前回の名古屋から5日後、再びの劇場編。自分に戸惑うくらい名古屋とは全然違う見方をした。二度目かつ席が遠くなったからか。すごく楽しかったけれど、どこか一歩引いて眺めていた。観る位置は重要なんだと今更。
セットリストは名古屋と全く同じ。いつもちょこちょこ変えてくるピープルにしては珍しい。確かにすごく良いセトリ。
照明の配置のせいか、舞台背景や舞台脇に映るメンバーのシルエットが格好良い。後方でも充分見やすく、音も良い。何よりシェイクスピアと繋がりのある場で聴けて、個人的にテンション上がる! 16世紀に英国民が集ったように、21世紀の今ピープルを観に集う。26世紀にも同じように人は集うはずだ。余談。
アコースティックパート、テンポゆっくりな演奏、特に「技法」が難易度高そう。ひとつひとつの音の解像度が高くないと、引き伸ばされた時に耐えられない。だからこの曲名なのか。客としてはじっくり味わえてとても面白い。
カバーは、二部のもそうで、慣れが出てくると面白さが薄れてしまう。けれども福井さんのマルチさと輝きっぷりは今夜も素晴らしかった。「Virtual Insanity」の格好良さったらない! そして波多野さんが危機感をストレートに - it's a crazy world we're living in - ぶつけるのは英詞だからか。1996年の発表から10年以上経って一層危機感が強くなってしまった今、この曲を再発見したセンスに震える。
「汽笛」名古屋よりは落ち着いて聴けた。本当に汽車が進んでいくようなエレクトリックに対して、アコースティックは人が手と手を取り合って踊ったり、歩いたりしながら進むイメージ。3拍子パートのワルツみたいな軽快さが最後に戻ってくるところで、ちょっと置いていかれそうになりつつ、また踊り出すような。解き放ってくれるアレンジ。体が軽くなった感覚。ありがとう。
韓国へ行ったダイゴマン、ファンにお土産くれるサプライズ素敵だ(書かなかったけれど名古屋でもあった)。場内の一名様の座席に仕掛けてあることがライブ終盤明かされ、各々探ってみるという趣向。今回はなかなか見つからず、終演後に皆で探したね。席近かったから一緒にごそごそしてた。無事見つかると、会場全体から拍手!!
ピープルのお客さんあたたかいなあと思う。なんであんなにあたたかい人達がピープルを聴いているのか、とつらつら考えて、ピープルがあたたかいからだ、と単純な答えが出た。そこを共有しているから皆集ったんだ。きっと。
二部、「し」みん→「し」んしがい→「し」んあいなるニュートン街の、の連なりで幕開け。
名古屋では新曲2、今日は新曲1が好きだった。そんなこともある。新曲1《球体に護られて 体は痣だらけ》《声を返せ》《僕らは誰も殺せはしない》《空を返せ》。奪われたものを取り戻そうとする強い叫び、CSの基調を継いで進んでいる。出だしがかなり格好良い。福井さんがダイゴマンの方に身を乗り出して2人でタイミング図り、爆発的なスタート。曲も前はあまりぴんと来なかったのが、今日はするする入ってきてメロディー覚えた。これと新曲2が入る次のアルバム、一体どうなってしまうんだろう? 間違いなくまた好きになる。
新曲2の哲学者は《とても厳しかった》人で、歌い手は《許してもらえなかった》らしい。後半《ついていい嘘なんてあるはずない》と聴こえて、今日はこのフレーズがぐるぐるしている。そんなことないよVSそうだろうか。
「金曜日 / 集中治療室」も前よりは落ち着いて聴いて、でも楽しくて仕方ない。《翌朝~消えていくよ》でテンポがぐっと落ちた後、走り出すようなスネアに導かれて戻っていく緩急好きだ。曲の深み。
ラスト「沈黙」。名古屋で受けたものすごい衝撃は和らいでしまった。代わりに噛み含めるように聴こうとしたけれど、やっぱり名古屋ほどは打たれなかった。帰結が判っているから予定調和みたいに感じてしまったのだと思う。二度目は難しい。
冒頭、ダイゴマンのアレンジは初? 名古屋ではあんな粋な音に気付かなかったんだろうか。波多野さんのギターリフのあちこちに、多分即興で、色んな音を散らす。特に印象的なのがフロアタム。張り詰めた氷の下、地中深くのマグマのような熱に、CSツアー「冷血と作法」を思い出す。怒りだと感じた。数倍の緊迫感でスタートしたからいつも以上に引き込まれ、アウトロの音のまとまりにほっとして力が抜けた。
