴らしい)けれど、1:1の関係は初めて見た。奇跡のよう。
体を大きく使った演奏。上半身は鍵盤を0度とすれば120度くらいまで思うがまま動き、時に鍵盤を圧する反動で腰を浮かせるどころか立ち上がったり、曲間では準備運動みたいにぴょんと飛んでみたり。大袈裟とか力任せとかではなく、全て自然。ピアノのタッチはとても丁寧。どうなっているんだろう!
「Girls」や「Yubi Piano」が聴けて嬉しい。最後は映画の主題歌「おかあさんの唄」高木さんボーカルでとても良かった。女の人が歌うより、直截な歌詞とワンクッション距離があって個人的には好み。教会だからか、曲が天へ昇って、また降り注いでくるようだった。おかあさん=マリア様の連想をするとふるえる。
ピアノを弾くのはこの人の一面でしかないというのがまた。天賦の才という言葉がよぎる。これからどんな音や映像を生み出すのか、まだまだ楽しみ。
■トクマルシューゴ
音数多くカラフルなイメージがあったけれど、この日はソロ。それでもギター(+サンプラー)、ピアノ、オルガン、ウクレレ、客の声と、手持ちの楽器と会場をフル活用しての演奏。音に好奇心が強くて、遊び心のある人だなあと思う。サンプラーで音を重ねる中でエレクトリカルパレードのフレーズを挟んだり、オルガンで最初に容赦なく鳴らしたのがトッカータとフーガニ短調の頭だったり(笑)。楽しかった! Rum Heeはギター一本でもカラフルな響き。
アンコール、2人で演奏するGirlsがこの日のハイライト。多分それほど細かな詰めはしておらず即興で、お互いの出方を窺いながら音が折り重なっていくのがとても面白かった。どちらかがためらったり誘ったりすると、すぐに相手が反応して打ち返していく、音のダイアローグ。
前々日(!)にtwitterで高木さんが持ちかけていて、今日のトクマルさん曰く「(準備大変だったという流れで)更に高木さんに首を絞められました(笑)。でも、その絞められるのは悪くないっていう」。面白いコンビ。またどこかで。
October 15, 2012
J-WAVE「THE KINGS PLACE」LIVE vol.1 @ LIQUIDROOM
ラジオ番組「THE KINGS PLACE」をナビゲートするバンドが集結してのライブ。
LIQUID良いハコ。音良いし照明映えるし後方段差があるのは優しい。レモネードあって嬉しいし、立地も良い。開演前の寿司詰め待機さえ乗り切れば素敵な空間。
▲フライヤ、ハロウィン仕様!
■People In The Box
昨日に続いてピープル。対バンだと格好良さ3割増。演奏キレあり、LIQUID自体の良さも相俟って素晴らしかった! 「市民」半端ない! 「天使の胃袋」ボーカル入る前のピィー!!!って容赦ないギターの音で飛ぶ。あれ大好き。エレクトリックで聴いたのは久々で嬉しい。
新曲とんでもない。手の付けられない魔物のよう。真っ赤な照明が映える。ウィスパー(ピープル初?)で《水の音がしてる 耳を澄ませ》からの忍び寄るベース、水面が足元から盛り上がってきてぞくぞく。どうしたらあんな曲が、演奏ができるんだろう。最後《清潔な流し台を血液が走る》ボーカルだけで終わると、場内1000人ほどが水を打ったように静まり返る。堪らない空気。訳が解らないけれど圧倒的な何かを観た後の、言葉も行動も奪われた感。キンプレブログによると「市場」らしい。しじょう? いちば? 何を取り引きしているんだろう? 愛すべき魔物。新譜が益々楽しみ。
続く「ダンス、ダンス、ダンス」の4拍子に安堵。したのも束の間、詞が迫る。ラジオで音源流れてからライブは初めてなのに、もうすっかり好きになってることに気付く。福井さんのコーラスが映える。終盤《森を突き抜けて》で3人同じリズムで音出すところ(わかりづらい……シンバルだとジャーン、ジャン、ジャーン!てところ)が好きなんだけど、割と抑え目の出し方。最後《荒れ果てた庭でひとり仲良く踊りましょう》ずんと来る。いつか軽やかに踊りながら受け止められるようになるだろうか。
PA卓付近の段差上にいて、遠目だけど遮るものなくステージを見渡せた。久しぶりに見えた福井さん、縁の下の力持ちタイプだと思っていたら、全然クリエイティブかつパフォーマティブでびっくり。今更。特に新曲2つ、目を奪われる。
