April 29, 2012

Salyu Tour 2012 photogenic
@ 東京国際フォーラム ホールA

 2年ぶり、MAIDEN VOYAGEツアー以来のSalyuワンマン。
 何より、強い歌い手になったと感じた。声の力強さと、声の力を信じて突き進む信念の力強さが合わさって大きなエネルギーを発生させる。その磁場に今夜立ち会った。
 処女航海で進む道を見つけて帰ってきたようでほっとした。リリイ・シュシュに付き纏われていた『landmark』→逃れようともがいていた『TERMINAL』→ターニングポイント「LIBERTY」→区切りを付けた『MERKMAL』→方角を見定めた『MAIDEN VOYAGE』を経ての突き進む『photogenic』。ようやくここまで来た。お帰り。

 オープニング、オリジナル映像。暗闇に降りしきる雨の中、水と戯れるSalyu。ピナ・バウシュ「Vollmond」へのオマージュだろう。身体で自由を叫ぼうとしているような。ピナの身体表現の自由さは、声の身体性を探り続けている(のだと思う)Salyuと通じるところがある。
 「灯台」の一節《今日から新しく生まれて 今日から新しく生きていこうよ》がスクリーンに投影され、歌い上げられてスタート。菜の花畑みたいに明るい黄の衣装に赤いハート型の羽?を背負い、金髪ウィッグ。ポップアイコンになろうとしている、それを引き受けようとしている、ようだった。ツアーのテーマが「元気をあげたい」だそうで、活発には見える。個人的にはどちらも彼女に求めない。
 「パラレルナイト」、武道館の「飛行船」を思い出す照明の気合の入り方。曲も安易に電子音楽に走っただけでなく、Salyuが咀嚼した感があって良い。続く「My Memory」、リリイの一夜復活ライブ以来の披露。リリイで聴きたかった……。あの時と同じオリジナル映像が流れていた。
 アナウンス「ここからは座ってお楽しみ下さい」で衣装替えタイム。音源の「飽和」が流れ、スクリーンにはオリジナル映像。宇宙のような空間に光が集まり球体を成していく様が、音とよく調和している。飽和に新しい命が吹き込まれて嬉しい。リリイ要素はファンサービスなのか何なのか。だからライブに足を運び続けてしまう。
 光の集積は月に成り「月の裏側」へ。Salyuはアイボリーの衣装に身を包み、ウィッグ取って再登場。続く「体温」照明が白眉! 最初音程が何だかずれていてひやひやしたけれど、持ち直してからは良かった。「青空」ライブは音源よりずっと胸に迫る。「新しいYES」半ばで強めの地震があり(千葉でM5.8、最大震度5弱、東京は震度3)、何かのアトラクションみたいに座席全体が揺れた。ライブは何事もなかったかのように続行。UNIT以来に聴く「夜の海 遠い出会いに」、エネルギー量が復活していた。大きな会場に映えてやっぱりいいなあ。
 「皆さんの今日より明日が、明日より明後日が、今年より来年が、より良いものへ変化していくように、という気持ちを込めて歌います」というMCに続いて「VALON-1」。歌ってくれたことに、ありがとう。
 本編終了前、またオープニングに似た映像が流れて「ただいま」の台詞。処女航海からのただいま、なのだろうけどSalyuの声に聞こえなかった。誰だ。
 アンコールの衣装はツアーグッズのシルクプルオーバー(20,000円……)にピンクのショートパンツ、足元は銀色きらっきらのスニーカー。そんな格好で「春を降らせます」からの「HALFWAY」、一番元気をもらったのはこの曲かな。締めは「風に乗る船」、2年前と変わらず驚いた。
 ツアーファイナルだから来るだろうと思っていた小林P、現れず。また2人で舞台に立ってほしい。

 突き進むSalyuはどんどん遠くなり、そろそろ追いきれなくなってきた。それでも、あの声が自分にしっくり来る時のあの喜びが欲しくて追い続けている。salyu×salyuのように巧いプロデューサーとまた出会えると良い。
 MCのうたのおねえさんみたいな台詞っぽさに拍車が掛かっていて笑った。

 Salyu曰く「私のオーケストラ」であるツアーバンド、素晴らしい! キーボード皆川さん、この人の音は小林さんにもSunnyにもないカラフルさがあって楽しい。キタダさんのベースもSalyuライブの大きな楽しみ。「Tower」楽しそうだったな。ひろこさんのマルチっぷり(コーラス、コンガ、ウィンドチャイム)も観て聴いて楽しい。ライブがすごく楽しかったのはバンドに拠るところも大きい。

 また、いつか。

■セットリスト
01. camera
02. LIFE
03. Tower
04. 悲しみを越えていく色
05. magic
06. ブレイクスルー
07. パラレルナイト
08. My Memory
(衣装替え、音源の「飽和」が流れる)
09. 月の裏側
10. 体温
11. 青空
12. 新しいYES
13. 夜の海 遠い出会いに
14. コルテオ ~行列~
15. 旅人
16. VALON-1
17. Lighthouse

EN.
01. HALFWAY
02. to U
03. 風に乗る船

April 1, 2012

People In The Box 『Citizen Soul』 release tour
@ 中野サンプラザ

 ツアーファイナル東京! 何だこの記事の長さ!