明日はどうなるんだろう。大体雰囲気も曲も判っているのに、どんな受け止め方をするか予想できない。劇場編ツアーファイナル、こわさ半分で楽しみにしている。
■セットリスト
◆一部:アコースティック
01. 笛吹き男
02. 技法
03. 火曜日 / 空室
04. はじまりの国
05. 木曜日 / 寝室
06. El Condor Pasa(Simon&Garfunkelカバー)
07. Virtual Insanity(Jamiroquaiカバー)
08. 土曜日 / 待合室
09. 天使の胃袋
10. 汽笛
◆転換ムービー:ダイゴマンが行く! ~韓国編~
◆二部:エレクトリック
11. 市民
12. 親愛なるニュートン街の
13. 新市街
14. The King of Rock 'N' Roll(Prefab Sproutカバー)
15. 見えない警察のための
16. 新曲1 球体
17. 新曲2 哲学者、ダンスダンスダンス
18. 金曜日 / 集中治療室
19. ニムロッド
20. 旧市街
21. 沈黙
■MC備忘
・B'z
ダ「ギターどれくらいやってるの?」
フ「僕、ギターから始めました」
ダ「ああー! ベーシスト多いよね!」
フ「B'zとか弾いてた。Pleasure/Treasureとか」
ハ「えっ? 全然知らんかった」
ダ「ああ、あの金と銀のやつね! (客に)皆知ってる? えっ知らない? 波多野ちゃん知ってる?」
ハ「B'zを?」(会場笑)
ダ「いやいや、B'zのPleasure/Treasure、金銀のやつ」
ハ「あー、そういうのが、あるのね(笑)。でも僕、B'zは結構知ってますよ。有名なのは結構。B'zで古今東西とかやったら絶対楽しい!」
フ「やったことある」
ダ「まじで?! 何やった? 俺全く覚えてない」
フ「一番上手かったのはね、波多野ちゃん」
ハ「(笑)」
ダ「この話これ以上やめよう! 誰かがやらなきゃいけない流れになる(笑)」
・麻薬
(ダイゴマン英国で薬を売りつけられそうになった話から)
ダ「初海外でマリファナだぜ? ぞっとしたね!」
ハ「あっちじゃ煙草感覚らしいよ」
ダ「って言うよね」
ハ「でも、そういうの要る?って思うよね」
ダ「?」
ハ「脳内麻薬でさ、こう、うわあああ~ってさ。なろうと思えばなれるじゃん、俺達」
ダ「はい!?」(会場笑)
ダ「(客に)あのー、110番はしないでくださいね」(会場笑)
August 17, 2012
People In The Box 空から降ってくる vol.4 ~劇場編~
@ 東京グローブ座 1日目
August 12, 2012
People In The Box 空から降ってくる vol.4 ~劇場編~
@ セントレアホール
成田から空路、セントレアへ! 昨年に続いての劇場編。
会場は、MCでも話題になったように、普段は講演や説明会をしていそうな事務的なホール。そこにピープル。さすがに照明は制限されたようだけど(水中みたいな青色、使えなかったんだろうか)音は良かった。良席だったこともある。
良席で、更に舞台と距離が近いこと、あとセットリストが多分に影響したと思う。今までで一番効くライブだった。「生」を強く強く感じた。だから、どちらかといえばしにたくなった。その意味で、いつか波多野さんがライブを毒だと自称していたことに初めて頷けた。
詞に肯定が多いことに今更気付く。生の肯定と言い換えていい。今日の曲から拾ってみると《いいんだよ》《光り溢れ》《世界は美しい》《大丈夫さ》《いいよ》とか。ひとつひとつが効いた。ピープルはいつだって生を鳴らしているんだと思った。その希望を見守っているつもりで、でもずっと支えられてきたんだった。本当に今更だ。
というのはCSツアーでもぼんやり考えていて、今日ピントが合った。
好きでいるうちは好きなだけ好きでいようと思う。
昨年と同じ二部構成。一部アコースティック、転換でダイゴマンムービーを挟み、二部はエレクトリック。ゆるいトークとカバー曲、そして新曲! 構成要素は昨年と似ている。だけど驚くくらい前に進んだ。夏の気配がいっぱいに詰まったCSの曲を多く聴けて嬉しい。まだまだアルバムの世界が広がっていくのは本当に楽しい。
一部は座ってじっくり聴くスタイル。冒頭「笛吹き男」で呑まれる。《今夜、最高の嘘が本当になる》に、やれるものならやってみせろ!と一応抗ってみるが、いつもピープルの勝率100%なのは解ってる。抗いはたちまち消えて、楽しさに転化。