恒例のMC、アウェイ気味の場でこそ本来の持ち味を発揮。照明を乱反射するドラム要塞に守られつつ、斜め75度上向いて声にエコーかけまくるダイゴマン・オン・ステージ。極めつけに「今日も全力でぶっ殺していくんで、マジでよろしく!!(ビシッと指差し!!)」堪らない。指から何か飛んできたマジで。PA卓までマジで。
……じっと座ってものを考えているだけじゃ駄目なんだ。そんなことしてたって何処にもいけないんだ。わかるかい?」
「わかるよ」と僕は言った。「それで僕はいったいどうすればいいんだろう?」
「踊るんだよ」羊男は言った。「音楽の鳴っている間はとにかく踊り続けるんだ。おいらの言ってることはわかるかい? 踊るんだ。踊り続けるんだ。……
- 村上春樹『ダンス・ダンス・ダンス』より
※下線部、原文では傍点
3人が演奏していることを変わりなく貴く感じる。かけがえのない、生の溢れる景色。あの場をつくってくれて、そこにいさせてくれて、本当にありがとう。
●セットリスト
1. 親愛なるニュートン街の 2. 市民 3. ニムロッド 4. 市場 5. ダンス、ダンス、ダンス 6. 天使の胃袋 7. 旧市街
転換中、今回はツアーで来られなかったらしいandropからのメッセージとライブ映像が流れる。誠実な演出。LIQUID下手側の壁がスクリーンになるのを初めて見た。
つくりものみたいにきれいなイメージを持っていたら、ライブ映像で一面客の腕が上がっていて壮観。思い込みよりずっとインタラクティブな音楽なんだなと思う。
■Nothing's Carved In Stone
2010年のクリスマスにピープルと、同じLIQUIDで対バンして以来。ボーカルが金髪になって、それと関係あるのかないのか、記憶していたより一層攻めの色が強いステージだった。久しぶりに見る変化は嬉しい。
■クリープハイプ
初見。割と楽しみにしていて、割と好きだと思った。曲も詞も演奏も。ストレートに向かってくる音を嫌いになれるはずもない。トリとは予想していなかったけれど、盛り上げまくって締めていた。肩車連立→ダイブの波を久々に見る。同じ音楽好きでも本当に色んな人達がいる。
October 14, 2012
ART-SCHOOL「BABY ACID BABY」TOUR 2012 @ 金沢AZ
ARTの新譜ツアーにピープルがジョイント。
ずっと来たかった金沢、観光して(21世紀美術館! 泉鏡花記念館!)ライブ観られてすごく楽しかった。昼間遊び過ぎてART終盤で体力が尽きかける始末。きっとまた。
▲ペットボトル、AZの粋な計らい!
■People In The Box
波多野さんのギターが変わっていた! きっとこれなんだろう。素人が開き直って勝手なことを書くと、栗の渋皮煮みたいだと思った。ブランデーの深く染みてる渋さを基調にしつつ、全体に甘みが残っていて豊か(秋のせいにしておく。とても好きな甘味)。今の位置から少し先にある、けれどそのことで進む道を示してくれそうな、良い予感のする音。しばらくはギターが楽しみになりそう。バンドに馴染む過程を見ていたい。
「球体」聴けば聴くほど良い曲! 暗めの黄緑色の照明。輪唱がダイゴマンから福井さんにチェンジ。人が密集するライブハウスで聴いていると球充填問題を連想する。ピープルの音が充填された球体達の隙間に満ちていくイメージ。
ギターばかり気になっていたけれど、久々に近くで見たダイゴマンの演奏はやっぱりしなやかで力強くてうつくしい。「金曜日 / 集中治療室」嬉しかった! ホイッスル! 残響祭とは違って、テンション上がる曲に戻っていた。全曲演奏は特別。
もうひとつ新曲、初めて聴いた。《ある日君は動くのをやめた》で始まる物語調の詞。新譜は物語が主張に消されていくのかと勝手に危惧していたから安心する。ボーカルに挟まるシンバルの音が妙にツボ。また好きな音が増えてしまった。しかも間奏3人ともやたら格好良い。新譜好きかもしれない、どうしよう。
ラジオで声にエコーかけることを学んだダイゴマン、いつものMCがレベルアップ。「『Cut Two』買った人手挙げてー、少なっ!(なっ!(なっ!(なっ!)」普通にウケていた。エコーの魔力!