 本編最後「汽笛」がひとつの到達点を迎えた。未来へ大きく踏み出していきたくなる音がホールに満ちていくあの感覚は、何なんだろう。音の貴さ、その場にいられる貴さをいっぱいに感じながら、最後のドン!を聞いた。
 大きな拍手の中、近くの人が「ありがとー!!」って叫んでいて何かもう感極まる。解散ライブ以外でそんなの聞いたの初めてだ。ありがとうピープルありがとう。今夜一瞬で過ぎた。それくらい没入していた。
 ツアー序盤はCSの曲が育っていくのに立ち会う感覚だったけれど、今夜は中身がぎゅっと詰まっていて溢れてくるのを分けてもらっているような。波多野さん最初のMCで「すごく充実したツアーでした。その充実ぷりを受け止める準備はできているか?」、アンコール時「(ツアーの)充実っぷりを、皆さん受け止めた訳ですよね?」。受け止めても抱えきれないくらい。何なんだ。一体何なんだ。

 ホールという環境を差し引いても他会場と空気が違う。始まる前から本編の終わりまでずっと、そこら中に緊張感が潜んでいた。ピープルが今夜何かを成し遂げそうな予感とか、未知の終着点を前にした緊張とか。ユーモラスなMCに笑う余裕すらない。(結果波多野さんに「今日はどうも打率が低い」と言わせた上、「僕、この帽子の中は全部ハゲです!!」という力技(しかも横浜でウケたMCの流用)を使わせてしまったのは大変申し訳なかった)

 ファイナルの特別感すごい。加藤隆さんのオリジナル映像がポエトリーリーディング、「旧市街」(PVとは別)、エンドロールに合わせてスクリーンに映し出された。相性の良さを再認。
 ポエトリーリーディングの映像はニムロッドPVに近いタッチ。横たわる人が目覚め、花片を一枚口に入れる。《食べろ、食べろ、食べろ、食べろ》で様々な人が花片を食べ、人の輪郭線がほどけて人ならざるものに変容する姿が描かれる。「花を食べる人」のモチーフ大好きなので驚きつつ嬉しかった。始まりと終わりは #00ff00 くらいの黄緑色を背景にバンド名とツアータイトル入り。加藤さんの作品でこんなブライトな色を見るのは新鮮。映像と現実をうまく切り分けて、かつ橋を架けていた。
 「旧市街」の映像がものすごい。演奏がBGMになるほど。最初は旧市街PVに出てくるブリューゲルのバベルの塔らしいものを背景に、途中から独立して、一本の茎が不穏なもの(某大統領? / キノコ雲 / 原発? / 防護服の人々)を次々吸い上げ(実を付け?)ながらずうっと伸びていく。どうなるんだろう?と思っていたら、最終的にへその緒となり嬰児に結び付いた。呆然。と同時に、『Family Record』と『Citizen Soul』とピープルの意図と現実とが一気にリンクしたような衝撃。いつだって彼らは音で生命を鳴らしているのだと思った。まだ処理しきれていないけれど、今はここまで。
 エンドロールはあかい花。オープニング映像で登場人物達が食べていたものか。BGMはシンプルな電子音? 手探りで見付け出されたような音の連鎖。最後「Music by Hirofumi Hatano」のクレジットがあったので、エンディングもオープニングの音もきっと彼の作だろう。

 セットリスト、納得の布陣。各々の曲の感想を書き始めると途方もないが少し後述。波多野さん曰く「今回のセットリストはピープルなりのハードコア」。何だと……! 思わず噴いたけど、「ニムロッド」に代表されるような反逆ってことなら頷ける。
 ホールはさすが音がクリア。天井の高い大きな空間いっぱいに音が響いて充満していく作りはピープルによく合っていると思う。そのお陰で聞き取れたポエトリー、《バタフライエフェクトを頼りにする心許ないアジテイターでもある》と言っていた(九州のアクセントなのか「ア『ジテイタ』ー」)。多分。
 照明もこの日だけのものばかり。ドラムセットの銀色が光にきらめいてきれい。

 ダイゴマンが語った(*後述)通り、アンコールは一年前を辿るような構成。
 「泥の中の生活」ラストで波多野さんがギター置いて帽子取って舞い始めた時は目が点になった。たっぷり30秒は舞っていた。再びギターを肩にかけてクライマックス、と思いきやエフェクター踏むの遅れたりでぐだぐだ気味。けれども彼なりの自由さの現出だったんだろうな、と思うとアンコールらしくて良い。ダイゴマンのハイハットは相変わらず絶妙。繊細だけど確かな存在感。
 「火曜日 / 空室」轟音パート堪らなく気持ち良かった! 終わった瞬間の沈黙含めて大好き。続いて定番の「完璧な庭」、いきなりエモからポップに。ダイゴマンが手拍子煽るのも最早定番。楽しい楽しい。
 終わりか、と思いきや更にファイナル仕様でもう一曲! 波多野さん「People In The Boxでした」と格好良く決めて大きな拍手受けつつ、イントロギターミスって笑い。やり直して即興アレンジ入れながら、リズム隊とうまくアイコンタクトして「She Hates December」に入っていったのはさすが。アンサンブルの強さを見た。5ヵ月ぶりに、しかもアンコールの締めに聞けて、個人的にすごく嬉しかった。最初にピープルを知って惹かれた曲。