ずっと傍らで出番を窺っていたバンジョーに波多野さん何気なく持ち替えて「木曜日 / 寝室」、合い過ぎ。そのままSimon&Garfunkelのカバーで「コンドルは飛んでいく」! 福井さんタンバリン、ダイゴマンボンゴ+カズー?みたいな笛。曲調や楽器や国が変わっても、アンサンブルは完全にピープルなのが嬉しい。更にカバーで、いつもの楽器に戻ってJamiroquai「Virtual Insanity」、めちゃめちゃ格好良い! それぞれの音が渦のようにまとまって、舞台が客を巻き込む磁場みたいになっていた。ピープルでこんな風に感じたのは昨年の「1000 Knives」以来かも。カバーいいね。なんて柔軟な人達。そして「天使の胃袋」から、何と「汽笛」! 嬉し過ぎてあまり覚えていないパターン。アコースティックだと詞が余計に沁みる。
転換でダイゴマンムービーまさかの韓国編、羽田から仁川へ。「ダイゴマンが行く!」というより「ダイゴマンが行かされる!」なノリが程良くクレイジー。昨年に続いての寝起きドッキリもあるよ☆ ずっと笑ってたらいつの間にか転換終わってた。
二部はエレクトリックでスタンディング。「市民」始まりでがらっと空気が切り替わる。波多野さん「僕のエゴをやります」からのPrefab Sproutカバー「The King of Rock 'N' Roll」が印象的。何がって福井ベースの格好良さ! 今夜、特にカバー3曲の福井さんの輝きっぷりったらなかった。バランスを取るのがすごく上手なんだろうと思う。「アールバーカーキ♪」で締めた波多野さん、楽しさが溢れたみたいに笑ってた。音楽って本当にすごい。
新曲2曲! その1は「市民」に近い攻撃的な印象。その2がすごく好きだった。引っ掛かる音が沢山あるのに一聴ですっと入ってくる、ピープルらしい曲。詞の冒頭で《哲学者》が出てきてはっとする。哲学者は嘘を許さないから、みたいなフレーズがずっと頭の中をぐるぐるしている。ガムテープでぐるぐる巻きになったり、銃殺刑になったりする君、最近はいかがお過ごしだろうか。ダンス! ダンス! ダンス!ってキー概念が叫ばれていたのも印象深い。《いっそ踊ろうかな》のレベルじゃなくなっている。安直に春樹を連想した。
そして久々の「金曜日 / 集中治療室」! この辺りも楽し過ぎて覚えていないくらい。手拍子楽しかった! ダイゴマンのホイッスルでテンション振り切れる。「ニムロッド」→「旧市街」は最早定番。「旧市街」アウトロの最後で福井さんのストラップ切れるトラブル、初めて見たびっくり。こんなところで定番を覆すか。本人はどうしよ!って風に笑ってスタッフに合図を送りつつそのまま、ベース替えて最後の曲へ。
予想外の「沈黙」。始まって「沈黙」だと解り、その重みがずんとのしかかって、衝撃で半分放心しながら聴いていた。生きろ、生きろ、生きろ、と叫んでいる曲だと気付いたら泣きたくなった。不意打ちだった。CSツアーで終わりじゃなかったんだね。
タイトルがすごく好きです。沈黙。一番好きかもしれない。
バスドラのリズムがようやく解った。単純なパターンの繰り返しで、ずっと解らなかったのが今となっては謎。油断すると泣きそうなので、気を紛らすようにバスドラを追っていた。けれどどの音も生命を鳴らしているから同じことだった。逃げ場がない。
そういえばダイゴマンのセットびっくりした。シンバル小さいの含めて10枚くらいあった気がする。要所要所で気を引く父性的な音と、しなやかで繊細な母性寄りの音と、併せ持つアンドロジナスさが、あれほど生命を感じさせるのかもしれない。
世界との絆を断たずに、わたしたちのうちに自由を生み出すことができる方法を理解するのは、わたしたちのつとめである。
(モーリス・メルロ=ポンティ『意味と無意味』所収「セザンヌの疑い」より)
ピープルは一体どこまでいくんだろう。
最後の方でいつもの挨拶「今日は来てくれてありがとうございます」に大きな拍手を受けた後、ほとんどオフマイクで「ほんとうに、ありがとう」と呟いた波多野さんの柔らかい声音が忘れられない。こちらこそ、ほんとうに、ほんとうにありがとう。もう少し考えてみることにするよ。
■セットリスト
◆一部:アコースティック
01. 笛吹き男
02. 技法
03. 火曜日 / 空室
04. はじまりの国
05. 木曜日 / 寝室
06. El Condor Pasa(Simon&Garfunkelカバー)