「ニムロッド」→「旧市街」、最早定番の流れで締め。終盤はギターとドラムお疲れ気味だった気はする。福井さんの安定感はさすが。今更だけど旧市街の《メメント・モリ》コーラス他の音に負け気味で勿体ない。もう少し大きくても良さそう。
ピープル久しぶりに観たという人が「球体格好良かった!」って言ってくれて嬉しかった。そうそう、すごく格好良いアンサンブルなんだ。対バンで見ると改めてそう思う。金沢で観られて本当に良かった。楽しい時間をありがとう。
●セットリスト
1. 沈黙 2. 笛吹き男 3. レテビーチ 4. 球体 5. 新曲(ある日君は) 6. 金曜日 / 集中治療室 7. ニムロッド 8. 旧市街
■ART-SCHOOL
初見。ロック然としていた。演奏格好良かった。一方で、真面目にロックしている様は不器用に映る。後ろに向かって全力疾走しているような。心配になる突き進み方。
有名どころで「左ききのキキ」「MISS WORLD」は知っていて、さすが格好良かった。だけど本編最後の曲がとても気になった。繰り返される《光のほうへ》は祈りにも叫びにも似ていた。多分引きずられてはいけないのに覗き込みたくなる、その感覚を久々に思い出す。曲名は「We're So Beautiful」というのだと教えてもらって鳥肌。
そんな不安定な心持ちにさせる曲や詞に中尾さんの逞しいベースはアンバランスで、逆に似合う。珍しく俯瞰的なギタリストを見たと思った戸高さんは、途中束ねていた髪を解いた途端に主張が強くなって唖然。あの髪ゴム何か封印してたんだろうか。
ARTにはARTの色があるんだって当たり前のことを感じた。それでも、戸高さんのギターは五十嵐みたいだって時々思ったり、犬が吠えるの光とはまた違うとか、五十嵐何してるんだろうとか、散々に勝手なことを考えていた。もう少し距離を置きたい。
木下さんがちょうど誕生日らしく、MCでアピールしていた。祝われたい人なのか。
アンコールで、戸高さんのギターに誘われて会場が歌う。ハッピバースデーディアリッキー、ハッピバースデートゥユー♪
歌い終わったタイミングでピープルの3人登場。波多野さんがケーキ渡してハグした、らしい。なぜか見逃した。気付いたら皆すごい笑顔だった。おめでとう、ほんとハッピーであればいい。光のなかにいられるといい。
October 9, 2012
DIRTY PROJECTORS JAPAN TOUR 2012
@ Shibuya O-EAST
■DUSTIN WONG
初見。ひとりでギターを抱えて、何重にもサンプリング→ループつくって組み立てていく。他の同じタイプの人達と比べて、出来上がる曲のスケールが大きい。居心地の良い家とか小さな城とかを超えて、世界とか宇宙に触れるような曲。10曲弱くらい全てその組み立ての繰り返しである意味パターン化してしまっていたから、俯瞰で見てしまうと40分は長く感じた。けれどひとつひとつアプローチが違っていて、丁寧に聴いていけばとても面白かった。
■DIRTY PROJECTORS
初見。アンコール含め一時間強、新譜の曲中心のセットリスト。新譜はものすごく好きなんだけど、ライブは旧譜の曲の方が迫力あって良かった。何よりBEAUTIFUL MOTHER! 声という楽器の掛け合い、ライブだと凄まじい。複雑な数え切れないほどのピースがだだだだっとすごいスピードで組み上がって完成していくような。うつくしい立体構造物。素晴らしかった。
自由なボーカルが安定したリズム隊とコーラスに乗って生きている。幸福な土壌あっての自由。だけど両者がうまくまとまるのは難しいのかもしれない。Daveが歌わないBEAUTIFUL MOTHERや、AmberのTHE SOCIALITES、全員の熱が入るUSEFUL CHAMBERが良かったから、そんなことを考えた。どこか分離していたような。
Angelがいない?と思ったら、今はOlgaに替わったらしい。基本クールな演奏で、大人びた微笑みがきれいな人。だけど何かの曲(NO INTENTIONだったかな)でゆったりヘドバンする勢いでキーボードにのめり込みだして驚く。ギャップ素敵。
USEFUL CHAMBERはさすが。噛み含めるように歌われる"Bitte orca, orca bitte"、意味を成さない語の連なりは呪文のよう。祈りのよう。あの「解剖台の上のミシンと蝙蝠傘の偶然の出会い」みたいに、意味(笑!)とか越えたところにしかないものを見せてくれる。その辺り通過した上で紡がれているからDaveの詞は好きだ。Bitte orcaの時、そのフレーズを肯定するように照明が明るくなったのもすごく良かった。
アンコール一曲目がDANCE FOR YOUで嬉しい。UNTO CAESARも聴きたかったな。最後IMPREGNABLE QUESTIONは、そう来たか、と割と冷静に受け止めた。"You are always in my mind"、You=オーディエンスだよ!みたいに歌う。安易かなあと思いつつ、1時間ライブ聴いた後だと沁みる。
ライブは不完全燃焼気味だったけど、追っていたいバンド。次の動きが楽しみ。
●セットリスト
01. SWING LO MAGELLAN
02. OFFSPRING ARE BLANK
03. THE SOCIALITES
04. CANNIBAL RESOURCE
05. BEAUTIFUL MOTHER
06. SEE WHAT SHE SEEING
07. NO INTENTION
08. ABOUT TO DIE
09. JUST FROM CHEVRON
10. MAYBE THAT WAS IT
11. GUN HAS NO TRIGGER
12. USEFUL CHAMBER
EN
01. DANCE FOR YOU
02. STILLNESS IS THE MOVE
03. IMPREGNABLE QUESTION