 Wアンコール「ヨーロッパ」。やっぱり激しさがやや取れた替わりに距離が近くなった印象。《やあ、みんなどこからきたんだ?》、以前の懐疑や不安に比べて歓喜が増えているような。ピープルと観客を結び付けるこのフレーズは何度立ち会っても貴重。《目には見えないものをいまにも「この手に」掴もうとしている》少しの変化だけど痺れた。アウトロにぶっ殺されてツアー終幕。
 福井さん、ダイゴマン順に退場していき、最後まで残った波多野さんステージ中央のぎりぎり前まで出てきて「ありがとうございました」って地声で言ってお辞儀。その後マイクでもしっかり同じように伝えて去っていった。

 熊谷、横浜、仙台、名古屋、そして東京、沢山のピープルを観てきて本当に楽しかった。波多野さん「名残惜しいなあ。でもまた沢山ライブやりますので、是非来て下さい」あたたかい。こんなに感慨深いファイナルは初めて。『Citizen Soul』聴き直すととても充実した感覚。
 彼らがこれからどうなっていくのか、そのゴールはインタビューで少し明かされているけれど、どうやってそこへ向かっていくのか、今後が本当に楽しみ。ずっと応援するよ。ありがとう!!

* WアンコールでのMC
ダ「丁度一年前くらいにもここでやったんですよ。去年は地震の影響で」
ハ「あの 忌 々 し い 計画停電のせいで」
ダ「そう、節電するよう言われて、照明とか実は色々気を遣ってたんですよ。で、200人くらい払戻しになったのかな。あの時はこんなに埋まってなかった。だから、あの時来れなかった人が絶対いるはずなんだよ。あの時とスタッフも皆同じで。俺としては今日はリベンジマッチな気がしていて、今日ここでできたことがすごく嬉しいです」
(会場大きな拍手)


■セットリストとメモ(☆=CSの曲=今ツアー固定、★=CS以外の固定曲)
01. 沈黙 ☆
 シンバルの叩き方、鳴り方が格好良過ぎる。バスドラのリズム未だ掴めず。
 《そうさ、世界は美しいのさ》の説得力にのっけから持って行かれる。
02. 笛吹き男 ★
 4/1に聞く《今夜最高の嘘が、ほんとうになる》の力すごい。また特別になった。
03. 市民 ★
 今日の緊張した空気に良く映えていた。赤を基調とした照明がとても良い。
04. 親愛なるニュートン街の ☆
 ひぐらしの代わりにベースが挟むきゅいーん音が好き。(語彙がなくすみません)
 ハンドクラップ楽しい。親愛。最後ドラム手で打って締めてた。親愛!
 「意気揚々」と「生きようよ」の相似。声がきれいに伸びてぞくぞくする。
05. 見えない警察のための
 今夜の緊張感の中では解放されきらなかったのが惜しい。少し浮かぶ感覚は健在。
06. ペーパートリップ ★
 《終わりのはじまりを見たいな》と《はじまりが終わっただけだよ》。どちらも旅に出るけれど随分違って聞こえる。もう少し考える。
07. 技法 ☆
 《殉教者を見下げ果てている》曲だと思っていたけど、違ったんだね。良いMC。「踊る」って波多野さんのキー概念のひとつだなあ。「踊るときには、魂が先行する」という言葉を思い出したりした。
 ハ「今日コンサートみたいですね、私のこの声の響き具合というか。よく踊ったりするでしょう、ロックバンドだと。(※でも今日の客は静か、という含意) だけど皆さんはいつも踊ってるんだと思うんですよ。今日ここまで来るのも徒歩とか電車とか、はたまたセグウェイとか。それはすばらしい踊りなんです。でも、もしかしたら何かに踊らされてるのかもしれないよね。だけどそんなことはどうだっていいじゃないか、その踊りが美しければ。……という曲をやります」
 (会場ずっと静か)
 ハ「そりゃあ目が点になるよね。笑 ふつうの曲をやります」
08. レテビーチ
 周りもゆらゆら揺れていて気持ちいい。ドラムに釘付け。
09. 冷血と作法 ★
 ドラムは地下で燃え滾るマグマ、繰り返されるベースのフレーズは地上の生物、嵐のような間奏の中で炸裂するギターは落雷、をそれぞれ思わせる。圧巻。ツアーの要。
10. ブリキの夜明け
 「静かな曲をやります」からこの曲。徐々に盛り上がっていく感じがとても良い。特にベース熱い! 天井に水面のような照明が映し出されて、会場全体が水の中でたゆたっているような感覚も良かった。
11. ニコラとテスラ ☆
 デマーゴーギー♪と、それが途切れる流れが大好き。造花をかーこんで♪も好き。最後、和解するー世界♪で和解するまで長く溜めるのも好き。途中ドラムスティックでカウント取るのも好き。
 流れでは熊谷の「木曜日 / 寝室」から入るのが一番好きだったな。
12. 月曜日 / 無菌室 ★
 長くアレンジされたイントロ、いつものフレーズに入って音が明るくなるのと同時に照明が真っ白になってはっとした。サンプラザの棒状の照明面白い。天井から降りてくるの初めて見た。
13. はじまりの国 ★
 いっそ踊ろー!! この断定がアンコールへのフラグだったとは。
14. スルツェイ ★
 全部好き。どのパートもメロディーも詞も。奇跡的なバランス。
15. ニムロッド ☆
 やっぱりドラム格好良い。何度でも言おう、ドラム格好良い! ドラム格好良い!!
16. 旧市街 ★
 映像に釘付け。まさにメメントモリ。
17. 汽笛 ☆
 終わってしまうんだなあ、と思うと寂しくなった。でも音はずっと鳴っているから楽しくて仕方なかった。
 ホールに響く3人のコーラスのうつくしさといったら。
 最後のドン!に背中を押された気がした。