07. Virtual Insanity(Jamiroquaiカバー)
08. 土曜日 / 待合室
09. 天使の胃袋
10. 汽笛
◆転換ムービー:ダイゴマンが行く! ~韓国編~
◆二部:エレクトリック
11. 市民
12. 親愛なるニュートン街の
13. 新市街
14. The King of Rock 'N' Roll(Prefab Sproutカバー)
15. 見えない警察のための
16. 新曲1 球体
17. 新曲2 哲学者、ダンスダンスダンス
18. 金曜日 / 集中治療室
19. ニムロッド
20. 旧市街
21. 沈黙
■MC備忘
・Jamiroquai
ダ「(客に)えっ、Jamiroquai知らない? カップラーメンのCMとか」
ハ「あれは、ファンの間では賛否両論だったよね」
ダ「へー、そうなんだ?」
ハ「僕は複雑でしたねー。……美味しいけどねー」
ダ「カップラーメンね(笑)」
・演奏歴
(「火曜日 / 空室」後)
ダ「ギター上手いね!」
フ「いやいや」
ダ「いつからやってんの?」
フ「……?」
ダ「(客に)2歳だそうですよ! 2歳からギター持ってる」(会場笑)
フ「もっと上手い上手い(笑)」
ダ「ああ、2歳からやってたらね。もっと上手い(笑)。波多野ちゃんは? いつからギター始めたの?」
ハ「僕、弾いたことありません」
ダ「? あ、初心者の気持ちってこと?」
ハ「いや、ギターを持ったことがありません」(会場笑)
ダ「こうやってね、会話が成り立たない(笑)」
ハ「日常風景だね(笑)。大吾は? いつからドラムやってんの?」
ダ「ドラム叩いたことない!」(会場笑)
August 11, 2012
ハイスイノナサ @ SHIBUYA O-nest
初ワンマンソールドアウトおめでとう! 特に最後の方、すごい盛り上がり! 前よりもずっとエネルギーの大きなライブ。終演後「やばい」「すごい」「やばい」って声があちこちから聴こえてきた。まだまだ行けそう。
単純に人数が多くて(4人+ヘルプ1人+ゲスト)迫力あるのは勿論、勢いのある演奏だった。行けるところまで行ってやる!みたいな若さ。新譜割とミニマルな響き方をしているのに対して、ライブはロック感が強い。言ってしまえば残響ぽい。ハイスイに限らずライブってそうなるものだなと思う。どちらにも良さがある。
前聴いた時は都市の醒めた空気に満ちていたけれど、今日は都市に溢れるざわめきの方を強く感じた。ロック寄りになっていくんだろうか。とはいえ観たの二度目でまだまだ掴みきれていないし、残響ぽいのも好きだ。
ざっくりと流れ:序盤は多分2ndまでの曲(知らなかった)、静かな曲ゾーンを挟み、中盤から「地下鉄の動態」ほか3rdの曲を沢山やって、本編最後が「動物の身体」。この帰結すごくいいね。アンコールで「ある夜の呼吸」、Wアンコール「ハッピーエンド」で締め。途中「モビール」聴けて嬉しい。
ゲスト豪華! 途中Aureoleのフルートさんやthe cabsのドラマーさん(よく見えなかった、トライアングルで参加?)。texas pandaa出川さんのコーラス、鎌野さんによく合ったやさしさで素敵だ。
SEがライヒ「Three Tales」! 納得と歓喜。とりわけピアノの奏でる奇妙なうつくしさにシンパシー。ライヒは不安や混沌、ハイスイは醒めた都市の、それぞれざわめきのなかピアノが声を上げているところにすごく惹かれる。
追いかけたいバンドが増えて嬉しい。また、ぜひ。
August 1, 2012
maskz presents U-NITE @ 代官山UNIT
脱原発派がUNITでUNITEしようぜ的なイベント。
ミュージシャンもトークセッションの先生方も何とも豪華。仕事帰りに5時間立ちっ放し、しかも終電、だけどたまにはこういうのも楽しいよね!!ってスキップしながら帰途に着いた。楽しかった。
音楽の感想を書きます。
■小林武史×Salyu
同じ舞台にいる2人を見るのが何年ぶりだかで、それだけで来て良かったなんて考えるくらいには思い入れがある。小林さんのピアノも久しぶりで、やっぱりとても好きだと思った。迷ったところで背を押してくれる打鍵の頼もしさとめいっぱいの優しさ、そんな疑わしいはずのものが、心をダイレクトに揺さぶってくる。何だろうな。抑えきれない自己主張は欠点と呼ばれるのかもしれないが、ふと垣間見えるこの人のそれはいとしい。どうしようもない。恋(仮)か。