EN. 1
01. 泥の中の生活
02. 火曜日 / 空室
03. 完璧な庭
04. She Hates December

EN. 2
ヨーロッパ


■MC備忘
・客がなかなか笑わない
ハ「どうも今日は打率が低い……。僕、この帽子の中は全部ハゲです!!」
(会場爆笑!)
ハ「ウッソー☆ エイプリルフールの責務を果たしました(ドヤァ)」

・ドヤ顔ポーチ紹介
ハ「肘当てとしても使えます」
ダ「肘当てね! ああ、俺まさに昨日こうやって寝てたわ」(実演)
ハ「寝る時は必須だよねー」

・東京の名産品
ダ「ポーチを紹介する時、波多野くんが各地の名産品を言うんですけど。東京は?」
ハ「俺何て言ったっけ?」
ダ「肘当て!」
ハ「そうだ肘当て。笑 だって、東京の名産品って、何かさー。何かさー」
ダ「東京の名産品って何だ?」
客「スカイツリー!」
ハ「スカイツリー?! あんなの 何 っ に も ないよ? ただ高いだけだよ」
ダ「一度登ってみたいって感じで登るんじゃないですかね、ああいうのは。展望台とかあって」
ハ「『わーすごーいたかいねー』」(棒読み)
ダ「こんなこと言っといて一番楽しむタイプなんですよ、こういうのが一番!!」
ハ「(笑)『あ、あれうちじゃない?』」
ダ「ははは! 『あれ健太んちじゃね?』」
ハ「『あっちが新宿だから、えーっとうちはこっちの方でー。あっ高尾山見えた!』」
ダ「ほら、そうやって! 絶対テンション上がるんだよ!!」

・高尾山
ダ「高尾山いいよ! 健太絶対行ったらいい!」
フ「(客に)僕登山すごい好きなんで」
ハ「高尾山いいよね。都心からちょっと行ったところにあんな自然が」
フ「行ったことあるんだよ高尾山。麓まで行って」
ダ「あ、行ったことあるんだ?」
フ「行って、山眺めて、帰ってきた。笑」
ダ「え!? 登んなかったの?」
フ「うん。行って、へー、って」
ダ「眺めて、帰ってきたんだ! はは!」
ハ「僕、朝の5時に高尾山行ったことあります」
ダ「5時!?」
ハ「あのケーブルカー? 登るやつあるでしょう? あれも動いてなくて。店も何もやってなくて」
ダ「そらそうだろなあ」
ハ「で、山見て、帰った。へー、って」
ダ「おんなじじゃん!!!」


■開演前の中野の空


 胸を打たれた空のパノラマ。写真で伝えきれないのがざんねん。「そうさ、世界は美しいのさ」って、思わず信じそうになった。
 ぼうっと見ていたらとびきりうつくしいひと時は撮り逃してしまったけれど、めずらしくしっかりと記憶に焼きついている。

March 23, 2012

the cabs 2nd mini album release tour 「rasen no hotori」
@ 下北沢SHELTER

 霧雨の下北沢、ソールドアウトしておりぎゅうぎゅう詰めのシェルター。音源をひとつも持っていない3バンドのライブ、全て初見。小さなハコのためもあってか、どのバンドもエネルギッシュで音が迫ってくる感覚が強く、良いテンション。だからか共通して若い印象。どう若いのかはそれぞれ少しずつ違っていた。

■dry as dust
 dryでもdustでもなかった、何だろう……young as yacht。適当でしたすみません。ドライというにはエネルギーに溢れていたし、ダストというならスターダスト。Dという音のこもった暗い感じは全然なく、明るい若さを感じた。最後の曲のアウトロが会場をどこかへ引っ張っていくような力強さを放っていて良かった。

■Qomolangma Tomato
 3バンドの中で一番攻撃的でありつつ演奏が安定していて完成度高い。ボーカルが台詞言い続けながら次の曲に移る繋ぎ方の息をつかせない感が良かったり、ベースが面白いフレーズ弾いてたり、とても楽しめた。ボーカルの決壊した堤防みたいに溢れて止まらない怒涛の言葉攻めが若い。
 ボーカルは大人しめの会場に「金払ってこんな地下に集まってさー、楽しまないと意味ねえぞ」みたいに何度も呼び掛けていた。楽しかった、けれど個人的には共感して暴れようとは思えなかった。