芯の通った濃密な選曲で、2人の今がよく伝わった。またね。
●1. VALON-1 2. 悲しみを越えていく色 3. to U
■細野晴臣 with 高田漣 & Salyu
細野さんも数年ぶり。声の渋みと甘みに呑まれてどろどろに溶ける感覚、に身を任せていられる安心感。掠れる声も手探りみたいなギターも、全てが音楽の旨みになる。すごく余裕がある。ほんとこんな老年になりたい。
さすがのSalyuにも緊張の色あり、控えめなコーラスワーク。張らない声を思わぬところで聴けてしんみり。Smileを低いキーにした理由「この曲はお話するくらいのキーで歌いたかったの」。うん、とても良かった。
●1. Smile (Nat King Coleカバー) 2. I Love How You Love Me (The Paris Sistersカバー) 3. 悲しみのラッキースター
■青葉市子 guest 小山田圭吾 + U-zhaan & Salyu
この心躍るラインナップ! 期待を超えてすばらしかった。
青葉さんソロの「ひかりのふるさと」でスタート。アンコール定番曲、冒頭に来たのは珍しい、と思っていたらここからだった。小山田さんギターで入って「日時計」、U-zhaanタブラで加わり、青葉さん「この場にふさわしいか判らないですが、原子力発電所が主人公の歌です」との紹介で「IMPERIAL SMOKE TOWN」! 特にIMPERIAL、エネルギーが倍加していてすごい。2人の音にやや押され気味な序盤から、逆に後押しされるようにして声が、音が、大きく広がって前に出てくる過程に鳥肌。遂には複数の音のうねりをまとめあげる統率者のように見えて、怒りに似た激しさを感じた。まだまだいけると思う。今後に期待。
更にSalyuが登場してsalyu×salyuの「Sailing Days」! IMPERIALとは打って変わって、ファンタジックな船に乗って本当に航海しているような爽やかさ。やわらかな風みたいなSalyuのコーラスをまとって主旋律を担う青葉さんの声は、涼やかに白波の上を滑っていく。そんな声を擁する船を造る楽器達のリズムの気持ち良さったらない。すごく良かった! 締めは「続きを」。本当に、続きをもっと見ていたかった。是非このカルテットでまた。
●1. ひかりのふるさと 2. 日時計 3. IMPERIAL SMOKE TOWN 4. Sailing Days (salyu×salyuカバー) 5. 続きを (salyu×salyuカバー)
■100%ユザーンとラダーン195
ラダーン195=原田郁子さん。外見もユザーンとコラボしたような、ふわふわアフロのウィッグが似合う。初見で、舌っ足らずな歌い方は苦手かなと思ったけれど、タブラとのマリアージュが新鮮で面白く聴いていた。
■toe
この面子だとちょっと浮いている気はする。誰繋がりだろう。
実は45分押しで、始まったのが23:45。山嵜さん第一声「もう終電ないっしょ?」。客が結構帰ってしまっていて、UNIT1/3くらいの埋まり方。前方でゆったりtoeを観られるなんて、思わぬ贅沢。
toeも数年ぶり。彼らの音に巻き込まれていくような感覚。大抵、音に圧倒されたり、音から一歩離れたところから眺めていたりという関わり方を音楽としているのだけど、toeには自分が巻き込まれていく。ふしぎ。柏倉さんを中心に聴くことが多かったけれど、今日はtoeの総体を楽しんだ。
MCで山嵜さん(散々な下ネタの後)「まあ、原発にはグッドバイってことですよ」からの、期待通り「グッドバイ」! ボーカル郁子さん、幼さがこの曲の葛藤によく合っている。日付も変わって00:35、テンション最高潮に上がって無敵な気持ちになった! 久しぶりの感覚を抱えて、楽しく終電にダッシュ。間に合った良かった。
トークセッションがUSTアーカイブ化されているのでメモ。原発に限らず持続可能な社会について語られていた。しかし音声が聞こえないのは自分の環境のせいか……。
中沢新一×小林武史×宮台真司 http://www.ustream.tv/recorded/24394204
中沢新一×高橋源一郎 http://www.ustream.tv/recorded/24395631
June 30, 2012
理性は秩序を紡ぐが、混沌はこれを誘惑する。涅槃原則の衝動が理性を越境し、集合的無意識を惹起する時、秩序は分断から解放され全一となる。恍惚の源泉は混沌に有り、万物は混沌に帰する。
@ 下北沢GARDEN
どう見てもte'の企画です。イベント名でそれと解るってすごいな。独自の言語。
■People In The Box
間に英国フェスや弾き語りがあったとはいえ、エイプリルフールぶりの3人の音。とにかく嬉しかった! そして、やっぱり特別に好きだと思った。余計な思考が入らず音に集中できる。集中できるのは幸せなことだ。
最近のピープルの色んな面が詰め込まれたバランス良いセトリ。故意か偶然か「ニ」ムロッド→「し」みん→「に」ちようびよくしつ→「し」んあいなる「ニ」ュートン街の、って言葉遊びみたいで面白い。
久しぶりだからか、湧き出るエネルギーよりも出来上がる形を大事にした演奏に聴こえた。やや固め。「日曜日 / 浴室」が3曲目に来ると思っていなくて(終盤で登場する大物のイメージ)、「市民」からの攻めの感じが新鮮で、とても良かった。いよいよ「親愛なるニュートン街の」を夏に聴けるのが嬉しい。夏の匂いの濃い『Citizen Soul』が1月に出てからずっと待ち望んでいた。他の曲も8月の劇場編で聴けるといい。「レテビーチ」の突き破って溢れてくるような快感もすごく良かった。
ダイゴマンMCでラジオの告知、劇場編の告知、そして『Lost Tapes』告知! Candle Lightで披露されたアコースティックドーベルマンの音源化歓迎! 更に気になったのがこれ:「『天使の胃袋』アコースティックバージョンが収録されます! あと、悪魔の……あ、これはいいや」。何だ! 悪魔の、何なんだ! 新曲に期待。
●セットリスト
1. ニムロッド 2. 市民 3. 日曜日 / 浴室 4. 親愛なるニュートン街の 5. レテビーチ 6. ユリイカ 7. 旧市街
●MC備忘
は「どもども、ピープルインザボッk?s%」
客「?(拍手)」「しっかり!」「しっかりー!」
は「っせえ(笑)」
■クリプトシティ
事前情報なく初見。オルタナ? ハードロック?というのか、低音が重厚なスリーピースの演奏+デモニッシュなボーカルの4人。開始後数分と経たずピープルのイノセンスが彼らの色に塗り替えられて圧倒された。ベースが凄かった。思いも寄らないフレーズが次から次へと展開されて釘付け。気になって調べたら、ナンバーガールのベーシストなのか。伝説の一端を目の当たりにしていたみたいだ。
ボーカルは西洋の人? たぶん全英詩。あまり聞き取れず、でも「お前の大事な冷蔵庫の中身を全部食っちまうぞ」とか言ってそうな気迫(違ったらすみません)。客席を巻き込むパフォーマンスが上手い。MCではヘヴィなオルタナ色から一転、「クリプトシティと申しますー」「タノシイナ!」ってかわいい感じ。そんなギャップずるい。
こういう音はライブで時々聴くとすごく楽しい。頭の中が嵐の去った後の街みたいになる。諸々吹き飛んで、残骸はぽつりぽつりあるんだけど、すっきりした気持ち。晴天のすっきりとは違っている。また聴けるといい。
■te'
初見。バタイユの語る戦争のような演奏。つまり?と思い、訳書を引っ張り出す。
戦争は組織化された暴力なのである。禁止の侵犯は動物的な暴力ではない。たしかに暴力ではあるのだが、理性を行使しうる存在(場合によっては暴力のために知恵を使う存在)によって実施された暴力なのである。
- ジョルジュ・バタイユ『エロティシズム』より
そんな演奏だった。要はドラムス。少しもよろめいたり迷ったりしない理性で、暴力的なくらいに大きなエネルギーを行使しているのが不思議。ギターやベースは割と思うがままに暴れているんだけど、全体としてはドラムスに組織されていて理性的。このバランスが成立し得るんだなあ、というのを思い知らされていた。イベント名は混沌寄りだけど、どちらかといえば理性が勝っている印象。何だか頭を使って聴いてしまったが、そんなことは放っておいてもすごく楽しかった。
あの長い曲名、イベント名のペダンティックな雰囲気に気後れしてあまり聴いていなかったのに、感想を書いたらそれこそペダンティック? 付けられた名前と音は実は結構一致しているのかもしれない。
アンコールでダイゴマン乱入! 「乱入」って言葉がぴったり。やりたい放題ドラム叩きまくって締めの音まで鳴らして去っていった。te'のドラマーはハンドマイクで客席に身を乗り出してアジテーターと化し、こちらもすごく楽しそうだった!