■the cabs
 気になっていた彼らをみたくて、今夜足を運んだ。出会って以来耳から離れない「二月の兵隊」が聴けて嬉しかったし、Wアンコールのチャールズ・ブロンソンのために」ものすごく格好良かった! 一曲目終わったところで機材トラブル(弦切れた?)がありつつも、テンション高く駆け抜けていた印象。勢いあって若い。
 勢いがあり過ぎるのか演奏がまとまっていないように聞こえる。まとまりのなさが一周回って「チャールズ・ブロンソンのために」では逆に功を奏したような。凝っていて面白いドラム、YouTubeで聴くとクリアなスネアがとても好きなのだが、ライブではうまく生きていないような。観た位置のせいか。
 きれいに伸びる若い声、秋の始まりのような、繊細で少し影があるのも心地良い。もっと大きな会場でも大丈夫。個人的に好き嫌いがはっきり分かれる絶叫、キャブスのは好きだ。きれいな曲に割り込んでくる暴力性堪らない。
 ライブが終わってからずっと「二月の兵隊」の絶叫が頭の中に住み着いている。詞も気になるのでアルバムを買ってみることにした(同じ残響歌もののピープルの詞が日常から少し遊離しているのとはまた違って、キャブスは想像上の別世界を描いている印象)。時間を開けてまた観に行きたい。

●セットリスト(twitterより拝借)
1. skor 2. 二月の兵隊 3. カッコーの巣の上で 4. アンシェルス 5. 僕たちに明日はない 6. 解毒される樹海 7. camn aven 8. 第八病棟 9. キェルツェの螺旋 EN. 1. すべて叫んだ 2. チャールズ・ブロンソンのために


March 20, 2012

People In The Box 『Citizen Soul』 release tour
@ 名古屋CLUB QUATTRO

 熊谷、横浜、仙台に続き、ツアー4公演目。直前でこの日の予定が飛び、仙台の心配な後味から抜け切れておらず。突発的にチケットと交通手段確保。
 今夜ものすごく良かった。心配なんてすぐ吹き飛んで思いきり楽しめた。3人の状態がとても良く、音響良く、舞台見やすく、客のテンション高く、MC面白く、諸々の条件きれいに揃い踏み。波多野さん最後のMCで「ありがとうございました。すごく楽しかったです」と言ったり、ダイゴマンもツイートしたり、本人達も楽しそう。いやあ本当に楽しかった!!

 ポエトリーリーディング、何度耳を澄ませても聞き取れない箇所があってもどかしい。《魂というのはユビキタスの別名であり バタフライエフェクトを頼りにする心許ないXXXXXXである》何だろう?
 《そして君は発見するかもしれない》というのはとても優しい。する/しないどちらの可能性もあり、それは君次第だよ、ということ。続くフレーズ《食べろ、食べろ、食べろ、食べろ》は明らかに発見へ導こうとしているけれど、肝心の「何を」発見するのかは示されない。汽笛《あげるよ 帰りの切符を でも、きみはひとりでいきなさい》と同じく、ひとりで行く、生きる、逝く、ことができるように突き放す。こんな優しさを与えてくれる人は多くない。とても貴重。

 セットリスト、本編は仙台と一曲交代、「ユリイカ」→「昏睡クラブ」。この「昏睡クラブ」が半端なく格好良かった! ベースのみのイントロにギターとドラムスが合流していく。3人とも攻撃的でテンション高く、CDとは違った印象。特にガリガリゴリゴリしたベースが効いていた。サビが波多野+福井ダブルで歌われて強力に(これ新しいと思った、ありだ!)。赤い照明が似合う。「昏睡クラブ」はアコースティックだとやわらかいブランケットのようで心地良いし、今回の破壊衝動ぶちまけるのと眠り続ける君を見守るのとが交互に来て振り回されるのもおかしくなりそうで良い。前者は昏睡(させる)クラブ、後者は昏睡(させない)クラブみたいな二面性面白い。
 波多野さん「僕の好きな曲をやります」という紹介で「どこでもないところ」。どこでもない=ゼロ地点の曲はこのツアーによく似合う。けれども音源のフェードアウトするアウトロに慣れているので、3人のジャーン!で断ち切られるとあれ?ってなる。?のまま「ニコラとテスラ」に入る感じは好き。
 このツアー初めてダイゴマンのドラミングが見えた……! しなやかさは変わらず、力強さが増した印象。理想的。仙台で話していた、去年病気してから煙草止めて6kg増えた、ことが影響しているのか。見た目変わりないが。「沈黙」のシンバルの鳴らし方格好良い、とか言い出したらきりがないな。
 大きな会場だと照明に凝れるのか、「月曜日 / 無菌室」「汽笛」でミラーボールが点いていたり(使い方多様だなあ)、「旧市街」最後のサビ前のギタージャーン!で真っ赤になるのも復活。
 アンコールは「マルタ」→「日曜日 / 浴室」→「鍵盤のない、」。仙台では静かだった「マルタ」、今夜はいつも通り水圧で息苦しくなる感じがした。続いて仙台の「天使の胃袋」が「日曜日 / 浴室」に。これも最後に救われる曲で、「マルタ」から水繋がりなのも好き。海の匂いのする「鍵盤のない、」アウトロの最後の最後、終わるのが惜しいみたいに何度も確かめるように音を鳴らして、鳴らしきって終演。
 ギター置いた波多野さん、本編最後もそうだったように、大きな拍手に両腕広げて応えてお辞儀していた。ショウを終えた奇術師にも、拍手に感謝する演奏家にも、共鳴したことが嬉しいひとりの人間にも見える。感無量、にはまだ早い。ファイナルの中野が本当に楽しみだ。