June 28, 2012
青葉市子 独奏会 @ 原宿VACANT
VACANTで半年続けてきた独奏会はこれで一区切りだそうで、満員御礼。
会場の使い方が縦長→横長となり、青葉さんとの距離が全体的に近くなる。友達の家に来たような、それでいてふしぎな集会に参加しているような雰囲気は変わらず。
夏の少女的な出で立ちで登場。チャコールグレイのワンピースに足元はショートブーツ、ギターの栗色がよく映える。腰に水色花柄のスカーフがおしゃれさん。ストローハット(と呼ぶべきおしゃれ感)を脱いで傍らの机にディスプレイ。机には青いラインの入った白のテーブルクロスが掛けられ、ガラスの瓶に向日葵が数本飾られている。
忙しない東京での毎日で、置き忘れたものをひとつひとつ手繰るように耳を澄ましていた。そんな感覚をくれる稀有な人。東京で歌っていてくれて本当にありがとう。
始まりは「不和リン」→「腸髪のサーカス」、salyu×salyuのイベントで一気に引き込まれた曲達が立て続けに。「日時計」の相変わらずのぐるぐる感や大貫妙子「夏色の服」のカバーもすごく良い。大貫さんと青葉さんが合わないはずもなく。そして季節を大切にした諸々の演出のお陰でとても居心地良い。
15分くらいの休憩を挟み、二部開始。これがすごかった。
「おもいでカフェ」はもう大好きな曲。小さなグラスの水面がひたひたになるくらいの幸せ感。
続く「ソウル」がすごい。「小池アミイゴさんの個展に行ったんです。アミイゴさんのお子さんの、ソウルくんって子がいて。色々喋りかけてくれるんですね。でも、ソウルくんはまだ2歳なんです。だからまだ言葉になっていない、音の粒たち。それを、なになに?って聞いて、メモして、持って帰って、曲を付けました」。詞と音の絡み方が面白い。「パーパ、マーマ」「いやいや」なんて聞こえるところもありつつ、基本は意味を持たない音の繋がりで、だけど音に乗るとめまぐるしく一瞬一瞬生きているこどもの様子が見えてきてすごく楽しい。最後「ダッ!」で終わり、ギターかき鳴らして締めた後「ふふっ」て思わず笑みを零した青葉さん可愛い。何て自由に曲をつくる人なんだろうかと改めて思い、次に生まれる曲がまた楽しみになった。
1年と3ヵ月過ぎても予断を許さない状況下、「原子力発電所が主人公の歌です」との紹介で演奏される「IMPERIAL SMOKE TOWN」は何も終わっていないと訴えているようで、会場が緊張に満ちる。本当なら、いつかこの曲が歌われなくなる日が来ると良い。けれどそれは途方もなく先だろうから、やっぱりずっと歌っていてほしいと思う。
その緊張感からの次がもの凄かった。「ちょっと封印していた曲をやります。『機械仕掛乃宇宙』という曲です。わたしが弾き語りを始めるきっかけになった曲で、またやろうって思わせてくれたのは、この独奏会です。この曲をつくられた山田庵巳さんに、尊敬と、感謝を」。太陽のない街というディストピアで生きる「僕」の、ひとつの物語。10分くらいであれだけ物語る曲自体の凄さ。その独特な世界観を持つ曲を取り込んで演奏し切る青葉さんの凄さ。堪らなく濃密な時間で、客の拍手も一際大きく、長く続いた。これは封印もするだろうってくらい大きな曲。凄いひと時に立ち会った。やっぱり青葉さんの歌を聴くと、ひとつの物語を読み終えたような気持ちになる。
本編終わりは「奇跡はいつでも」、アンコールで「ひかりのふるさと」。きらきらとひかりを残して幕を閉じた。