■セットリスト
01. 沈黙
02. 笛吹き男
03. 市民
04. 親愛なるニュートン街の
05. 昏睡クラブ
06. ペーパートリップ
07. 技法
08. 犬猫芝居
09. 冷血と作法
10. どこでもないところ
11. ニコラとテスラ
12. 月曜日 / 無菌室
13. はじまりの国
14. スルツェイ
15. ニムロッド
16. 旧市街
17. 汽笛

EN.
01. マルタ
02. 日曜日 / 浴室
03. 鍵盤のない、


■MC備忘
・春分の日
ハ「今日は何の日? そうそう、春分の日だ。(ちょっとチューニング)
  春分の日を私達のために割いていただき、ありがとうございます」

・ポーチ紹介 ※やっぱり全部ドヤ顔
ダ「これ! 知ってるかなー? ポーチ!と言います! 使い方は色々あってですね、
  僕はドラムスティック入れたりね。このバスドラも入りますね。
  波多野くんは味噌カツ、とか入れますか?」
ハ「味噌煮込みうどん」
ダ「味噌煮込みうどん(笑)。あのうまいやつでしょ」
ハ「ポーチに入れると美味しくなる」
ダ「味噌煮込みうどん、このポーチに入れていただくと3倍美味しくなりますんでよろしくお願いしますね!」

・ホワイトハウス
ダ「住んでたんでしょ? 名古屋」
フ「うん。住んでたところの名前がね、ホワイトハウス」
ダ「ホワイトハウス!? オバマ! オバマー!」
フ(右腕上げて応える)(客爆笑)
ダ「やっぱオートロックなの?」
フ「いや、じゃなかった」
ダ「ガード緩いんだ。狙い放題なんだ!」
ハ「その名前決め手でしょ、そこにしたの」
フ「うん。笑」

・告知
(アンコール前、この日の来場者限定でとある告知がなされる)
ダ「twitterとかに書かないでくださいね!」
ハ「皆さんのことスナイパーが狙ってますので。こうやって(ライフル構える振り)。
  ちょっとでも書こうもんなら、もう画面パリーンですよ」
フ「そしたらホワイトハウスに来ればいいよ」
(客爆笑、拍手)
ハ「あの今日は本当に、どうもありがとうございます」
→からの「マルタ」、ギャップすごい

March 15, 2012

People In The Box 『Citizen Soul』 release tour
@ 仙台CLUB JUNK BOX

 熊谷、横浜から3週間空いて仙台。
 ライブは生き物なのだと思った。奏者の状態がダイレクトに音に出る。生き物だから強いところも弱いところもあって、今夜は後者が目立っていた。その分前者も際立って感じられはした。弱さから立ち直ろうとする様が今夜の見所、魅力と映る。何度も聴いているからその感じも楽しめたけれど、初見の人がいたら、あんなもんじゃない、って言いたい。
 後方で観ていて、全体的に音圧低く感じられたせいかもしれない。アンコール前ボーカルの音調整していたし、やっぱり音響的なものか。特に前半、体調良くないんだろうかって心配になるほど声とギターの気迫が感じられなかった。ドラムスも時折同調してしまったようによろけたり音抜けたり。そんな中、ベースの安定感にほっとする。演奏がよろめいても早く立ち直れるのは福井さんあってこそだった。
 珍しくちょっと辛口。だけど、それに負けないくらい良いところも沢山沢山あった。

 ポエトリーリーディング、だいぶ馴染みのフレーズが増えた。
 《氷河期はまだだ》という一節から、生物学《氷河期は始まったばかりだ》、沈黙《氷河期だ 踏みしめて歩け》が想起される。『Citizen Soul』よりも前の世界、引いては人間社会が成立する前の状態を描こうとしているのか。と思いきや《スーパーマーケットはひとつのフラクタル構造を描いている》《今 僕達の体はぶるぶると震えている 3万年前の地球のように》というフレーズもあるので、昔に戻ろうってことではなくて、本来性を現在に取り戻そうとしているような。ラストの汽笛《それで全ては元通りさ》にもそんな志向がみられる。
 とか考えている。個人の感想です!

 セットリスト、本編は横浜から二曲交代。「見えない警察のための」が「ユリイカ」に、「ブリキの夜明け」が「どこでもないところ」に。
 あちこちでイントロのギターの遊びが面白い。「どこでもないところ」冒頭に「天使の胃袋」みたいな高周波な音を弱めに長く差し込んでいたり。音を楽しんでる感じが伝わってくるようで、すごくテンション上がる!
 「技法」《「わたしもだまされているのかしら」》でベースがうねうねするの堪らない。新譜のベースは全部良くて、好きなフレーズを挙げるときりがない。奏者が変わったことを差し引いても、ピープルで一番変化しているのはベースだと思う。
 「汽笛」順調に進化していて嬉しい。聴く度にエネルギーが増えている。ここに来て波多野さんの声が力強く迫ってきた。「透明感のある少年声」と言われる声で、それもすごく好きだけど、この曲には力強さが似合う。
 アンコールはまたがらりと変わって「マルタ」→「天使の胃袋」→「鍵盤のない、」。津波を連想させる「マルタ」を仙台で演奏することに驚いた。音圧が本編より更に下がって大人しく、丁寧に、撫でるように聞こえたのは意図的なものだろうか。色々考えている内に「天使の胃袋」が始まって、そういうことか、と鳥肌。《もうすぐトンネルを抜けるよ 光り溢れ》で「マルタ」の回収を試みたと読む。その流れで聞いた「鍵盤のない、」の救済感すごい。歌詞は死の匂いが濃いのに、このまま生きていていいんだな、とか思う。アウトロの切実さにぶっ殺されて終わった。


■セットリスト
01. 沈黙
02. 笛吹き男
03. 市民
04. 親愛なるニュートン街の
05. ユリイカ
06. ペーパートリップ
07. 技法
08. 犬猫芝居
09. 冷血と作法
10. どこでもないところ
11. ニコラとテスラ
12. 月曜日 / 無菌室
13. はじまりの国
14. スルツェイ
15. ニムロッド
16. 旧市街
17. 汽笛

EN.
01. マルタ
02. 天使の胃袋
03. 鍵盤のない、


■グッズ紹介MC ※全部ドヤ顔
ダ「この商品名、皆さん初めて聞くかもしれません。ポーチ、と言います!(会場笑)
  僕はドラムスティックを入れて使ってます。波多野くん、MacBook入れたりね」
ハ「牛タンが入ります」
ダ「牛タン!笑」
ハ「伊達政宗も愛用していたという」
ダ「掘り出し物だな!」

March 3, 2012

ent "Entish TOUR" @ 代官山UNIT

 超満員のUNIT。開演ぎりぎりに入ったらステージほとんど見えず。生音を楽しみながらモニター観たり、時々舞台に目をやったり。
 何より、照明と映像のビジュアルエフェクトが素晴らしかった。個人的にはこれまで観たライブで一番。照明がすごい凝りようで、一曲一曲、フレーズ、音毎に丁寧に考えられていた。映像はストライプ模様が下から上へ動き続けたり、空と雲をイメージしたような抽象的な形が流れていったり、シンプルかつセンス良い。
 ソロプロジェクトent、どういう構成でライブするのかと思ったら、こんな。
 ギター&ボーカル:ent、ギター:大山純、ドラムス&マニピュレーター:菅井正剛(、映像:小嶋貴之)
 音とても良かった。打ち込みや既成の音が多く使われつつ、そこに乗る生きたギターと声は時に温かく時にエモーショナル。違和感ないバランスはさすがレコーディングエンジニア菅井さんの技か。そこにあの照明と映像! ビジュアルはサウンドを引き立て、サウンドはビジュアルを引き立てていた。完璧。完璧である。後はステージが見えれば、言うことは、ない……。

 『Entish』を基調に、『Welcome Stranger』からも沢山聴けて嬉しい。基本はentの穏やかかつ冷静なあの音源の空気そのままなんだけど、それらが立体的に広がる快感といったらない。脳に直接作用してくる音達。
 Do Not Adjust Your Set飛び抜けてエモくなっていた。ライブ映えすごい。
 「言葉で何かを伝えることはとても難しい。人によって言葉の指す意味が違うし。なんてことを思っちゃいます。笑 けど、それでもありがとうとか、好きだよとか、言葉で伝えるってことは必要なんじゃないかなあと思って。それを日本語で詞にした曲をやります」という、ソシュールもウィトゲンシュタインもとりあえずどうでもいい、みたいなMCの後にLens。きっとやってくれると思っていたし、聴きたかった曲。音源よりもっとやさしく、ずっと力強く鳴っていた。ありがとうありがとう好きです。
 アンコールにサプライズゲスト、野田洋次郎。音源Lensのドラムスは彼だという(クレジットには Drums"Lens" by DARMAN とある)。ツアーには間に合わなかったので、とent、OJ、DARMANのセッションが5分ほど。ちょっと不器用な、けれども同じ場所を目指していくような、温かい音だった。
 DARMAN退場、菅井さんが戻って最後の曲、Sleeping Ghost! 最後に来るとは。《We'll fly again / Stars all remain》(と聞こえる)の繰り返し気持ち良い。ふわあっと軽くゴーストになっていく。半分夢のように終演。そして熱が上がり直帰して爆睡。

 また何度でも観たい、ずっと包まれていたい空間だった。次はゆったり聴きたいけど、あの映像と照明がありつつ余裕あるハコってどこだ。ううん。や、でも、同じハコでもステージ見えなくてもきっと行くだろう。それくらい心地良い夜でした。


■セットリスト
(入場SE: No Tone)
01. 9646
02. Farewell Dear Stranger
03. pure river
04. Zoe
05. Water Screen
06. Do Not Adjust Your Set
07. Frozen Flowers
08. Airwalker
09. Dragon Fruit
10. Silver Moment
11. Lens
12. At The End Of The Blue Sky

EN.
01. セッション w/野田洋次郎
02. Sleeping Ghost

February 22, 2012

People In The Box 『Citizen Soul』 release tour
@ club Lizard YOKOHAMA

 熊谷に続き、観てきた。やっぱり今のピープル凄い。あるいは今のピープルへの自分の感応ぶりが半端ない。あの音と血が繋がっているんじゃないかって錯覚さえ覚える。「新しい病気」※は難治。
 ※2012/1/25 J-WAVE USTでの福井氏の発言