MCで「独奏会を続けてきて、打ちのめされたことも、褒められたこともありました。……何だか、卒業式みたいだな。ふふ」と話していた。迷いなく進んでいるように見える彼女にも打ちのめされるようなことがあるんだなと思う。満員のVACANTで皆が聴き入っている、あのあたたかさを信じてみてほしいと願う。見守るよ。
終演後、11月の独奏会ファイナル@自由学園のチケットがいち早く販売されていて、長蛇の列に思わず笑った。5ヵ月も先なのに脅威のリピート率。またこの日になくしたものは取り返せるから、それまで生きてみてもいいんじゃないか、なんてチケットを手にしておもった。ありがとう。
■セットリスト
01. 不和リン
02. 腸髪のサーカス
03. レースのむこう
04. 日時計
05. 夏色の服(大貫妙子カバー)
06. 路標
---
07. おもいでカフェ
08. ソウル
09. パッチワーク
10. IMPERIAL SMOKE TOWN
11. 機械仕掛乃宇宙(山田庵巳カバー)
12. 奇跡はいつでも
---
EN. ひかりのふるさと
June 17, 2012
MAGNE4 @ 下北沢ERA
初見のバンドツーマン。WOZNIAKの企画。初ERA、煙草の匂いがきつかった。
■ハイスイノナサ
ピアノ(キーボード)の絡み方、鳴り方が好きなバンド。それはライブでも変わらなかった。むしろ更に好きになった! 今年2月にキーボード担当が脱退したそうでヘルプを入れての演奏だったけれど、初見だからか気にならず。あとは、音源よりもずっと残響ぽい、エモいな、とか。照井弟さんのコーラスワークはすごくきれいだとか。
それより何より印象深いのは、都市と、海と、雲の動きの音がして、それを鳴らしているのが人だということ。基本は人が、休日のオフィス街みたいながらんとしたフィクションを滑っていくような都市感。そこに穏やかな海をたゆたうような気持ち良さがあったり、見上げた雲の動きに自分の意思が一切関係しない次元をみる冷静さがあったりする。聴覚だけではなくて、感覚全体を揺り動かされるライブ。そんなところはフランス印象派のピアノと似ているかもしれない。けれど都市の醒めた空気をまざまざと感じるライブは初めてで、戸惑いすら覚える。
まだよく知らなくてセットリストは解らない。「ハッピーエンド」と紹介された曲、途中で手拍子の入る曲(覚えたい!)、新譜から「ある夜の呼吸」「波の始まり」はやったかな。音源集めよう。8月のワンマンがすごく楽しみ!
■WOZNIAK
アルコールと共にゆらゆらくねくねしたくなるクラブミュージック。こういう、反復と少しの変化を繰り返していく系の脳内麻薬出そうな音は久々で楽しかった。けれど1時間以上切れ目なく、ひたすら立ちっ放しなのはちょっと辛い。ソファで休憩しながら、好きなフレーズが来たら踊ったりしたい。
最後のMCが印象に残っている。音楽性の変化(以前はロックバンド寄りだったらしい)、これからも変化していくということ。とても純粋だと思った。ゆえに、この先どうなるんだろうかとも思った。
●セットリスト
6/17WOZNIAKセットリスト1.ATTACK2.BEAMS3.SEVEN4.ASURA5.ACID6.元7.ハウシー8.ドラム叩く(ゲスト:照井順政/鎌野愛fromハイスイノナサ)続く。
— WOZNIAK_BAND (@WOZNIAKBAND) June 18, 2012
6/17WOZNIAKセットリスト9.地下鉄の動態(ハイスイノナサのカバー)10.TTT 111.LIQUID12.BANANA13.密林14.CITYでした。
— WOZNIAK_BAND (@WOZNIAKBAND) June 18, 2012