 ポエトリーリーディング、始まりは《朝が来て、君は目覚めた / そして長い欠伸をする》、結びは《どなた様も、今という瞬間を、どうか取り損ねませんように》でした。多分。あと《レディースエンジェントルメン、『Citizen Soul』release tourへようこそ》ってツアータイトルも組み込んでいた。
 主音はギター。弾き語りで使用しているものと同じ? 不穏な音の連鎖に弾き語り「JFK空港」の語り部分が想起される。波多野さんが全て、あるいは大部分、ひとりでつくっているように思える。詩が先、音が後か。
 《食べろ、食べろ、食べろ、食べろ》
 脅迫的で、呪いのようで、ポップで元気の出る、倒錯的なフレーズに目眩。

 セットリストは熊谷とほぼ同じ。「技法」→「冷血と作法」の間に「犬猫芝居」が加わり(2/22猫の日ゆえか)、「木曜日 / 寝室」が抜けた。
 アンコールはがらりと入れ替え。「日曜日 / 浴室」朝ふっと聴きたいと思ったから嬉しかった。我儘を言えば、順番「ベルリン」→「日曜日 / 浴室」→「バースデイ」だったらもっと痺れたと思う(《わたしのいのちを、君にあげる》→《今日は君のバースデイ》の流れを成した2010年野音は神)。
 演奏良かったけれど、彼らのベストアクトではない。ギター二度入りミス→やり直しを筆頭に、波多野さんに限らず、聴いていて「あれ?」となる箇所がこれまでより、熊谷よりも多かった。ツアー序盤だからか、ワンマンだからか。聴き過ぎて評価が厳しくなっているのか。対バンの緊張感があれば、きっと凄まじいライブになる。

 「見えない警察のための」曲も詞もライブでリアルに迫ってくる感覚も、全て好き。《少し浮かぶ》で本当にふっと体が軽くなるのはいつも不思議。ふわっとしたまま激しい音の渦に飲まれ、言葉で自由と束縛のがんじがらめにされるのは堪らなく気持ち良い。おそろしい曲。
 本編の折り返しに位置する「冷血と作法」がやはり肝。緊迫感すごい。3.11を受けてつくったと言われても納得しそう。抗えない大きな塊と相対したような。最後「飛ーぶっ!」って「ぶ」にかけて音程上がる歌い方好き。
 「月曜日 / 無菌室」個人的に詞の一節がつらくてどうしても苦手なのだが、ドラムスの安心感に気付いてようやく救われた。なぜダイゴマンの音ってあんなに血が通っているんだろう。無菌室に残された僅かな、確かな希望のよう。
 「汽笛」アウトロが良過ぎる。波多野さん早々にスキャット切り上げ、メンバーと向き合って演奏。3人の音に乗って汽車が進んでいく、そのこと自体が貴い。その先にうつくしい未来が広がっているような気がしてくる。圧倒的な肯定に共感してしまいそうになる。もっともっと育ちそうな曲。音源だとベースラインがすごく好きなのだけど、聴いた位置のせいかギターとドラムに埋もれ気味だった。
 この日の本編締めはダイゴマン「ありがとう!」。お礼を言うのはこちらである。生へのリアルな感応に涙が抑えられなかった。ありがとう!!


■セットリスト
01. 沈黙
02. 笛吹き男
03. 市民
04. 親愛なるニュートン街の
05. 見えない警察のための
06. ペーパートリップ
07. 技法
08. 犬猫芝居
09. 冷血と作法
10. ブリキの夜明け
11. ニコラとテスラ
12. 月曜日 / 無菌室
13. はじまりの国
14. スルツェイ
15. ニムロッド
16. 旧市街
17. 汽笛

EN.
01. 日曜日 / 浴室
02. ベルリン
03. バースデイ


■MC備忘
・横浜
は「横浜っていつぶりだっけ? つまり、最後にしゅうまい弁当食べたのはいつだっけ?」(会場笑)
客「Ghost Apple!」「unkie!」 ※GAツアーで対バンしたらしい
は「ゴォストアップルゥ!? うそぉ?」
だ「いや、そうですね。(会場笑) unkieとやったのが最後。ワンマンは初だよね」

・遠く
だ「今日一番遠くから来たって自信ある人ー! 手上げて?」
(誰も上げない)
だ「じゃあ、北海道! 沖縄!」
(誰も上げない)
だ「うん、今日こんな感じね!」(会場笑)
は「もっと遠い、架空の国から来た人とか、いるかもしれない」
だ「じゃあ、ちょっとその国に名前付けて」
は「えー、……しゅうまいランド」(客失笑)
は「今のね、35点だな。100点満点中35点。はは(笑)」

・乱視
(ダイゴマン乱視がきついという話の後)
だ「乱視に似合う曲やります」→「ブリキの夜明け」

・入りミス
(アンコール一曲目、ギター出だしぐだぐだで本日二度目の中断)
は「あーごめんごめんごめん、」
(客笑ってブーイングしたり拍手したり盛り上がる)
は「るっせえ! 何が悪い! やり直して何が悪い!!」

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Maira Gall